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2部   文教施策の動向と展開
第4章  学術研究の振興
第8節  学術の国際交流の推進
2  国際共同研究の推進


文部省が実施している国際共同研究事業について,その推進体制の観点からそれを整理すると以下のとおりである。


(1) 政府間協力協定等に基づく国際共同研究

大学や研究所が,政府間あるいは機関間の協定・取決めに基づいて実施するものである。例えば,核融合科学研究所と米国ハンフォード工学研究所で進められている核融合に関する共同研究はその―例であり,日米エネルギー協力協定の下で実施されている。

2-4-13政府間協力協定等に基づく主な国際共同研究の例


(2) 国際学術連合会議提唱による国際共同研究

自然科学分野の各国学術団体の国際連合体である国際学術連合会議(ICSU)の提唱に基づき,地球科学のように世界的規模でデータを収集・分析する必要のある研究分野や,資源問題のように全地球的立場から取り組む必要のある研究分野などで組織的な共同研究を推進している。世界的規模で気候変動の機構解明を目指して実施している気候変動国際協同研究計画(WCRP)などはその―例であり,我が国も大気大循環の年々変動や気候に対する人間活動の影響の研究に取り組むなどして,積極的に参加している。


(3) ユネスコを通じた国際共同研究

ユネスコ(国連教育,科学,文化機関)は,人類共通の諸問題を科学的に解明するため,海洋科学,環境科学等の分野で多国間協力事業を実施しているほか,若手研究者の養成,地域協力事業等を通じて,特に発展途上国の研究基盤の整備・強化に努めている。

我が国は,ユネスコ政府間会議の理事国として,政府間海洋学委員会(IOC)事業,人間と生物圏計画(MAB)等各種共同調査事業の企画・実施に積極的に参画している。また,東南アジア諸国の基礎科学分野の人材育成に協力するなど,発展途上国への協力事業についても中心的な役割を果たしている。


(4) 科学研究費補助金「国際学術研究」による国際共同研究

文部省は,学術の諸分野において,分野の特性や研究の進展に応じ,国外の特定地域や研究機関における調査研究,国外の研究者との共同研究が不可欠である研究課題,又は日本の大学と外国の大学との協定に基づき大学問で組織的に行う共同研究のうち特に優れた成果が期待できるものについて,科学研究費補助金「国際学術研究」として必要な経費を助成し,国際共同研究の推進を図っている。

平成2年度には,東南アジアの人類学研究,太平洋海域の気候変動究,日英両国の経済変動の比較に関する大学問協力研究など,合わせて約650件の研究が諸外国の研究者と協力して進められている。


(5) 日本学術振興会を通じた国際共同研究

日本学術振興会では,諸外国の対応する学術振興機関と交流協定等を締結するなど密接に連携・協力しながら,種々の国際共同研究事業を展開している。

米国の国立科学財団(NSF)との間で「計算機科学の新しい基礎付けに関する研究」等を研究課題として行っている日米科学協力事業などはその―例である。

また,発展途上国との間では,アセアン諸国を中心に次のような事業を実施している。


1) 拠点大学方式による交流

特定の研究分野ごとに相手国と日本側にそれぞれ交流の中核となる拠点大学を設け,その他の大学の協力を得て,共同研究やセミナーなど組織的な学術交流を行うものである。平成元年度にはタイ,インドネシア,フィリピン,シンガポール,マレーシアの5が国との間で,理学,農学,医学等の分野で21プロジェクトの交流を実施した。また,平成2年度においてはこれらに加えて理学(天然物化学),工学の分野で新たに2プロジェクトを開始するとともに,拠点交流方式等による学術交流の実績を踏まえ,インドネシアにおける熱帯病に関する大型の共同研究の促進及び相手国の若手研究者の養成にも協力する大型共同研究方式事業を開始した。


2) 論文博士号取得希望者への援助

上記のアセアン5か国のほか,中国及び韓国の若手研究者で,我が国の論文博士号制度を活用して博士号の取得を希望する者に対する援助事業である。

この事業では,若手研究者が適当な時期に数週間から数か月間訪日し,集中して研究指導を受け,あるいは日本の指導教官が短期間若手研究者の研究機関を訪問し指導を行い,論文博士号を取得させるものである。

したがって,本国の大学,研究所等における現職を維持したまま博士号を取得することができるため,各国の希望者は年々増加している。

昭和53年度の事業開始以来,平成元年度末までに既に87名の論文博士が誕生しでいるほか,平成2年度には90名が本事業による援助を受け研究を行っている。


3) 発展途上国の研究者養成への協力事業

平成元年度からアセアン諸国以外の発展途上国の研究者の養成にも協力するため,我が国の研究者を発展途上国の大学に派遣するとともに,発展途上国の若手研究者等を我が国の大学に受け入れる事業をバングラデシュ,アルゼンチンの2か国を対象として実施している。


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