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2部   文教施策の動向と展開
第3章  初等中等教育の改善・充実
第4節  生徒指導・進略指導の充実
2  生徒指導の改善,充実



(1) 生徒指導の積極的な機能を重視した関連施策の充実

学校不適応の問題が重要な教育課題となっていることは前記のとおりであるが,生徒指導の課題は,単に学校不適応や問題行動への対応という消極的な面にとどまらず,生徒を取り巻く様々な環境やその特質を踏まえつつ,自主性,主体性のある児童生徒をいかに育成するかという積極的な視点に立った指導の改善,充実を図ることにある。

今回の学習指導要領の改訂においても,小学校で生徒指導の充実を新たに規定し,また,中・高等学校では,生徒が自主的に判断・行動し,積極的に自己を生かしていくことができるようにするという生徒指導の意義が一層明確にされたところである。

文部省では,このような考えに立って,次のような施策の充実を図っている。


1) 一人一人の教師の指導力の向上と生徒指導体制の強化

積極的な機能を重視した生徒指導の充実を図るためには,まず,教師が一人一人の児童生徒の特性等をいかに伸長させるかという視点に立ち,正しい児童生徒理解の上に立って,人間味のある暖かい指導・助言を行い,児童生徒の望ましい人格形成を図る必要がある。そのためには,教育相談を担当する教師だけではなく,すべての教師が教育相談の基本的考え方を踏まえて教育活動を展開しなければならない。

文部省では,こうした教師の指導力の向上を図るため,自ら,また,都道府県教育委員会との共催の下に研修を実施するほか,生徒指導に関する理論,知識,技術などを解説した指導資料を毎年作成して全国の学校に配布している。

また,文部省では,各学校における生徒指導体制を強化するため,中学校では18学級以上の学校に一人,高等学校では21学級以上の学校に一人,31学級以上の学校に二人の生徒指導担当教員を配置できるように配慮をしているほか,特にいじめや登校拒否の問題に関して生徒指導上困難を抱える学校に対しては教員定数加配の措置を講じている。


2) 学校,家庭,関係機関等の一体となった取組の充実

実際の生徒指導に当たっては,その方法においても,問題の程度においても,学校の指導の限界を超える場合が少なくない。

そこで,生徒指導を充実させるためには,学校,関係機関等がそれぞれ個別の取組を充実させるだけではなく,学校,家庭,関係機関等の関係者が連携し,一体となった取組を行うことが重要である。地域においては,それぞれの実情に応じて,様々な取組が行われているが,文部省ではこうした取組を一層推進するため,研究指定校や研究指定地域の事業を実施するとともに,学校,家庭,関係機関等が広く参加して研究協議を行う推進会議を自ら主催し,あるいは都道府県教育委員会との共催のもとに実施している。

都道府県,市町村等では,教育センター等を設け,それぞれの実情に応じた教育相談活動を推進している。昭和63年度において都道府県,指定都市の教育委員会が所管する教育相談機関・窓口は160が所,教育相談員は1,076人,相談件数は8万3,544件となっており,年々その充実が図られている。また,都道府県によっては,各地域における教育相談の充実を図るため,相談員に市町村を定期的に巡回訪問させて教育相談に当たる事業を実施しており,文部省ではこのような都道府県に対し財政的援助を行っている。


3) 体験学習の充実

積極的な機能を重視した生徒指導の充実を図るためには,児童生徒の生活体験・人間関係を豊かなものとする中・長期的観点に立った指導の充実を図ることも重要である。このことは,新しい学習指導要領においても重視されたところである。

文部省では,児童生徒が豊かな自然環境での集団宿泊生活を通じて人間的触合いや自然との触合いを深める「自然教室推進事業」に対する補助を拡充するほか,児童生徒の勤労体験学習の研究を進める指定校等の事業を行うこと等により,児童生徒の体験学習の充実を図っている。


(2) 校則の見直し

近年,生徒の服装,頭髪,登下校,通学の方法を始め,学校における学習や生活の仕方等について様々に規制している校則をめぐって,その指導運用の在り方ともかかわって問題となるケースが生じており,その中には国民や保護者の批判を招く事態も見受けられる。

校則は,児童生徒が健全な学校生活を営み,よりよく成長発達していくための行動の指針として各学校において定められているものである。

きしかし,校則の内容が過度に瑣末な事項にまでわたっていたり,校則に関する指導が,いたずらに規則にとらわれて一方的に行われるものである場合には,校則のもつ役割は十分に達せられない。

したがって,校則が常に適切に機能するためには,校則の内容や指導の在り方が人間愛に満ちたものとなっているか,真に教育効果を与えるものとなっているか,児童生徒の実態や地域の実情,社会常識等を踏まえたものとなっているか,児童生徒に内面的な自覚を促し,自主的に守るような指導が行われているか等を十分に検証しながら,適宜見直しを行っていく必要がある。

このような観点から,文部省では,都道府県教育委員会を通して,各学校に校則の見直しを促してきた。その結果,学校によって,校則を見直すための委員会を組織したり,アンケートを実施して生徒や保護者の意見をくみとることに努めたり,あるいは生徒に自らの問題として討議させる場を設けたりする等により,校則の見直しを積極的に行う傾向が強まっている。このような見直しによって,瑣末すぎると思われるきまりが削除されたり,きまりの数が大幅に減少し校則が指針を示す程度の大綱的なものとなったりするなど,校則が変更される動きが目立ってきている。

しかしながら,学校現場においては,校則の制定や運用をめぐってなおも問題がみちれるところであり,引き続き改善を図ることが必要である。

このため,各学校においては,校則の内容やその指導の在り方が児童生徒に与える教育上の影響は極めて大きいことに留意しつつ,今後とも望ましい校則づくりを目指した取組を積極的に推進していく必要がある。特に,校則の指導は日常の教育指導の―環であり,日ごろから生徒との間に好ましい人間関係,信頼関係が築かれ,保護者との共通理解があって初めて効果を上げることに認識を深め,日々の学校運営を真に生徒の側に立った教育の場としてふさわしいものとしていくことが肝要である。


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