ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
2部   文教施策の動向と展開
第3章  初等中等教育の改善・充実
第4節  生徒指導・進略指導の充実
1  登校拒否等学校不適応の現状とその対応


最近の児童生徒の問題行動・学校不適応の状況は,いじめ・校内暴力が―時よりは減少しつつあるものの,小・中学校の登校拒否児童生徒が増加し,高等学校の中途退学者も依然として多数にのぼっているという状況にあり,これらの学校不適応の問題への対応が重要な教育課題となっている。


(1) 登校拒否,高校中退の現状

平成元年度間の登校拒否児童生徒数は,小学生7,178人,中学生4万80人であり,この数は昭和41年度の調査開始以来最多となっている( 2-3-1 )。

登校拒否の態様は,無気力で何となく登校しないケース,行かなければならないことは分かっていても不安を中心とした情緒的な混乱によって登校できないケース,非行グループに入って登校しないケース等まちまちである。また,そのきっかけも,いじめ等の友人関係をめぐる問題,学業の不振,家庭の生活環境の急激な変化,親子関係をめぐる問題等まちまちであり,さらにこうした学校,家庭,地域社会の環境要因が複雑に絡み合っていてその原因を明確に特定することが困難なケースも多い。

こうした登校拒否の問題の解決の手掛かりを見いだすことの難しさから,従来,この問題をめぐっては,ややもすると学校,家庭,関係機関等あ関係者がそれぞれの立場から,本人の性格傾向,家庭の養育の在り方,学校の指導の在り方,社会の風潮等その要因を他に求めるという形で論議されることが多かったが,学校,家庭,関係機関等は,児童生徒―人―人の健全な成長を願うという共通理解に立ち,自らはどのように対応すべきかという視点から,互いに密接に連携してこの問題に取り組んでいくことが強く求められている。

また,小・中学校の登校拒否と並んで高校中退も大きな問題となっている。

昭和63年度の高校中退者数は11万6,000人に達しており,62年度に比して2.9%増加した。その高校在籍者全体に占める割合(中退率)は昭和58年度の2.4%を最高に徐々に減少しているものの,依然として多数の者が高等学校を中退している状況にある( 2-3-2 )。

その事由としては,進路変更,学校生活・学業不適応,学業不振が多い。―方,中退後の進路状況等の調査によれば,中退者のうち再び学校に通い始めたり,将来就学することを希望している者が約半数にも及んでいる。

この問題に適切に対応するためには,こうした実情を十分踏まえ,進路指導の改善充実,学習内容の定着のための学習指導の充実など,学校における指導の―層の充実が強く求められる。

2-3-1 登校拒否児童生徒数の推移

2-3-2 高校中退者数の推移(公・私立)


(2) 学校不適応対策の推進

文部省では,従来から,生徒指導講座・カウンセリング技術講座の開催,全国の中学校・高校への指導資料の作成・配布等により,教師の指導力の向上に努めるほか,教育相談活動推進事業を実施して保護者や教師等への教育相談に応じる取組を充実する等,学校不適応の問題への対応に努めてきた。

しかし,なお増え続ける登校拒否等の実情にかんがみ,平成元年度からは,学校,家庭,地域が―体となった取組を推進する総合的な学校不適応対策事業を実施している。

まず,学校不適応の原因・背景等について研究協議を行うため,学校関係者や精神医学等の専門家からなる「学校不適応対策協力者会議」を文部省内に設けて専門的な立場から研究協議を行っている。

また,学校,家庭,地域ぐるみで行う訪問,巡回相談,集団宿泊活動等の実践活動を通して,学校不適応の問題の解決の方途を見いだすことを目的とする2年間の研究を8県・市に委嘱したが,平成2年度は更に2県を新たに追加して研究委嘱の拡充を図った。

平成2年2月には,全国の学校,家庭,関係機関等の学校不適応の関係者による協議会を開催し,前記の8県・市の研究成果等をもとに,学校不適応の問題について,学校,家庭,関係機関等それぞれの立場から,問題提起や取組の紹介が行われ,活発に研究協議が行われた。本会議での研究協議の成果が,各地域での取組に生かされ,学校不適応の問題の解決の―助となることが期待される。

登校拒否児の学校生活への復帰を支援するため,平成2年度からは新たに,教育センター等において登校拒否児童生徒を集め,個別カウンセリング,集団での活動,教科指導等を行う「適応指導教室」の実践的研究を全国20県・市に委託している。

登校拒否や高校中退の問題に対しては,各都道府県,市町村においても,協力者会議の設置,指導資料の作成,カウンセリング技術の向上のための教員研修の充実など全国的にその取組を強化する動きがみちれる。

各学校においても,登校拒否の問題に対応するため,できるだけ早期の個別のカウンセリングの実施,家庭訪問の励行等による家庭との連携の強化,友人や教師との好ましい人間関係の確立,授業方法の改善や個別の指導の実施など分かる授業の工夫,本人が意欲をもって活動できる場の設定等,それぞれの児童生徒や学校の実情に応じた取組に努めている。文部省の調査で,63年度中に登校拒否をした児童生徒のうち,3分の1の児童生徒は63年度中に再登校していることが明らかになっているが,これはこれらの取組が問題解決に―定の成果を挙げているものと考えられる。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ