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2部   文教施策の動向と展開
第3章  初等中等教育の改善・充実
第3節  徳育の允実
1  新学習指導要領による道徳教育の実施


道徳教育の充実は,今日の子どもたちを取り巻く社会状況が大きく変化している中で強い国民的要請となっている。すなわち,近年の科学技術の驚異的な進歩や経済の急速な発展に伴い,人間の存在そのものの在り方が根本から問われており,人間としての在り方や生き方についての自覚に立った道徳教育を進め,これからの社会の変化に主体的に対応できる人間を育成することは今日,国民的な課題となっている。また,核家族化や少子化などの社会の変化に伴い,これまで,様々な人間関係の中で身に付けていた日常生活における基本的な生活習慣,望ましい人間関係が欠如していることや,児童生徒のいじめ,非行などの問題行動の抑止力ともなる児童生徒の道徳性が十分に育っていないことも指摘されている。

新学習指導要領においては,このような現状を十分"に踏まえ,21世紀に向けて,豊かな心をもちたくましく生きる人間の育成を図ることをねらいとして,道徳教育についても大幅な改善を行った。

第―は,道徳の内容の再構成と重点化を図ったことである。すなわち,小・中学校について,児童生徒の道徳性の発達等を考慮し,道徳の内容の再構成と重点化を行い,児童生徒―人―人に道徳性がしっかり身に付くよう改善した。

具体的には,道徳の内容の各項目の相互の関連を明確にするとともに,道徳の全体像を明らかにすることによって,指導の視点を―層明確にし,総合的,有機的な指導が行えるよう,1)主として自分自身に関すること,2)主として他の人とのかかわりに関すること,3)主として自然や崇高なものとのかかわりに関すること,4)主として集団や社会とのかかわりに関することの4点から内容の再構成を行った。また,児童生徒の道徳性の発達等に応じて,例えば,小学校低学年ではしつけなどの基本的な生活習慣,中学年では日常の社会規範を守る態度,高学年では公共に尽くそうとする態度,中学校においては,人間としての生き方の自覚などに留意して,道徳の内容を精選し重点的に示した。

第二は,人間としての在り方や生き方に関する指導の充実である。人生にかかわる諸問題について関心の高まる中学生の時期に,人間としてよりよく生きようとする態度を育てる指導は極めて大切なことであり,このような観点に立って,この面の指導の充実を図った。また,高等学校においては,自らの行動を選択し,決定していてくことのできる主体の育成を目指す教育を推進するため,公民科の倫理,現代社会等の科目や,特別活動のホームルーム活動等において人間として調和のとれた発達を図るなど,道徳教育の充実を図ることとした。

第三は,学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育の充実である。具体的には,各学校において必ず道徳教育の全体計画を作成することとし,学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育と道徳の時間の関連を深め,指導の充実が図られるようにした。

また,例えば,国語科において,道徳性を養うことに資する教材を取り入れるよう,教材の選定の観点を示したほか,生活科において,児童の具体的な体験や活動を通して基本的な生活習慣を身に付けさせるよう,その内容を設定するなど,各教科等の特質に応じた道徳教育の充実を図った。

さらに,道徳教育を進めるに当たって,特に留意すべき事項として豊かな体験による内面に根ざした道徳性の育成を重視した。

第四は,家庭や地域社会との連携の強化である。日常生活における基本的な生活習慣や望ましい人間関係の育成などは,児童生徒の家庭や地域社会における生活と深くかかわっており,学校は,家庭や地域社会との十分な連携の下に道徳教育を進めていくことが望まれる。

道徳教育については,その趣旨をできるだけ早期に実現するため,新学習指導要領に基づく指導が,平成2年度より各学校において実施されている。


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