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2部   文教施策の動向と展開
第2章  生涯学習の振興
第4節  生涯学習と社会教育・文化・スポ―ツ
2  社会教育・文化・スポーツの新たな展開


社会教育,文化・スポーツ活動が多様であるように,それらが行われる場も多様であり,これらの場を提供する事業の運営主体も多岐にわたる。ここでは,国や都道府県,市町村による公的な事業・社会教育関係団体の活動と企業による民間事業について,それらの振興に関する施策の整理を試みる。さらに,これらの社会教育活動等によって人々が得た成果を評価したり,公開の場で発表することなどを通じて,人々の学習を奨励する施策も重要である。


(1) 公的事業の推進
1) 社会教育の振興

社会教育は子どもから高齢者にいたるまで生涯の各時期にわたって,多様な学習機会を提供するものである。したがって,生涯学習に対する国民の意欲が高まっている今日,社会教育の役割は一層重要になっている。前述したような国民の学習需要の高まりを背景に,文部省,教育委員会では,積極的に社会教育事業を実施している。最近では,都道府県や市町村の教育委員会だけでなく,首長部局においても関連の事業を展開する動きがみられる。文部省では次の4点に重点を置いて社会教育の一層の振興を図っている。

第一は,人生80年時代に対応した学習機会の整備である。特に高齢者の学習活動,生涯にわたる婦人の社会参加に対応した施策に重点を置いている。第二は,家庭や地域の教育機能の活性化である。家庭は子どもの人間形成に大きな役割を果たすことから,親等に対し,家庭教育に関する多様な学習・相談の機会の充実を図り,青少年の人間形成に必要な自然との触合いの機会の充実等を図っている。第三は,地域の学習拠点となる社会教育施設の整備,指導者の養成,施設のネットワーク化等基盤整備を図ることである。第四は,各種のメディアの利用である( 2部第5節参照 )また,文部省では,これらの課題に対応した事業を行う各種の社会教育関係団体の育成に努めている。


2) 国民の文化活動の振興

各種芸術文化の創作,観賞などの文化活動は,国民の生涯学習活動において,極めて重要な役割を果たすものである。文部省では国民の自発的な文化活動を刺激し,それらの振興を図るために次のことを重点として諸条件の整備を行っている。

第一は,芸術鑑賞機会の充実である。優れた芸術文化活動を鑑賞する機会を提供するため,舞台芸術の公演や美術展の地方巡回を実施している。第二は,地域文化の振興である。国民文化祭や全国高等学校総合文化祭を開催するとともに,芸術文化指導者派遣,公立文化会館の整備に対する助成の事業を実施している。第三は,文化財の整備・活用である。国民生活の中で広く文化財が生かされ,親しまれるようにするため,史跡等を「ふるさと歴史の広場」として整備する等の事業を推進している。第四は,国民の文化活動の国際交流の推進である。青少年文化活動及びアマチュア文化活動の指導者等の招へい,派遣及び研修などを行っている( 2部第8章 参照)。


3) 生涯スポーツの振興

スポーツ人口の増大,ライフスタイルやスポーツに対する国民の意識の多様化に伴い,文化活動と同様,各種のスポーツ活動も国民の生涯学習活動として,重要な位置を占めるようになっている。このため,文部省では,次の4点に重点を置いて国民のスポーツ活動の諸条件整備を図っている。

第一は,スポーツ施設の整備である。特に公共スポーツ施設整備に対する助成,学校体育施設の開放,今後の整備の在り方に関する指針の提示などに力点を置いている。第二は,スポーツ指導者の養成確保である。

多くの人が安全に楽しくスポーツを行えるよう,質の高い指導者の養成を図っている。第三は,生涯スポーツ事業の推進である。その内容は,市民レベルのスポーツ国際交流,全国スポーツ・レクリエーション祭の開催などである。第四は,各種スポーツの普及・推進を図るスポーツ団体の育成である( 2部第6章第2節参照)。


(2) 民間教育事業の展開

近年,都市部を中心に,民間企業による教育・文化・スポーツ事業(以下,「民間教育事業」という)が盛んになってきており,柔軟な発想による多様で創意あふれる学習機会の提供という面で大きな役割を果たしている。

その伸び率をみると,昭和61年度文部省「生涯教育事業調査」によれば,9年前に比べ,学級・講座数は4.4倍,受講者数は2,5倍となっており,その学習内容も,趣味,教養,家庭・日常生活,市民生活,スポーツ・レクリエーション,職業に関することなど多彩なものとなっている。

また,民間の体育・スポーツ施設は,昭和50年から60年の10年間に施設数が3.1倍に伸びている(文部省「体育・スポーツ施設現況調査」)。

民間教育事業は,事業者の創意工夫により,国民の多様な需要の動向に柔軟に対応するところにその特色がある。したがって,行政は,その自主性を尊重し,民間教育事業者それぞれの自由な発展にゆだねることを基本としている。同時に,学習者や利用者のために多様で良質の学習機会と情報提供を拡大するという観点から,今後,民間教育事業の動向や実態を視野に入れ,公的な事業の役割を考慮しつつ,これらとの連携を図り,生涯学習基盤の総合的な整備を進めることが必要である。

これは,平成2年1月30日の中央教育審議会の「生涯学習の基盤整備について」の答申においても提言されているところである。

以上のような基本的考え方のもとに,民間教育事業者と行政との連携を進めるため,文部省では,次のような具体的方策について検討してきたところである。

1) 民間教育事業者が協同して自主的にその事業の水準の維持向上を図るための団体の育成を図り,民間の指導者の養成と企画・指導能力の向上に資するための研修の機会を積極的に提供すること
2) 各都道府県に設置されている生涯学習推進会議への民間教育事業者の参画に努め,市町村においても同様な連携協力組織の設置に努めるなど,民間教育事業者の参画を得た生涯学習の総合的な推進体制を整備すること
3) 民間教育事業を含めた学習情報を把握し,住民や団体,企業に対する情報提供及び学習相談のサービス体制を整備し,民間教育事業者の求めに応じて助言を与えること

なお,生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律の中に規定された地域生涯学習振興基本構想は,通商産業省との連携のもとに民間事業者の能力を活用しつつ,生涯学習のための多様な活動機会を総合的に提供しようとするものである。そして,この構想が円滑に実施されるよう,構想に参画する民間事業者に対し税制上の優遇措置が講じられることになっている。


(3) 学習成果の評価

生涯学習体系への移行のためには,学校中心の考え方を改めて,人々の生涯にわたる学習の成果が適切に評価されることが要請される。学習成果の評価が,生涯学習の奨励・普及等にも資するものである。

文部省においては,技能審査認定制度を設け,現在実用英語など13種目について知識,技能あ審査証明の事業を推進しているが,この技能審査の志願者数も年々大幅に増加しており,今後とも拡充されることが望まれる( 2‐2-11 , 2-2-2 )。

また,学習によって得た成果を公開の場で発表する機会を提供すること,知識,技術の体系的な学習コースにおいて一定以上の学習内容を修得したものに対してボランティアに登録する制度を設けるなど社会参加の機会が整備されることは,学習を奨励する観点からも重要である。

さらに,後に述べるとおり,スポーツの分野でも,民間団体の行う社会体育指導者が修得した知識・技能の審査事業のうち,一定の基準に合致し奨励すべきものを文部大臣が認定する制度がある。この制度は,指導者の知識・技能が一定水準に達していることを保証する資格基準に基づいて資格付与を行うことにより,指導者の学習意欲を高め,資質向上への努力を促すことを目指している。

これらの制度を含め,今後,人々の自発的な学習活動を一層促進するため,生涯にわたる学習活動の成果の評価について検討していくことが重要である。

2-2-11  文部省認定技能審査志願者・合格者の推移

2-2-2  文部省認定技能審査一覧


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