ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
2部   文教施策の動向と展開
第2章  生涯学習の振興
第2節  生涯学習基盤の整備
6  文教施設のインテリジェント化の推進


生涯学習体系への移行を推進するためには,人々の生涯にわたる学習機会を整備・再編するとともに,多様化・高度化する学習需要にこたえる学習環境の整備を図る必要がある。この場合,文教施設は生涯学習社会の基盤施設としての役割が期待されており,これを実現するために文教施設の新たな在り方が求められている。

このような要請に対応するため,文部省では,臨時教育審議会答申において提言された「インテリジェント・スクール構想」をも踏まえて,昭和63年度より,学識経験者等の協力を得て「文教施設のインテリジェント化に関する調査研究」を実施し,平成2年3月その成果を取りまとめた。

報告書では,今後,文教施設を,人間性や文化性等に配慮し,高度の情報通信・処理機能等を備えた,美しく,快適で,機能的な施設として整備するとともに,地域共通の学習基盤として相互に有機的に連携させることによって,地域における学習環境を総合的に向上させていくことが必要であるとし,インテリジェント化の内容を,次の4点から述べている。

第一は,多様な学習活動を実現する施設・環境である。人々の学習の目的,内容,方法等の多様化に学習者のライフステージやライフスタイルに配慮しながら対応できる計画が必要であり,また,学習者が主体的,創造的に学習活動を行うことができるよう,学習情報提供や学習相談のための計画等が必要であること,さらに,地域における学習環境を,人々の生活圏域に応じながら総合的な観点から整備していく必要があること。

第二は,有機的に連携する施設・環境である。人々の生涯にわたる学習活動を支援する基盤を総合的に整備していくためには,従来の単一的な利用形態を前提とした施設整備の在り方を発展させ,施設・環境について相互利用・共同利用,複合化を地域特性等に応じて推進することによって,個別施設ごとの対応では困難であった学習環境の高度化を図っていく必要があること。

第三は,情報通信・処理機能等の導入である。情報の通信・処理や施設の設備・管理等に関する技術,例えば,コンピュータ,ビデオテックス,ハイビジョン,テレビ会議システム,省エネルギーシステム等を文教施設に積極的に導入し,各種活動の活性化を目的とした高度な学習環境の整備充実を図っていく必要があること。

第四は,快適で豊かな施設・環境である。21世紀に向け,新たな学習環境を創造していくためには,人間性,文化性及び自然との調和に配慮した魅力的な施設の計画,例えば,コミュニケーションを促進する計画,地域の文化的特性や伝統を取り入れた計画,美しく豊かな空間となるよう調和のとれたデザイン,実体験につながる自然の場の計画等が必要であること。

さらに,インテリジェント化の推進方策としては,地域全体が学習の場として機能する生涯学習のまちづくりを推進するため,市区町村等が,幼児から高齢者まで様々な人々が生涯にわたって健康で心豊かに学習できる地域計画の観点からの学習環境総合整備計画を策定すること,文教施設のインテリジェント化の内容を適切かつ効果的に実現する新たな見地からの文教施設整備計画(1)特色ある文教施設複合型整備計画,2)特色ある文教施設個別型整備計画,3)地域情報通信ネットワーク整備計画)を,各地域において策定し実施すること等が必要であるとしている。

このように,本報告書は,学校教育施設,社会教育施設,文化施設,スポーツ施設その他の文教施設全般について,今後の新たな施設計画の理念,あるいは,設計思想を示すとともに,学習環境の整備を広く地域計画の観点から捉えていくことの必要性を指摘する等,これまでの文教施設整備について発想の転換を迫ったものといえる。

現在,各地域においても,生涯学習社会に向けた文教施設整備の新たな試みが行われ始めており,例えば,高等学校,生涯教育センター及び情報処理教育センターを複合施設として―体的に整備し,有機的に相互利用している事例(名古屋市),小学校の改築事業に伴い,幼稚園,社会教育館及び屋内温水プールを併せて複合化し,施設全体を生涯学習の拠点とするとともに,高度情報通信機能の導入や,人間的で豊かな環境の創造を目指した事例(東京都台東区,整備中)などがある。本報告書は,このような新たな動向に対する基本的な指針としての役割を果たすものであろう。

なお,文部省では,平成2年度から,文教施設のインテリジェント化について,具体的な推進と実証的な検討を実施することを目的とし,実際に地域,地区,施設を特定したパイロット・モデル研究を,教育委員会等に委託して行っている。平成2年度においては,1)沖縄県教育委員会(インテリジェント・シティとして新しく地域開発を目指す那覇市天久地区における,21世紀を展望した特色ある県立高等学校の計画),2)青森県三沢市教育委員会(国際交流型学園都市を形成するための中核施設としての,高度情報通信機能を備えた国際交流教育センター(仮称)の計画),3)東京都世田谷区教育委員会(併設された小・中学校の全面改築の機会に,区民の生涯学習のための機能をも附加させた複合型施設の計画)に委託している。

(1)地域学習環境計画 分担して整備する学習環境  一町の中で各々特色を持たせた小・中学校―

(2)特色ある文教施設複合型計画 大都市下町のコミュニティ・スクール ―気軽に集い学べる学習サロン-


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ