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1部   高等教育の課題と展望
第4章  諸外国の高等教育
第6節  ソ連
4  経済停滞のあおりを受ける学生生活


学生に対する福利・厚生サービスは主として大学が行っている。学生は,大学の図書館,スポーツ施設の利用,寄宿舎は無料で,学内での無償の医療を保障されているほか,交通料金の割引きや免除などの特典が受けられる。

高等教育改革により,学生は,大学の自治活動及び管理・運営に参加する権利が拡大された。学生生活にかかわる諸問題は,これまで学内の共産党の青年組織である全ソ連邦レーニン共産主義青年同盟(コムソモール)を通して大学側に提起し,解決していたが,共産党の―党独裁の放棄とともに脱退者が相次ぎ,組織及び活動は弱体化している。このため,学生は,コムソモールに代わる各種の学生組織を結成している。また,大学の人事や財政上の諸問題を審議,決定する大学評議会,大学の教育・研究に関する問題を扱う学術評議会,及び学部レベルの管理・運営を行う学部評議会には,いずれも学生が正式メンバーとして参加できるようになった。

住宅や食糧の不足などソ連の学生が現在抱えている日常生活の物質面・経済面の問題は,―般市民同様にかなり深刻である。各大学には寄宿舎があり,大学所在地以外の市町村出身の学生に提供されることになっているが,充足率はソ連邦全体で約8割である。また学生結婚が一般的であるため,家族用宿舎が特に不足している上,既存の設備は老朽化が著しく,寄宿舎の増改築は焦眉の課題となっている。

全日制課程の学生には,基本月額40ルーブル(全職種の平均賃金の17%程度)の奨学金が原則全員支給となっており,成績優秀者等に対しては特別奨学金の制度もある。しかしながら,国家予算から配分される奨学金のための財源が不足しているため,奨学金を支払えない大学があり,1989年度の全日制課程の大学生の奨学金受給率は76%であった。このため,学生は,学生が卒業後の就職を在学中に約束するなど企業との個別契約により生活補助金を受ける制度を利用することが奨励されているが,1989年度の受給者は8.2%であった。最近の物価上昇に伴い,奨学金だけでは生活に不十分となっているが,学生アルバイトは機会も収入も少ないため,多くの学生は親からの援助に頼っている。

この様な状況を改善するため,1990年度には,奨学金支給を完全実施し,1991年度より奨学金基本月額を60ルーブルに増額することが決定された。このほか新しい制度として,特に貧しい学生や,子どもを養育している学生に対して物質的・経済的援助を促進するための基金を各大学に設けること,及び第3学年以上の家族持ちの学生を対象とした学生ローンを導入することなどが決定されている。


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