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1部   高等教育の課題と展望
第4章  諸外国の高等教育
第6節  ソ連
1  高等教育のペレストロイカ


ソ連の高等教育機関は,国家計画に基づき社会建設に役立つ専門家を養成し,また,在職者の資格向上のための再教育を行う機関として機能しており,一般的教養人を育成する機関というよりはむしろ高度な専門教育機関としての性格が強い。高等教育機関には,総合大学と専門大学の2種類がある。前者は,科学の基本的部門のすべてにわたる専門家,研究者及び教員の養成を行う機関で,複数の学部により構成される。後者には,様々な工業部門の専門家を養成する総合技術大学と,その他の国民経済や文化の一定部門の専門家を養成する単科大学がある。

1917年の10月革命により,従来は一部の特権階級のものであった高等教育機関はすべて国公立となり,広く国民に門戸が開かれた。以来,高等教育は急速に発展し,第二次世界大戦後,特に1970年代から80年代半ばにかけ,通信制課程の定員を拡大するなど労働者の入学を優遇する政策がとられた結果,1960年に240万人であった高等教育人口は,1980年代初頭までに約2倍に増加した。1988年現在,総合大学69校,専門大学829校において,約500万人の学生が学んでいる。学生の構成は,夜間・通信制課程が広く普及しているため,働きながら学ぶ学生が45%以上を占める。また,中等教育機関修了者の現役進学率は,約17%である。

しかしながら,このような量的拡大の一方で,1980年代に入り専攻分野の過度の細分化,教育のマスプロ化,生産現場や研究機関からの遊離,カリキュラムの過密化,学生及び教員の質の低下,施設・設備の不足など教育の質を低下させる様々な弊害が顕著となり,科学技術及び生産労働の変化と高度化に対応できる専門家要員を輩出することは困難と認識されるようになった。

これらの問題を踏まえ,ゴルバチョフ政権の進める社会,経済のペレストロイカ政策の一環として,1987年3月に「高等教育及び中等専門教育のペレストロイカの基本方針」(ソ連邦共産党中央委員会及び閣僚会議の合同決定)が打ち出され,社会・経済の発展を加速化するための人材養成を効率的に行っていくことを目的とし,高等教育の質を改善していく方針が明らかにされた。以後,全日制課程における教育の拡充,要貝の過剰供給あるいは不足を是正するための専攻分野ごとの定員の見直し,教育内容・方法の改善,学生の生活条件の改善,教員の資質向上と待遇の改善,大学管理・運営の民主化,大学院レベルにおいて研究・教育要員の養成を充実させるための博士課程の新設など,高等教育全般にわたる大規模な改革が開始され,ペレストロイカの過程でソ連社会が直面する様々な問題に対応しながら,上記の基本方針を実施に移すための法令等の整備が進められている。

1-4-6  高等教育の規模


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