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1部   高等教育の課題と展望
第4章  諸外国の高等教育
第3節  イギリス
3  独特な教育水準維持の仕組み


大学教育においては一般に,一般教育は行われず,専門教育のみが行われる。学士課程の修業年限は多くの場合3年であるが,実習を必要とする専攻分野などでは学部・学科により4〜6年となっている。

単位制をとる学部・学科はまれで,一般には学年末試験の結果により進級が決定される。また,最終学年には学士号取得のための学位試験が行われる。学士号は,成績により“第1級”,“第2級の上”などいくつかのクラスに分かれている。進学や就職に当たっては,一般にどの大学を卒業したかよりもどのクラスの学士号を取得したかが重視されるので,学生はより上級の学士号を目指して熱心に勉学に取り組む。

このように出身大学よりは卒業成績が重視される背景として,イギリスの大学独特の教育水準維持の仕組みがある。それは学外試験委員制度と呼ばれるもので,他大学の教官が当該大学の試験委員会に加わり,出題の適切性や評価の妥当性などについて審査を行うものである。このような制度により,公正な学生の評価と各大学の教育内容・水準を一定に保つよう努力がなされている。

大学における教育条件を数量的にみると,教員(フルタイム)一人当たりの学生数(フルタイム)は7人弱であり,パートタイム学生を含めた場合でも8人弱と,比較的整っているといえよう。

大学院の修業年限は学部,学科によって異なるが,修士課程で1〜2年,博士課程で2〜4年である。大学における大学院の相対的な規模は,学部学生3人に対し大学院生が一人と極めて大きい。

大学及びその他の高等教育機関の大学院レベルの在学者は7万人強であり,その専攻分野別の構成は法経等21%,理学21%,教員養成19%,工学14%,人文・芸術11%,医・歯等6%などとなっている。我が国に比して法律・経済や理学の分野の在学者の比率が多い反面,工学専攻者の割合が著しく少ないことが特徴的である。また,教員養成の―部が学士号取得後の教職専門課程(1年)において行われているので,教員養成の在学者が高い比率を示している。

大学の教員は,大学の理事会との契約により雇用され,職階としては教授,准教授,上級講師,講師などがある。教授,准教授,上級講師は,一般に定年まで身分を保障するいわゆる終身在職権(テニュア)が与えられるが,講師以下については大学により2〜5年の任期制をとるものが多い。しかし,科学技術の急速な進展や産業界の多様なニーズにこたえられるよう大学の機構の柔軟化を図るとの観点から,1988年の教育改革法により,1987年11月20日以降に採用又は昇進した者については終身在職権を制限し,大学の財政上の理由から解雇できることとなった。


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