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1部   高等教育の課題と展望
第4章  諸外国の高等教育
第3節  イギリス
1  高等教育の規模と構造


イギリスの高等教育機関は,大学及びこれとは学位授与の仕組みや教育内容等において異なる非大学部門から成る二元的制度となっている。

大学はそれぞれに学位授与権を有し,その性格も学問・研究機関としての色彩が強い。経費の多くは国からの補助金によって賄われているが,設置形態としては,国王による設立勅許状(ロイアル・チャーター)によって設立された独立の法人(私立)である。中世に起源を持つオックスフォード,ケンブリッジの両大学,19世紀になって非宗教的な大学として初めて設立されたロンドン大学,戦後になって新設された大学など設立の経緯は多様であるが,その数はわずか45(1986年。以下同じ)である。このほか,やや性格を異にする大学として,財政面でも独立して運営されているバッキンガム大学,1969年に設立された主として成人を対象とする放送・通信制の公開大学がある。

大学以外の高等教育機関としては,社会の要請に応じた多様な人材の養成を目的として1960年代から70年代にかけて設立されたポリテクニクや,教員養成のための教育カレッジの拡大・再編によって1970年代に作られた高等教育カレッジがある。教育内容は一般に実務的な教育に重点が置かれ,各種の職業・技術資格の取得課程から教員養成課程や博士課程まで多様な教育を提供している。これらの機関は独自に学位授与権を持たず,学位の授与は全国学位授与審議会が行う。このほか継続教育カレッジと呼ばれる機関があり,ここでは各種の義務教育後の教育を提供しているが,多くは高等教育レベルの課程も設けている。この継続教育機関を含め,高等教育を提供する大学以外の械関は約730ある。

大学以外の高等教育機関は主として地方自治体によって設置・運営されてきたが,1988年の教育改革法に基づき,1989年,一定水準の規模と教育内容を持つ85校のポリテクニク及び高等教育カレッジが独立の機関として法人化され,財政面でも地方自治体ではなく,国から資金が与えられることとなった。これは,国家的な見地から,高等教育に対する経済・社会的なニーズにこたえることを目指した措置であるとされている。

イギリスの高等教育人口はほぼ100万人であり,大学とその他の高等教育機関の在学者数は,それぞれ約44万人及び約53万人と大学がやや小さくなっている。高等教育人口の推移をみると,1960年には30万人強であったものが,1970年にはほぼ2倍となり,1980年代の中ごろには3倍以上に増加した。

高等教育在学者全体のうち4割弱がパートタイムの形態で就学している。その内訳をみると,大学以外の機関が大学の2倍近いパートタイムの学生を受け入れている。また,このパートタイムの学生を中心として成人の比率も高くなっている。フルタイムの場合で8人に一人が,パートタイムでは3人に二人が25歳以上の学生である。

現在,イギリスでは新しい時代の要請にこたえるべく,高等教育改革が進められているが,1987年に政府が公表した「高等教育―挑戦への対応」と題する白書は,今日のイギリスの高等教育が直面している課題として,(1)産業界との連携を密にし,その要求にもっと有効にこたえること,(2)高等教育への進学率を高め,機会の拡大を図ること,(3)質を高めるとともに,効率化を図ることなどを指摘している。この白書の指摘は,1988年に制定された教育改革法やその他の施策により具体化されつつある。


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