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1部   高等教育の課題と展望
第4章  諸外国の高等教育
第2節  アメリカ合衆国
1  多様な機関と多様な学生


アメリカ合衆国の高等教育を特徴づけるものは,制度と教育の多様性及び規模の大きさである。

高等教育機関は,大別すると大学と短期大学がある。大学は次の3種類に分けられる。

短期大学は,通常,2年間の―般教育又は職業専門教育を行い,4年制大学の前期2年間に相当する教育及び完成教育(職業教育・訓練に重点が置かれる)を目的とする。―般に公立短期大学は,コミュニティ・カレッジといわれ,低額の経費で学生のニーズに合致した多様な内容の教育を提供している。

学部及び大学院該当人口(18〜24歳)は,1960年代及び70年代に大幅な増加を記録した。しかし,1981年以降は減少に転じ,1990年代はほぼ平坦に推移すると予測されている。18歳人口についてもおおむね同じ傾向をたどるものと推計されているが,1995年以降は増勢に転ずる見込みである。

高等教育機関在学者数は,伸び率に変化はあるものの,1960年代以降一貫して増加し,1961年の410万人から1987年の1,280万人へと約3倍になった。これは,戦後,復員学生に対する連邦奨学制度が設けられたこと,出生率の急上昇(ベビーブーム)に起因する該当年齢人口の増加及び特に1960年代に顕著であった進学率の増大などの理由による。最近の在学者の年齢構成を分析すると,該当年齢層の減少を,高い年齢(成人)層の学生増が補っている事実が指摘される。 1-4-2 にみられるように,22歳以上の「非伝統的学生」の増加,特に30歳以上の学生増が「伝統的」年齢層の減少を補い,高等教育人口の拡大を支える要因となっている。

非伝統的学生の過半数は,週末や休暇期間などの利用を含む多様なパートタイム形式の学習形態をとっている。1986年度在学者のうち,パートタイム学生の占める割合は43%である。

高等教育機関の数は,1986年現在,約3,400校で在学者数は約1,250万人(うち短期大学の在学者数は約468万人)である。このうち,私立の割合は学校数では約55%を占めているが,在学者数では約22%にすぎず,一般に私立のほうが規模が小さい。

高等教育機関の約3分の1は短期大学である。過去25年間に短期大学は倍増したが,その大部分は公立である。

中等教育に端を発して,近年,高等教育に及びつつある教育改革運動は,教育の質的改善を合意された目標としている。そのため,高等教育においては,学生が入学後卒業に至るまでにどの程度,どのような付加価値を身に付けたかを厳しく測定・評価すること,また,時代に即した教育内容への脱皮を実行すること等によって,大学教育の質を高め,優れた教育を保証する視点が重視されている。

質の改革に際しての留意点として,次の諸事項が挙げられている。すなわち,学生の学力改善については進学者の学力水準を高めるため,中等教育との連携に留意すること,大学教育に公共への奉仕の理念を盛り込むべきこと,合衆国市民の人種・民族構成の急速な変化を踏まえ,マイノリティ,特に黒人及びヒスパニックの高等教育在学者数を増やして,人口に占めるこれらの人々の割合に近づけるべきこと,合衆国の科学・技術水準の向上のために基本的な諸学問領域,特に工学において修士以上の上級学位取得者数を増やすこと,外国語の能力増進を図ること等である。

1) 総合大学……―般教育及び専門教育をほどこす数個の学部がち構成され,大学院レベルの教育及び研究に重点を置く比較的大規模の大学である。
2) 文理大学……―般教育と人文系諸学問及び科学との専門教育に重点を置く4年制大学。近年は,1)及び3)での,より上級の教育及び研究のための準備教育機関的性格を強めている。
3) 専門大学(または学部) ……,工,農,医,経営,教員養成等の分野における専門職業人の養成を目的とする。
1-4-2  年齢別にみた高等教育機関在学者数の推移


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