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1部   高等教育の課題と展望
第4章  諸外国の高等教育
第1節  概説
3  大学の教育


大学の教育についても,各国に違いがみられる。アメリカ合衆国の大学では,学部段階で一般教育を行った上で,大学院レベルで高度な専門教育を行うのに対して,イギリス,フランス,西ドイツの欧州諸国の大学は学部段階から専門教育を中心としており,学問的,研究的色彩が強い。我が国の大学は,学部において一般教育と専門教育とを一体的に行うこととされているという点では,アメリカ合衆国とこれら欧州諸国との中間的な性格を持つといえるだろう。ソ連の大学は,国家計画に基づいた専門人材の計画的養成という役割を担い,個別の職業と強く結びついた専門教育を行っている。

しかし,その履修に当たっては,欧米諸国やソ連の大学では,おおむね学生は勉学に集中しているという共通の状況がみられる。大学が少人数の授業により,きめ細かく指導したり,多くの課題を与えるという国は多く,また,大学の修了試験を厳格に実施している国も少なくない。

一方,学生にも比較的強い目的意識をもって勉学に取り組んでいる姿勢がみられる。

しかし,こうした反面,アメリカ合衆国では学生が学業不振で中退するケースも少なくないといわれ,最近,その実態を把握するため,連邦政府は全国調査を実施することを検討している。フランスでは,大学の第1期課程(2年)の修了前に中退する学生が入学者の半数以上に上っている。西ドイツでも修了試験まで至らず,中退する学生が約2割出ているという調査結果がある。こうしたことは,教育の質を常に高く維持しようとしている大学の姿勢を示している。

大学院段階の教育については,イギリスやフランスでは研究者養成を中心とした学問・究的志向を持ち,アメリカ合衆国では,こうした研究者養成に加え,高度な専門的職業人の養成という機能を備えている。

これらの国では,大学院は比較的大きな規模を持ち,教育・研究の面で社会的にも重要な役割を果たしている。また,アメリカ合衆国やイギリスでは,パートタイム学生がそれぞれ5割強,約4割を占め,社会人がパートタイム形態で多く就学していることも特徴的なことであり,こうした学生に対しては,大学院は職業上の知識・技術の取得や更新という実際的な要求にもこたえている。

教育・研究の質を維持し,向上させる上で教員の役割は重要であるが,教員の任用の在り方をみてみると,アメリカ合衆国では教授・准教授になる前の助教授・講師の段階は任期制がとられ,永続的に身分を保証される終身在職権(テニュア)をもつ教授・准教授になるには教授能力,研究成果などの面の審査を受けることになっている。イギリスでも,通常講師までは任期制がとられ,上級講師昇進後一般に終身在職権が与えられていたが,1987年以降採用のすべての教員については,終身在職権を制限し,財政上の理由から解雇できるようになった。西ドイツの大学では,公募によって欠員を補充する仕組みとなっており,原則として同一大学での教員の昇格は禁止されている。また,ソ連ではすべての教員に5年を任期とする任期制がとられ,5年ごとに再任のための審査が実施されており,審査の結果により解雇される場合もある。


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