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1部   高等教育の課題と展望
第4章  諸外国の高等教育
第1節  概説
2  人学制度


入学制度は各国様々であるが,入学に際して選抜があるかどうかという観点からみると,入学資格取得者を原則上選抜なしで入学させるフランスや西ドイツと,大学が試験成績あるいはその他の基準で入学者を選抜するイギリス,アメリカ合衆国,ソ連のグループに分けることができる。イギリスについては,選抜の前に入学の基礎資格を取得するために統一試験を受けるという点では,フランスや西ドイツと類似する面もある。

フランスや西ドイツでは,大学進学コースとなっている中等学校の修了時に行われる試験の合格者に対し,それぞれバカロレア,アビトウアと呼ぶ大学入学資格が与えられる。入学資格取得者は原則として希望の大学に入学できる。

これに対して,イギリスでは後期中等教育修了段階で行う統一試験(GCE試験)に各大学が要求する成績を収めた者の中から,その試験成績や中等学校長からの報告,面接結果等に基づき,また,アメリカ合衆国では,ハイスクール在学中の成績,全国規模の進学適性テストの得点,面接の結果等に基づき,それぞれ大学が入学者を決定する。判定の基準は大学により異なり,難易度も様々であるが,一般に社会的評価の高い大学は,学生への要求水準が高く,入学は難しい。これらの大学でも選抜の判定基準は単に学習成績だけでなく,学習以外の活動歴,面接結果等も参考として多面的に入学者を判定しており,しがも大学によっては決定に1年をかけるなど,時間をかけて入念な審査を行っている。

しかし,学習成績はやはり判定の大きな要素であり,このため中等学校段階で勉学にかなりの努力を要する状況にあることでは,我が国と変わりがない。また,入学資格取得者が原則上全員入学できるフランス,西ドイツでも,中等学校の段階で大学に進学する生徒が成績により限られていく仕組みになっており,大学進学のために高い学習成績が求められるという点では同様である。

しかし,勉学は厳しいものの,大学進学をめぐっての生徒間の競争は,これらの欧米諸国では必ずしも深刻ではない。その背景には様々な事柄があろうが,例えば,社会で重視されるのが大学での学習歴や成績であり,大学名のみが特に重要とされることがなく,一定のレベル以上の大学の間では著しい格差がないこと,入学後に学部や大学院段階で大学間移動が我が国に比べて比較的容易なため,入学時でどの大学を選択するかが大きな意味を持たないことなどから,少数の大学に希望者が集中しないという事情がある。また,欧州諸国では,大学進学が我が国ほどには社会的経済的な成功の条件として必ずしも考えられていないことなどから,限られた生徒しか大学進学を目指さないことも,背景の一つとして考えられる。

こうした欧米諸国に対し,ソ連では国家の基幹要員への道へ通じる大学への入学競争が激しく,入学希望者の半数以上が入学できないという状況になっている。


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