ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
1部   高等教育の課題と展望
第4章  諸外国の高等教育
第1節  概説
1  急速な拡大と多様化


第2次世界大戦後,特に1960年代と1970年代を通じて欧米諸国の高等教育は,我が国と同様,飛躍的に拡大した。経済の発展,科学技術の急速な発達等による高等教育の役割に対する期待の増大,国民生活の向上に伴う進学意欲の高まり,高等教育該当年齢人口の増加などを背景に,教育機関の増設や課程の拡大が積極的に進められた結果であった。

高等教育機関の在学者数は,我が国では1960年から今日までの間に大学,短期大学,高等専門学校(4・5学年)では3倍,専修学校(専門課程)を含めると4倍に増えたが,本章で取り上げた国でも,この期間,アメリカ合衆国3倍,イギリス3倍,フランス5倍,西ドイツ5倍,ソ連2倍といずれも大きく増加している。

このようにして,今日各国の高等教育はかつてない規模を持つに至っているが,原則として週のほとんどを学習に充てるフルタイム学生の進学率でみると,現在最も高い比率を示しているのがアメリカ合衆国(44.3%,1986年),次いで我が国となっている(大学,短期大学・高等専門学校への進学率36.8%,1990年)。イギリスは23.9%(1986年),フランスは′31.6%(1986年),西ドイツは20.6%(1986年)である。我が国(よ専修学校(専門課程)を含めるとさらに高い比率となる゛(53.7%,同年)。また,アシリ力合衆国やイギリスでは,フルタイム学生のはか一日のうち数時間や週の数日を学習に充てるパートタイム学生が多く入学しており,その入学該当年齢人口に占める比率は,それぞれ17.6%,20.2%(ともに1986年)となっている。

各国における大学以外の高等教育機関については,我が国では短期大字や高等専門学校,そして専修学校が誕生し,発展してきたが,アメリカ合衆国でも公立の短期大学(コミュニティ・カレッジ)が拡大し,西ドイツでも高等専門学校が増加するなど,幾つかの国では短期の高等教育機関の占める比率が増大している。イギリスでは実学志向の非大学部門がポリテクニクや高等教育カレッジなどとして整備され,発展してきた。フランスでは規模は小さいが,同じく実学志向でもしばしば大学より高い評価をもつグランゼコールがある。このように,各国の高等教育機関は多様になってきている。

また,高等教育の規模拡大に伴い,成人学生が増加し,学生の年齢構成が大きく広がったことが各国に共通の変化の特徴の一つとして指摘できる。しかし,この点では我が国は事情を異にしている。我が国では,大学入学者のうち97〜98%が高等学校卒業後3年までに入学しているなど学生は若い年齢層に集中しているが,アメリカ合衆国を始め,各国では,資格を重んじる社会の雇用慣行などを反映して,パートタイム制等により成人学生が多く就学しており,25歳以上の学生の比率が3〜5割を占めている。このような成人学生の多さは,高等教育機関が生涯学習に重要な役割を果たしていることを示している (図1-4-1)

このような規模と構造を持つ各国の高等教育が現在抱える課題は,必ずしも同じではないが,一般教育を中心にした教育内容の改善(アメリカ合衆国),進学率の向上・産業界との連携・教育及び研究の効率化(イギリス),コースの弾力化や質の高い教員の確保(フランス),高等教育機関の個性化・多様化(西ドイツ),管理運営の民主化・効率化(ソ連)などが教育・研究の質の向上や社会への貢献という観点から進められている。

本章の以下の節では,各国ごとに,高等教育を全体として概観した後,主として大学について入学制度,教育,学生生活,行財政の状況をみていくが,ここではこれらの中の幾つかのテーマについて各国を比較しながら述べることとする。

1-4-1  高等教育機関における25歳以上の学生の比率


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ