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1部   高等教育の課題と展望
第2章  高等教育の現状と課題
第5節  私立学校の現状と振興助成
4  私学財政の状況



(1) 基本的な考え方

私立学校を設置,経営する学校法人の財政状況を分析するに当たっては,一般の営利企業とは基本的に異なる点があることに留意する必要がある。

一般に営利企業は利益を得ることが基本目的とされるから利益が多いほど会社の成長力が高く,経営的にも財政的にも優れているものとみられている。これに対し,学校は教育研究を目的とする公共的かつ恒久的な組織体であるから,余剰が多いほどよいという解釈は成立しない。むしろ長期的にみて学校財政が健全に維持されているか否か,学生一生徒などの経済的負担が適切であるかどうか,教員組織や施設設備等の教育研究条件が適切に充実されつつあるか否かという立場から,財政状況を分析することが重要である。


(2) 消費収支の状況

文部大臣所轄学校法人について,昭和63年度の消費収支計算書により消費収支の状況をみると,帰属収入(学校法人の負債とならない収入)の合計は,大学法人(集計法人数335法人)が3兆1,757億円,短期大学法人(同257法人)が5,306億円となっている。帰属収入のうち最も大きな割合を占める学生生徒等納付金は,大学法人が1兆6,064億円,短期大学法人が3,036億となっている。また,補助金収入は大学法人が3,591億円,短期大学法人が881億円となっている(統計には大学又は短期大学に併設学校を設置していればその分も含む)。これを構成比率の推移でみると,大学法人の場合,学生生徒納付金の割合が微増,補助金の割合が漸減となっている (図1-2-40)

また,昭和63年度の消費収入(帰属収入から基本金組人額を差し引いた額)をみると,大学法人が2兆5,785億円,短期大学法人が3,935億円となっている。

一方,消費支出の状況をみると,大学法人が2兆5,542億円,短期大学法人が3,463億円となっている。また,帰属収入がどのような消費支出にどの程度支出されているかをみると,最も大きな割合を占めるのは人件費であるが,構成比率の推移でみると,大学法人の場合,人件費の比率が漸減し,教育研究経費,管理経費が漸増しており,教育研究の充実に向けて努力がなされていることがうかがえる (図1-2-41)

1-2-38 教員一人当たりの学生数の推移

1-2-39 学生一人当たりの校舎面積の推移


(3) 資産,負債等の状況

昭和63年度末の貸借対照表により資産,負債等の累積状況をみると,資産総額は大学法人が9兆6,670億円,短期大学法人が1兆7,657億円となっそいる。負債総額は大学法人が2兆6,359億円,短期大学法人が4,518億円となっている。基本金は大学法人が7兆2,893億円,短期大学法人が1兆1,802億円となっている。累積の消費収支差額をみると大学法人が2,581億円の支出超過,短期大学法人が1,337億円の収入超過となっている。また,総負債比率(総資産に対する総負債の割合)は大学法人は27.3%,短期大学法人は25.6%となっており,大学法人,短期大学法人ともに年々好転してきている。

1-2-40  大学法人帰属収入構成比率の推移


(4) 経営基盤安定のための努力

学校法人の財政状況は,全体としてみれば年々改善してきているが,大学法人が多額の支出超過(累積)の状態にあることや,長期借入金が大学法人で8,110億円,短期大学法人で2,053億円あることを考慮すれば,今後とも寄附金の積極的な受入れや保有資産の効率的運用等を含め,経営基盤の安定に一層努力する必要がある。

なお,資産運用をどのように行うかは,学校法人自らがその責任において判断すべき事柄であるが,これらの資産は学校の教育研究活動を支える大切な資産であるので,具体的な資産運用に当たっては,安全性に留意した慎重な取組が望まれるところである。

上述のように,学校法人が自ら経営の健全性を高めていくためには,その財務状況について広く関係者の理解を得ることが大切である。学校法人は,貸借対照表や収支計算書などの財務諸表を常に備え置くこととされており,必要に応じて財務状況を関係者に明示することが望まれる。

1-2-41 大学法人帰属収入に対する主な消費支出構成比率の推移


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