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1部   高等教育の課題と展望
第2章  高等教育の現状と課題
第3節  入学者選抜の改善
4  今後の改善の方向



(1) 入学者選抜の内容・方法の改善
1) 特色ある多様な入学者選抜の推進

今日,大学教育が量的に普及し,大学入試が一部の高校生だけに関するものではなくなっている。そして,大学入試の在り方が高等学校のみならず教育全体に大きな影響を及ぼしており,画一的な偏差値偏重の進学競争になりがちであるとの指摘がある。

このため,国公私立の各大学を通じて,入学者選抜の内容・方法のより一層の多様化を推進することが重要である。各大学は,学力検査のみに偏ることなく,調査書,面接,小論文,実技検査等を適切に組み合わせて,入学志願者の能力・適性等を多面的に判定する方向で引き続きその改善を図ることが期待される。また,推薦入学や帰国子女・社会人等の特別選抜の導入を促進することも重要である。このような改善を進める観点から,大学入試センター試験の円滑な実施・定着を図るとともに,より多くの私立大学が大学入試センター試験を適切に利活用することが期待される。


2) 国公立大学の受験機会の複数化の推進

また,国公立大学の受験機会の複数化についても,,受験生の選択の機会の拡大や多様な選抜方法の導入を促進する観点に立って,分離・分割方式の採用等引き続き積極的な改善の努力をすることが要請されている。

なお,入学者選抜の改善を図るため,入試に関する実証的な研究を行い,その成果を将来の入学者選抜の改善に反映させていくことが重要である。このため,各大学の入試担当部門を整備充実し,入学後の学修状況のフォローアップ等を行うことや,大学入試センターにおける入試関連研究の充実を図ることが大切である。


(2) 進路指導の改善充実

過熱した受験競争の中で,コンピュータによる大量の受験情報の処理が可能となったこともあり,進路選択がややもすると偏差値偏重に陥り,不本意入学や大学の序列化の問題も各方面から指摘されている。このため,高等学校においては進路指導の改善充実に努める必要があり,生徒自身の主体的な進路選択能力の向上を図るとともに,生徒の能力・適性等や本人の希望を尊重した進路指導を行う必要がある。

その際には,多様な能力,適性,興味・関心等を有する進学希望者や各高等学校に対し,個々の大学の教育・研究内容等に関する情報や各大学の入試に関する情報等,進学希望者個々人の進路選択に資するための大学に関する適切な情報が十分に提供されることが必要である。

このような要請にこたえるため,大学入試センターにおいてはキャプテン通信網を通じたハートシステムの整備充実に努めることが大切である。また,各大学においても,大学説明会や高等学校関係者との懇談会の開催,大学紹介用のビデオ等の作成など,正確で質の高い,生徒のニーズにこたえる大学情報の提供の―層の改善充実を図ることが重要である。

ハートシステムについて「ハートシステム」=Higher Education Articulation support system

大学入試センターが,進学のための大学情報を各大学から収集し,その情報をデータベース化することにより,利用者がキャプテン通信網を通じて,個別大学の情報の入手はもとより,例えば専門分野等によって大学問を横断的に検索し,志望する学部・学科等が全国どの大学に設置されているかなどの情報を即時に知ることができるシステムである。

ハートシステムのメニュー

1 志望大学の選択…利用者の希望条件の設定により,利用者の入りたい大学・学部・学科を横断的に検索

2 大学案内…………各大学の教育,研究内容等(大学の概要,就職先,教育課程の特色,教官の研究テーマ等)を体系的に整理して提供

3 HEART速報………大学案内等の配布,大学説明会,キャンパス公開等の情報を3か月単位に提供

4 人試案内…………大学入試センター試験及び各大学の試験の内容,志願者数等の統計情報,大学の新増設情報等の提供



(3) 学歴偏重の社会的風潮の是正

入学者選抜の改善を推進することは教育改革の重要な課題の一つであるが,このためには国公私立の大学,高等学校関係者を始めとする社会全体の幅広い努力と協力が不可欠である。

近年,生涯賃金や就職後の昇進などの面では学歴格差は縮小しているといわれているが,学歴や有名校を重視する風潮が依然として根強い。

このような背景には,一部の企業等において特定の学校に偏った新規学卒者の採用が行われるなどの慣行があるといわれている。また,今日,大学への入学が決まる時期が事実上高等学校卒業段階に集中し,学生の大学間の移動や社会人の入学などが困難であるため,この時期における受験競争を一層激化させている面がある。

このような状況を踏まえ,今後,過度の受験競争をより緩和していくためには,入学者選抜の改善,高等学校における進路指導の改善充実,大学の個性化・様化など多角的な努力を行っていくとともに,学歴偏重や有名校偏重の社会的風潮の是正に,教育界のみならず,社会全体として取り組んでいく必要がある。

このため,大学サイドにおいては,それぞれの理念・特色を生かして個性化,多様化を推進するとともに,社会人特別選抜の拡充や学士入学,転学,転学部などを容易にするための編入学定員の設定等の方策を推進することが必要である。また,職員の採用や人事管理の面において,多面的な能力評価に基づいた人材の採用や実力本位の登用などに一層努めるよう,社会の理解と協力を求めていくことが必要である。


(4) 中長期的な課題の検討

大学入試の在り方は,高等教育だけでなく高等学校以下の教育全体に大きな影響を及ぼすものである。その意味において,大学入試の改善は,常により良い方途を見いだすべく不断の努力を傾注すべき重要な課題であり,受験生の立場に十分配慮し,相当の時間をかけた準備期間をおいて改革を行うことが必要である。こうした認識を前提とし,さらに,中長期的な課題として改善方策を模索し,探究する必要がある。

このため,大学審議会において,現在,中長期的な観点に立って大学入試の改善のための基本的な視点や方向等について検討しており,また,中央教育審議会においては,後期中等教育と高等教育の接続の改善を図る観点からその在り方について検討を行っている。


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