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1部   高等教育の課題と展望
第2章  高等教育の現状と課題
第2節  拡大した高等教育の現状・課題と整備充実
4  高等専門学校



(1) 高等専門学校の役割と現状

高等専門学校は,専門の学芸について理論的な基礎の上に,実験・実習・実技を重視しつつ5年間一貫した教育を行うことを目的としている。

充実したカリキュラムのもとての少人数教育を行い,短期の高等教育機関ではあるが,高度の専門能力を修得することができるため,産業界から高い評価を受けており,卒業生に対する企業の求人状況も極めて高く,平成元年度の求人倍率は19倍となっている (図1-2-14)

高等専門学校は,昭和37年の制度創設後,数年の間にまず,工業高等専門学校の設置が急速に行われ,その後は,社会の要請を踏まえて新たに,商船高等専門学校,電波工業高等専門学校の設置が行われた。

昭和51年には,おもに高等専門学校の卒業生を受け入れるための技術科学大学が,長岡,豊橋に2校設置され,高等専門学校卒業生の修士への進学の道を大きく広げることとなった。

最近に至って,情報化を中心とした技術の進歩,産業構造の変化を背景とし,電子系,情報系等学科の新設,改組が計画的に進められている。

高等専門学校の現状を特徴ごとにまとめてみると,次のようである。

1-2-14  高等専門学校の卒業生に対する求人倍率

1) 高等専門学校は規模が小さく,1学年当たりの学生数は約1万人で,学生数全体に対し,15歳段階では0.6%,18歳段階では1.0%の比率にとどまっている (表1-2-21)
2) 学校数62校のうち,国立54校,公立4校,私立4校でほとんどが国立である (表1-2-22)
3) 分野はほとんどが工業系で,電気・電子系(31%),機械系(25%)が多いが,近年情報系が急増している(昭和61年6%→平成2年14%) (図1-2-15)
4) ほとんどが男子学生であるが,女子も増加しつつあり,平成元年度入学者で女子の割合が1割を超えた。
5)卒業生のほとんどが製造業を中心とした大企業に就職しているが,大学への編入学も増加(平成元年3月卒業者数で11%)している。
6) 高等専門学校に学ぶ外国人留学生は,平成元年5月1日現在で198人であり,全学生数に占める割合は0.4%とまだ低い状況にあるが,年々増加しつつある。

1-2-21 高等専門学校の後期中等教育・高等教育における位置(在学者数)

1-2-22 設置者別学校数・学科数・入学定員・在学者数・教員数(平成2年度)

1-2-15 分野別入学者数


(2) 高等専門学校の課題
1) 社会のニーズへの対応

科学技術の進歩,産業構造の変化等に対応した学科の新設,改組が求められている。また,急速な技術革新の進展により,技術者に要求される能力は,即戦力の専門知識以上に,幅の広い基礎知識に重点が置かれるようになりつつある。このため,高等専門学校の教育目標を改めて明確にし,これに即した,教育内容・方法の改善,設置基準の見直しが求められている。


2) 高等教育の多様化への対応

高学歴化の進展の中で,高等専門学校で学ぶ学生の中にも,大学・大学院へ進学を希望する者が増えてきている。このため,高等教育の多様化及び高等教育機関相互の連携の必要性の観点から,大学編入学の一層の円滑化を図るなど他の高等教育機関との連携強化の在り方についての検討が求められている。


3) 分野の拡大等

現在,分野が工業,商船に限られているが,効果的な教育活動の利点を生かすことからも,また,高等専門学校の活性ある発展のためにも,分野の拡大,高等学校からの編入学の拡大等が求められている(図I-2-16)。


4) 教育環境の改善

施設設備が老朽化し,教育環境が悪化している。このため,教室,学生寮等を中心に全般的な改築・改修が強く求められている。


5) 国際化への対応

国際化の進展に対応して,留学生の一層の受入れ,教員の技術協力の拡大等が必要となっている。


(3) 高等専門学校の整備充実

最近の科学技術の高度化,融合化に伴い,また,産業界からの高等専門学校卒業生に対する強い人材需要にこたえるため,社会的需要の高い学科への転換改組や,新学科の設置を積極的に進めてきている。

国立の高等専門学校については,社会の高度情報化への移行に伴い,

1-2-16  高等専門学校編入学の状況

1-2-23  学科の新設・改組の状況

構造的な人材不足となっている情報系技術者の人材養成を図るため,電子制御工学科,情報工学科,電子情報工学科の設置を行っている。また,情報系学科のほか,バイオテクノロジー技術者の養成を図るため,最近新たに生物工学科の設置も行ってきている。

既存の学科についても,従来の機械工学科をメカトロニクス関連の学科へ,金属工学科を幅広い材料を対象とする材料工学科へ,工業化学科を新素材,バイオ関係技術を対象とする物質工学科への改組を進めてきている。

また,電波通信学科についても光通信技術や情報通信技術を取り入れた教育を行うとともに,これにふさわしい名称の変更を行っている。

さらに,公私立の高等専門学校についても,電気工学科や機械工学科を電子工学科や情報工学科へ転換を図るなど,社会的にも需要の高い分野の人材の養成に努めてきている (表1-2-23)


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