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1部   高等教育の課題と展望
第2章  高等教育の現状と課題
第2節  拡大した高等教育の現状・課題と整備充実
3  短期大学



(1) 短期大学の役割と現状

短期大学(本科)の学生数は約47万人,入学者約24万人,教員数約2万人と,極めて大きな教育セクターとなっており,このうちの9割が女子である。女子の短期大学への進学率は,昭和40年の6.7%が平成2年度には22.2%と上昇している。平成2年度の女子の大学への進学率15.2%に比べても,7ポイント上回っており,短期大学は女子の高等教育への進学に大きく貢献していると評価できる。

短期大学は,暫定的な制度として発足した昭和25年に公立17校,私立132校の計149校であったが,その後増加を続け,制度が恒久化された昭和39年には,国立29校,公立40校,私立270校の計339校となり,平成2年には593校までになっている (図1-2-11)

学生数(本科)でみても,昭和25年1万4,000人,40年14万5,000人,50年35万人と拡大していったが,50年代以降高等教育の量的拡充の抑制策により,その拡充は著しく鈍化し,60年には36万6,000人にとどまった。

その後18歳人口の急増現象の中で再び増加に転じ,現在は47万3,000人となるに至っている (図1-2-12)

現在,短期大学はその規模,分野などが極めて多様であるが,現状を特徴ごとにまとめてみると,次のようである(平成2年5月1日現在)。

1)短期大学を設置者別にみると,学校数では,国立41校(7%),公立54校(9%),私立498校(84%)となっており,私立の割合が高い。また,学生数でみると,国立1万8,000人(4%),公立2万2,000人(5%),私立43万3,000人(91%)となっており,学校数と同様に私立の割合が高い。
2)男女別学生数は,男子4万人(9%),女子43万3,000人(91%)で女子の比率が極めて高い。また,女子の進学率,志願率(高校3年女子)をみると,短期大学では,平成2年度はそれぞれ22%,27%となっており,4年制大学の進学率15%を大きく上回っている。 しかしながら,近年女子の4年制大学への進学志向が高まりつつある(短期大学の進学率はこの5年間で1.3ポイント上昇したが(20.9%→22.2%),大学は2.7ポイント上昇(12.5%→15.2%)している)。
3)短期大学に学ぶ外国人留学生は,平成元年5月1日現在でその数は874人で,全学生数に占める割合は0.2%とまだ低い状況にある。
4)分野の状況を入学者数でみると,家政系,人文系が多く,合わせて50%を占め,教育系,社会系を加えると80%を占めている (図1-2-13)
5)短期大学の自県内への進学率は59%と大学の36%に比べて大きく,短期大学は大学に比べてより地域性が強いといえる (表1-2-17)
6)規模については,短期大学は1校当たり学生数は約800人と,大学の4,000人に比べて,小さくなっている。
1-2-11  短期大学学校数の推移

1-2-12  短期大学学生数の推移

1-2-13  短期大学の専門分野別入学者数の割合(平成2年度)

1-2-17 大学・短期大学進学者の流動状況


(2) 短期大学の課題
1) 社会的ニーズへの対応

従来,短期大学教育は,主として女子に対するいわば教養型の高等教育を中心に実施してきたといえるが,情報化,国際化など社会の変化により,短期大学における専門職業教育へのニーズも高まっており,今後は,これに的確に対応していく必要が生じている。

既に,情報関係学科,医療関係学科,秘書教育学科等の設置,家政関係学科の生活科学科等への転換等が行われてきており,今後,こうした対応が一層求められることになると考えられる。


2) 高等教育の多様化への対応

社会全体の高学歴化の進展の中で,女子についても高学歴化の傾向が進み,4年制大学への進学志向が高まってきており,今後もこの傾向は続くものと考えられる。このような状況の中で,短期大学の学生の中にも,卒業後も更に専門分野の学芸を深めたいという希望も増加しているなどニーズの多様化が進んでいる。このため,短期大学卒業者の大学への編入学制度の一層の円滑化を図るなど,他の高等教育機関との連携,協力の在り方について検討が求められている。


3) 生涯学習機能の充実

短期大学においては,地域の住民等を対象とする公開講座の実施(63年度;267校874講座,8万7,000人受講)や社会人の特別枠を設定した入学者選抜の実施(63年度 81校)も増加しており,地域の生涯学習の中心的な機関としての役割が高まってきている。

このため,今後短期大学においては,これらを一層促進するとともに,生涯学習機関としての役割をも視野に入れて,履修形態やカリキュラムの多様化,柔軟化等の工夫を進めていくことが必要である。


(3) 短期大学の整備充実

以上のような課題に対して,短期大学については次のような整備充実を行っている。

1) 国立の短期大学は,ほとんどが大学併設の短期大学部でその半数は医療技術系,4分の1が法商系,4分の1が工業系となっている。 うち,法商系,工業系は夜間の短期大学となっているが,教育体制を更に充実するという観点から改組転換を図り,それぞれの母体となる大学の既設学部に主として夜間に授業をい行うコースを設置してきている。昭和62年度は電気通信大学,昭和63年度は京都工芸繊維大学,平成元年度は群馬大学、平成2年度は茨城大学と山口大学に設置された。 医療技術系については,近年の医学・医療の進展に対応するため,専修学校の短期大学への改組転換等により既に,平成2年度までに22の短期大学部を設置してきている。 また,社会のニーズに対応するため,大学に併設していない独立の短期大学も新たに設置されている。昭和58年度には,地域の多様な要請に積極的にこたえ、広く地域社会に開かれた特色ある短期大学として高岡短期大学が設置され,昭和61年度から学生を受け入れている。学科は 1-2-18 のとおりである。さらに,昭和62年度には筑波技術短期大学が設置された。同短期大学は,聴覚障害者及び視覚障害者を対象とする国立の短期大学として,職業技術に関する教育研究を行い,幅広い教養と専門の技術を併せ持つ職業人を育成し,障害者の社会自立を促進することを目的としている。学生の受入れは聴覚障害関係学科については平成2年度,視覚障害関係学科については平成3年度となっている。学科は 1-2-19 のとおりである。
1-2-18 高岡短期大学の学科の概要

1-2-19 筑波技術短期大学の学科の概要

2) 公立の短期大学は,従来から地域の社会的要請に応じた教育研究を行っているが,近年,一層地域との連携や社会への開放など,その特色を生かした多様で高度な教育活動の実施が求められてきている。 このため,公立短期大学では,医療技術系の学科を設置するなど,地域の要請等に応じた教育体制の整備が進められている。
3) 私立の短期大学は,高等教育の拡充に寄与してきており,特に,18歳人口急増期に当たる昭和61年度以降は,毎年度かなりの規模で学科増,入学定員増を行ってきている。 昭和61年度から平成2年度までの5年間に,短期大学が49校新設され,これら新設の短期大学を含め154の学科が増設された。この結果,短期大学の入学定員は3万8,000人増員された。これらの学科のなかでは,職業能力育成を目指す学科の設置が目立っており,特に,経営情報を中心とした情報系の学科,医療技術系,秘書系の学科の増加も著しい。さらに,国際化の進展に対応して,英語学科等の設置も際立ってきている (表1-2-20) 。 こうした状況に対応すべく,文部省は短期大学が学科の転換改組をより柔軟に実施することができるよう,既存学科を母体とする学科の転換等については,当該短期大学の収容定員の増加を伴わない場合には,審査期間を1年間(通常2年間)とするなど,認可手続等の簡素化の措置を講じている。
1-2-20 職業能力育成を目指す学科等の設置状況(私立短期大学)


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