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2部   文教施策の動向と展開
第9章  国際化の進展と教育・文化・スポーツ
第6節  海外子女・帰国子女教育の充実
1  海外子女教育の充実



(1) 海外子女教育の現状

我が国の国際的活動の進展に伴い,海外に長期間滞在する邦人数が急増しており,その同伴する義務教育段階の子どもの数も平成元年度現在約4万7,000人に達している( 2-9-5 )。

国内と全く異なる教育環境に置がれたこのような子どもに対し,日本国民にふさわしい教育を行うために,現地の日本人会等が設置主体となって日本人学校,補習授業校が設置されている。

日本人学校は,義務教育段階の教育を行うことを目的とする全日制の教育施設で,平成元年度現在84校が設置されている。また,補習授業校は,現地校等に通学している子どもに対し,土曜日等に国語その他の一部の教科について授業を行う教育施設で,平成元年度現在136校が設置されている( 2-9-6 )。

また,日本人学校,補習授業校以外の在外教育施設が平成元年度現在7校(ヨーロッパ地域6校,中南米地域1校)設置されている。特に近年,国際化の観点や外国政府・自治体の誘致などにより,国内の学校法人等が海外に教育施設(私立在外教育施設)を設置する動きがみちれる。


(2) 海外子女教育の施策

海外子女教育は,我が国の主権が及ばない外国において展開されるものではあるが,国内とは異なる環境に置かれた子どもに対し,日本国民にふさわしい教育を行うとともに,併せて国際性を培うことを目的とするものであり,我が国の公教育の一環をなすものとして位置付けることができる。文部省は,その重要性にかんがみ,在留邦人の保護を所掌する外務省との連携を図りつつ,海外子女教育振興のための施策を講じている。

まず,海外の日本人の子どものための教育施設で国内の学校に相当する教育課程を有するものについては,文部大臣の指定を受けることにより,国内の学校への入学資格を付与するとともに,その適正な運営が行われるように指導・助言を行っている。

次に,日本人学校・補習授業校については,その教育水準の維持向上を図るために,文部省は,毎年度国内の国立,公立及び私立の義務教育諸学校の教員を派遣している。これは,海外子女教育に関する施策の中で最も大きな役割を果たしているものであり,平成元年度現在の派遣教員定数は,1,118人に達している。このほか,私立在外教育施設に対し,国内の学校法人が教員を派遣する場合に,それに要する経費の一部を補助している。

また,海外子女教育の教育内容の充実を図るため,海外子女教育研究指定校の指定,校長研修会の開催,国内の教育情報の提供などを実施するとともに,義務教育教科書の無償配布,日本人学校・補習授業校への教材整備,通信教育事業の推進などの施策を講じている。

さらに,補習授業校については,その教育水準の向上を図るため,補習授業校巡回調査や在外教育施設派遣教員による巡回指導等を実施している。

2-9-5  海外の子どもの数等の推移

2-9-6  平成元年度 海外の子ども(学齢段階別)の地域別就学状況


(3) 国際化に対応した海外子女教育

日本人学校等における教育は,従来,ややもすると国内の教育に目が向けられがちであるが,海外における教育という特性を生かし,国際性豊かな日本人の育成に積極的に寄与する特色ある教育活動を展開する必要がある。このため,所在国の実情を踏まえて,できる限り現地で得られる経験を積ませるとともに,現地の子どもを受け入れるなど日本人学校等を国際的に開かれたものとする必要がある。さらに,現地社会との教育・文化交流活動を積極的に進め,現地社会への理解を通じて異なる文化への理解を深め,世界と日本とのかかわりの中で日本人としての自覚をもって生きる国際性豊かな日本人の育成を図ることが期待されている。

現在,日本人学校においては,それぞれの所在国の言語や歴史,地理などの現地の事情についての指導を取り入れたり,現地校等との協力の下に,運動会,音楽会等の諸活動を通じて現地の子どもとの交流の促進に努めている。また,日本人学校の中には,国際学級を設けるなどして外国人の子どもを受け入れているところもある。

今後とも,現地の事情等を十分勘案しながら,このような活動が一層活発に展開されることが期待されている。このため,文部省においては,取り組むべき事項や配慮事項を通知して指導の徹底を図るとともに,海外子女教育研究指定校制度の活用とその研究成果の普及などの施策の充実に努めている。


(4) 海外子女教育の推進に関する研究協議

海外子女教育に対する社会的要請の変化,増大等の時代の変化に適切に対応するため,文部省では,昭和63年度から有識者の協力を得て海外子女教育の推進に関する研究協議を行っている。


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