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2部   文教施策の動向と展開
第9章  国際化の進展と教育・文化・スポーツ
第4節  留学生交流の推進
2  留学生受入体制の整備充実


文部省では,有識者の提言を踏まえ,21世紀初頭に10万人の留学生を受け入れることを目途に,これまで幅の広い施策の総合的推進に努めてきている。政府は,留学生の受入体制の一層の整備充実を政府一体となって進めるため,昭和63年4月「留学生等の交流推進に関する閣僚懇談会.を発足させているが,文部省では,同懇談会における懇談結果等を踏まえ,現在,以下のような施策を重点的に推進している。


(1) 海外における留学準備

我が国への留学希望者がスムーズに留学を実現するためには,海外における留学情報の提供,入学選考方法の改善など留学準備のための体制を整備することが重要である。

2-9-2  留学生数の推移(各年5月1日現在)

2-9-3  出身地域別留学生数(昭和63年5月1日現在)

2-9-6  出身国(地域)別留学生数(昭和63年5月1日現在)

2-9-7  主要先進国との留学生数の比較

1)  留学情報提供の充実

留学生が自らの留学目的に合った大学を選択し,実りある留学をするためには,我が国の事情や個々の大学の教育研究上の特色等に関する豊富な情報が必要である。このため文部省では,(財)日本国際教育協会の留学情報センターを通じて内外からの問合わせに対応し,併せて英文による日本の大学案内誌等の刊行・海外への送付等の留学情報提供を行っている。

平成元年度においては,引き続き留学情報資料の充実を図るとともに,海外において「日本留学説明会」を,中国,マレーシア,タイ,インドネシアの4か国で開催することとしている。

2)  私費外国人留学生統一試験の海外実施準備に関する調査

留学生は,日本と異なる教育事情の下で教育を受けてきたため,入学者選抜に当たっては留学生の特性に配慮した選考方法を採る必要がある。このため文部省では,(財)日本国際教育協会を通じて「私費外国人留学生統一試験」及び「外国人日本語能力試験」を実施し,各大学に対しその積極的活用を促している。

しかし,現在大学の学部等に入学しようとする多くの私費留学生は,まず,入学先未定のまま来日し,日本語学校等で勉強した後,希望する大学等の入学試験を受けており,来日してから留学する大学等が決まるまでの1〜2年間不安定な状態での日本滞在を余儀なくされている。

このような状況を改善するため,日本への留学希望者が母国においても希望する大学への入学を決定できる仕組みを整えることは,今後一層留学生を受け入れていく上で重要な課題といえる。そのためには現在国内でしか実施されていない私費外国人留学生統一試験を海外でも行うこととし,その結果に基づいて,留学する大学を決定し得るような仕組みを整備することが有効と考えられ,平成元年度においては,その実施方法等について調査研究を行うこととしている。

3) 海外における予備教育

日本への留学生が大学等への入学後,専攻分野の研究教育を円滑かつ効果的に進めていくためには,渡日前に日本語及び基礎教科等につき学習しておくことが望ましい。このような観点から,現在,文部省では中国及びマレーシア政府派遣留学生を対象として,日本人教員を現地に派遣し,日本語等の渡日前予備教育を行っている。


(2) 安定した留学生活基盤の確立

留学生が充実した勉学生活を送るためには,安定した生活基盤を確立することが必要であり,このため各種の援助施策等を充実することが重要な課題となっている。

1) 国費留学生(文部省奨学金留学生)の拡充

国費留学生(文部省奨学金留学生)制度は,広く諸外国の青年に奨学金を支給して我が国の大学等に招致する事業として,昭和29年の制度発足以来,世界の日本留学希望者の期待にこたえるためその拡充に努めてきた。現在では100を超える国々において国費留学生の募集を行っており,受入留学生数も昭和63年5月現在で4,118人に達している。

また,諸外国の様々な教育事情と各種の留学目的に対応するため制度の多様化など,その充実が図られている(表2-9-8)。

国費留学生は留学生受入れの牽引力としての役割を果たすものであることにかんがみ,平成元年度においても,引き続き前年度より230人多い2,505人の国費留学生を新たに受け入れ,総数では5,373人を受け入れることとしている。

また,昭和62年12月に発効した日ソ文化協定に基づく日ソ文化協定実施計画によって,平成元年度からはソビエト連邦を国費留学生の募集対象国に加えた。

2-9-8  国費留学生の種類等

2) 私費留学生への支援

我が国の大学等で学んでいる留学生の約8割は私費留学生であり,近年における円高等によりその生活は厳しいものになっている。文部省では,私費留学生に対しては,従来から,医療費の80%補助,学習奨励費の支給,授業料減免措置,優秀な私費留学生の国費留学生への採用等の施策を実施しているところである。

平成元年度においても,引き続き,私費外国人留学生を対象として,授業料減免を実施した学校法人に対する援助(授業料の30%を限度として支給)を行うとともに,学習奨励費制度を私費留学生に対する本格的な育英奨学制度とするため,大幅に拡充(対象者数500人→2,500人,支給額 学部レベル4万円→4万5千円,大学院レベル6万円→6万5千円)するなど,私費留学生に対する施策を推進している。

また,近年,大学等の留学生奨学基金のほか,民間奨学団体や地方公共団体による留学生への奨学事業も活発になっており,これらの活動の一層の拡充が期待されている。

3) 宿舎の確保

留学生のための宿舎の確保は,充実した留学生活を送るための基礎となるものである。周知のとおり我が国の住宅事情は,一般的に非常に厳しいものがあり,とりわけ大都市部に居住する留学生にとって宿舎の確保は大きな問題となっている。

このため,文部省では従来から国立大学に留学生宿舎の建設(昭和63年現在36大学計2,596人分)を進めるほが(財)日本国際教育協会の新留学生会館の建設を進めるなど,留学生宿舎の整備を進めるとともに,公益法人が設置運営する留学生宿舎については,税制上の優遇措置を講じることなどにより建設の促進を図っている。

さらに,近年は,企業の社員寮や公営・公団住宅への留学生の入居や,地方公共団体による留学生宿舎の建設など,各方面の協力により,留学生のための宿舎の確保が図られつつある。

平成元年度においては,新たに,適切な民間下宿・アパートを確保するための指定宿舎制度の創設,地方公共団体や民間団体が留学生宿舎を建設する場合に奨励金を交付する制度の創設,社員寮の提供等を促進するための(財)留学生支援企業協力推進協会に対する助成など,多様な方法により留学生の宿舎を確保するための施策の推進に着手している。


(3) 大学等の受入体制の整備

来日した留学生が充実した勉学生活を送れるようにするためには,我が国の大学等が,世界に対して開かれた真に魅力的な存在になることが必要である。このため我が国の大学等では,留学生としての特性に配慮した教育指導上の工夫改善やきめ細かく留学生を世話する体制の整備が図られつつある。文部省では,大学等の受入体制を整備するため,従来から例えば国立大学に対しては,留学生特別指導費等を措置するとともに,留学生受入れに伴う専門教育教官や「日本語・日本事情」担当教官,留学生業務担当職員等の配置を進めている。平成元年度においても,こうした留学生関係の教職員計59人を国立大学に配置することとしているほか,留学生の精神的悩み等について相談に応じるカウンセラーを配置するための予算措置を講じている。

一方,私立大学等に対しては,各大学等の受入留学生数を勘案した私立大学等経常費補助金の特別補助を行うことにより各大学等における留学生の受入体制の整備を促進してきており,平成元年度においては,対前年度比26%増の16億1,600万円を計上している。

また,現在,一部の国立大学等においては,留学生の特性に配慮した教育指導を行う観点から英語による授業を行うコースを開設するとともに,学位授与に当たって英語等外国語による論文作成を認める等の配慮を行っている。


(4) 地域における受入体制整備とアフターケアの充実等

1) 地域における受入体制整備

留学生の受入体制を充実・整備するためには,国の施策の充実,大学の受入体制の整備とともに,各地域において,大学を中心とした官民一体となった留学生受入体制を整備していくことが重要である。既に,大阪,兵庫,広島等の11地域(平成元年8月現在)において,地域の大学,地方公共団体,経済団体,ボランティア団体等を構成員とする留学生交流推進会議が設置され,地域に密着した活動が推進されているが,平成元年度予算においては,これらの活動を支援し,更に各地域へ拡大していくための予算措置を講じている。

2) アフターケアの充実

また,我が国の大学等で学び,帰国した留学生は,我が国とそれぞれの母国とのかけ橋となる人々であり,きめ細かなアフターケアを行うことが重要である。従来から,帰国した国費留学生を短期研修のため我が国に招へいする事業や,それぞれの専門領域の研究を進めていくために必要な専門学術誌等の無料送付を行ってきたが,平成元年度においては,専門学術誌等の無料送付を私費留学生にも拡大している。


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