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2部   文教施策の動向と展開
第8章  文化の振興
第5節  文化施設の整備
1  国立文化施設の整備


国立文化施設は,我が国を代表する文化施設であるとともに,地域の文化施設の中核的役割を果たすものであり,我が国の文化の振興にとって欠かせない存在である。

国立文化施設としては,以下に述べるように国立美術館,国立博物館,国立文化財研究所,国立劇場が設置されており,順次その整備を行ってきた。現在は,第二国立劇場(仮称)の整備推進に全力を傾けている。


(1) 第二国立劇場(仮称)の整備推進

昭和41年に国立劇場法が制定されて以来,特殊法人国立劇場は,主として我が国古米の歌舞伎,文楽等伝統的な芸能の公開,伝承者の養成,調査研究等を行い,その保存及び振興を図ることにより,我が国の文化の向上に寄与してきた。

一方,オペラ,バレエ,ミュージカル,現代舞踊,現代演劇等我が国現代舞台芸術のための国立劇場(第二国立劇場(仮称))については,平成元年度は,実施設計を完了させ,敷地整備工事に着手する予定である。

また,特殊法人国立劇場を第二国立劇場(仮称)の設置主体とするため,その目的・業務に現代舞台芸術に係る事項を追加すること等を内容とする「国立劇場法の一部を改正する法律」が第114回国会で成立したことを受け,国立劇場に第二国立劇場(仮称)準備室を設置し,開場に向けての諸準備を進めている。

第二国立劇場(仮称,建設予定地は東京都渋谷区)は,我が国初の四面舞台を備えた大劇場,中劇場及びオープンステージを持つ小劇場を有する総合劇場であり,完成の暁には,国際的にも屈指の劇場となり,我が国舞台芸術振興の中核として,また,国際文化交流の拠点として,さらには,舞台芸術の情報センターとして機能することが期待されている。


(2) 国立美術館

優れた美術作品,その他の資料を収集・保管して公衆の観覧に供し,併せてこれに関連する調査研究及び事業を行うことを目的として,東京国立近代美術館,京都国立近代美術館,国立西洋美術館,国立国際美術館の四美術館が設置されている。このうち,東京国立近代美術館では,近代美術に関する作品等に,京都国立近代美術館では,工芸を主体とした近代美術に関する作品等に,国立西洋美術館では,フランス政府から寄贈された松方コレクション及びその他の西洋美術に関する作品等に,国立国際美術館では,日本美術の発展と世界の美術との関連を明らかにするために必要な美術に関する作品等にそれぞれ重点を置いて収集,展示している。

これらの美術館においては,主な事業として,所蔵作品を順次展示する「常設展」と,特定の課題に基づき内外の美術作品を展示する「企画展」を行っている。昭和63年度には,「写実の系譜3-明治中期の洋画」,「図案の変貌 1868-1945」(東京国立近代美術館),「現代イギリス工芸」(京都国立近代美術館),「マックス・クリンガー展」(国立西洋美術館),「現代アメリカ版画の断面・作家と工房」(国立国際美術館)などの特別展を開催した。また,講習会や講座等の開催,展覧会図録や館報の刊行,友の会組織の運営などにより美術の普及に努めるとともに,美術作品や美術史等に関する調査研究を行い,その成果を展示事業や普及事業等に反映している。

さらに,近年,公・私立の美術館がかなり増加したことから,優秀な学芸員の確保や館所蔵品の体系的な収集が重要な課題となってきており,このため,国立美術館においては,従来から公・私立美術館の学芸貝を一定期間,国立美術館に受け入れ,職務に従事しながら研修する制度等各種研修事業を実施しており,さらに平成元年度においては,文化庁と国立美術館が協力して全国の美術館,博物館の学芸員を対象とする公・私立美術館,博物館学芸貝等専門研修を実施し,学芸員の資質の向上に努めている。

今後は,学芸貝研修の充実,情報資料の収集・提供のシステム化など公・私立美術館への指導援助機能の一層の充実が求められている。


(3) 国立博物館

国宝・重要文化財を始めとする有形文化財を収集・保管して公衆の観覧に供し,併せてこれに関連する調査研究及び事業を行うことを目的として東京,京都及び奈良に三つの国立博物館が設置されている。このうち,東京国立博物館は,我が国最古で随一の総合的な博物館として,日本・東洋の有形文化財全般を,また,京都国立博物館は京都を中心とする畿内の文化財,奈良国立博物館は仏教美術を中心とする文化財にそれぞれ重点を置いて収集し,展示している。これらの博物館においては,館蔵品,寄託品を中心に,文化庁長官の勧告等により出品された国宝・重要文化財を加えて「常設展示」を行うほか,昭和63年度には,「日本の考古学-歩みとその成果-」(東京),「畿内と東国-理もれた律令国家-」(京都),「古神宝-神々にささげた工芸の美-」(奈良)などの大規模な「特別展」を開催している。

国立博物館には,館蔵品等に関する情報資料が多数保管されており,情報資料センターの機能を持つ組織を設けてその公開を行っているが,今後,調査研究・サービス機能を充実するため,コンピュータによる情報資料のデータベース化と各施設相互間のネットワーク化の推進が必要である。


(4) 国立文化財研究所

東京及び奈良の国立文化財研究所は,文化財に関する調査研究,資料の作成及びその公表を行っている。このうち,東京国立文化財研究所は,美術,芸能,文化財保存修復技術等を,奈良国立文化財研究所は,遺跡,建造物等の不動産文化財を主に対象としている。

これらの文化財研究所においては,従来からの考古学,建築史学,美術史学等の分野の研究とともに,自然科学的な手法も取り入れて,学際的,複合領域的な学問研究の成果を結集した文化財に関する研究を行っている。

また,文化財に関する各種情報資料の処理システムの開発の基礎的研究を進めており,平城京長屋王邸跡から出土した木簡を始めとする遺跡遺物のデータベースの作成や全国の遺跡に関する航空写真の検索システムなどの情報処理化について成果が上がっている。


(5) 国立劇場

我が国の伝統芸能の保存と振興を目的として,昭和41年7月,国立劇場法により,特殊法人国立劇場が設立され,同年11月には,東京都千代田区に本館(大劇場,小劇場)が開場した。

その後,昭和54年には,落語,講談等の演芸に関する演芸資料館が本館隣接地に,58年には能楽堂が東京都渋谷区に,59年には文楽劇場が文楽発祥の地大阪市にそれぞれ開場している。

国立劇場においては,古典の正しい維持と保存を心掛けた伝統芸能の自主公演を行うとともに,歌舞伎,文楽,能楽等の伝承者の養成,伝統芸能に関する調査研究,資料の収集等の事業を行っており,我が国の伝統芸能の保存・振興の拠点として,大きな役割を果たしている。


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