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2部   文教施策の動向と展開
第8章  文化の振興
第1節  施策の概要


経済の発展や科学技術の進歩により,国民の生活水準は著しく向上し,現在の我が国は,物質面においてこれまでにないほどの繁栄をみせている。それに伴い国民の間には,心の豊かさを求める傾向が極めて強くなってきている。また,自由時間の増大などによる文化への関心の拡大,人口構成の高齢化が進む中での高齢者層の生きがいの追求などの要因もあり,国民の間にはかつてないほど文化への志向が強まっており,文化の時代と言われるまでになっている。このため,多様で個性的な文化をより高い水準で,より広範に,より身近に求めようという国民の要請に対応して,伝統的な文化を継承しつつ,広い視野に立って,多様で豊かな文化を創造発展させることが必要となっている。

文化行政の役割は,国民の自発的な文化活動を刺激し,伸長させるとともに,国民が文化を享受し得るための諸条件を整えることを基本にしながら,個人の活動として限りがあるところに手を差し伸べて,その足りない面を補い,不均衡を是正することによって全体としての文化の振興を図っていくことにある。国民の文化志向の高まりに対応していくために,このような文化行政の役割を前提としつつ,幅広い文化基盤の整備,芸術活動の奨励援助,国民が自ら文化活動に参加し,又は文化を享受できる機会の拡充,文化財の保存と活用,文化の国際交流の推進が文化施策の方向として位置付けられている。

平成元年度においては,特に次の四点を重点事項として文化の振興に努めている。

第一は,芸術創作活動の推進である。高度の舞台芸術活動を展開するため,海外公演や大規模な国内公演あるいは創造性の高い公演を企業等民間の協力も得て行う施策である「芸術活動の特別推進」の大幅な拡充など芸術創作活動の推進を図っている。

第二は,第二国立劇場(仮称)の整備推進である。オペラ,バレエ,ミュージカル,現代舞踊,現代演劇など我が国の現代舞台芸術の殿堂となり,文化の国際交流の拠点ともなる第二国立劇場(仮称)については,国立劇場法の一部改正を行い,特殊法人国立劇場をその設置主体とし,開場に向けて準備を進めている。

第三は,文化財の整備活用の推進である。我が国の文化や歴史を理解するのに欠かせないものであり,また,将来の我が国の文化の向上・発展の基礎として貴重な国民的財産である文化財を保存するとともに,国民生活の中で生かされ,親しまれるように活用を図っている。特に,住民がふるさとの歴史や伝統的な文化と触合い,親しむ場所として史跡等を活用する「ふるさと歴史の広場」の整備を進めている。

第四は,文化の国際交流の推進である。我が国の文化を一層豊かなものとするとともに,国際社会において我が国が文化面でも積極的な役割を担うことが必要であり,新たに,海外からの優れた芸術家の招へい,各国の文化政策担当者を集めての文化政策国際会議の開催,国民文化祭などの場を利用して青少年を始め地域において文化活動を行っている人々の国際交流を行う国民文化国際交流事業などを実施し,文化の国際交流を進めている。

文化庁では,これらの施策を通じて文化の全般的な振興に努めているが,今後その一層の充実を図るとともに,国民の文化への志向の高まりや情報化や国際化の進展など最近の社会の状況の変化を踏まえて,新たな視野から文化政策を展開することが課題となっている。


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