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2部   文教施策の動向と展開
第5章  学術研究の振興
第5節  学術情報等の収集・利用の促進
1  学術情報の収集・提供サービス


学術研究の急速な発展に伴い,その成果として生み出される学術情報の量は急激に増大しており,研究者が研究動向を着実に把握する上で目を通さなければならない文献の数も日々増加している。

また,研究者が必要とする情報の形態も,文字情報,実験デ一夕等の数値情報,画像情報,あるいはこれらの組合せといったように多様化している。その結果,個々の研究者にとって必要な文献等の情報を手近にそろえることは,次第に困難となってきている。

このため,今後とも,学術情報の体系的・網羅的な収集に努め,研究じん者に対し迅速・的確に提供していく体制を強化していくことが重要な課題となっている。

文部省では,このような情報を踏まえて,昭和61年4月に全国の大学の共同利用機関として「学術情報センター」を創設し,同センターを中心として全国の国公私立大学の図書館,コンピュータ・センター等を専用回線で結ぶ,全国的かつ総合的な学術情報流通体制の整備を積極的に推進している。

学術情報センターは,全国的な学術情報ネットワークの中心となるとともに,それを通じて,各種データベースの情報検索サービス,図書・雑誌の目録所在情報サービス,電子メールサービスなどのサービス事業や,大学図書館職員等を対象とした教育・訓練などを行い,我が国の学術情報流通の拠点機関として重要な役割を担っている。


(1) 学術情報ネットワークの整備

学術情報センターを中心として現在整備を進めている学術情報ネットワークは,全国主要拠点間を高速ディジタル専用回線で結び,これに各国公私立大学等を通信回線で接続して,データベースの検索,電子メール(コンピュータの間で情報を交換すること)などのサービスを提供しようとするものである。このため,まず,昭和62年1月に東京〜大阪間を高速ディジタル回線で接続したのを皮切りに,昭和63年度までに,札幌〜鹿児島間,東京〜千葉・筑波間,東京〜群馬・新潟間に延長した。

また,平成元年度においては,さらに,東京〜信州間,京都〜金沢間,広島〜愛媛間,福岡〜長崎・熊本間に拡大している。

また,諸外国の情報ネットワークを接続することにより,我が国の大学等での研究成果を広く海外に紹介し国際的にも正当な評価を得るようにするとともに,我が国の研究情報を入手したいという諸外国からの要請にこたえ,併せて我が国の研究者のニーズに則した研究情報を諸外国から効率的に入手できるようにすることが大きな課題となっている。このため,昭和63年度に学術情報センターと米国国立科学財団(NSF)との相互接続を行ったのに引き続き,平成元年度には,英国図書館との相互接続を開飴し,学術情報の国際的な流通の促進を図っている。


(2) キャンパス情報ネットワークの整備

全国的な学術情報ネットワークの構築とともに,各大学内においても学術情報を始め多様な情報の流通やコンピュータの高度利用を進めるため,全学的な情報流通の促進を図るキャンパス情報ネットワーク(学内LAN)の整備を進める必要がある。

これにより研究者は,研究室にいながら学術情報センター等のデータベースや各種コンピュータに容易にアクセスすることが可能となるなど学術研究の進展に大いに寄与するものと期待されており,大学の実情に応じた学内LANの整備を行う大学が増加してきている。昭和62年度から,国立大学において大規模な学内LANの整備を進めており,昭和63年度までに東北大学の整備を行い,平成元年度には,前年度からの京都大学と併せて,北海道大学及び名古屋大学の整備を進めている。

2-5-4  全国及び海外にひろがる学術情報ネットワーク (平成元年4月現在)


(3) 大学図書館の高度情報化と多機能化

大学図書館は,大学の研究者や学生等の利用者に対し,図書・学術雑誌を始めとする各種の資料や学術研究・教育に関する情報を提供する機関として重要な役割を果たしている。

特に,学際化・国際化等の進展が著しい学術研究の分野では,膨大な量の学術情報の中から,研究者は自らが必要とする情報を迅速・的確に入手する必要がある。他方,近年の情報通信・情報処理技術の発達によって,様々な形態での情報の迅速な伝達が可能となっている。このため,情報の入手に関する研究者の要望は,今日,急激に多様化し高度化している。

このような状況の中で,大学図書館は,大学の中核的な情報資料センターとして高度な情報提供システムを確立し,情報サービスの多機能化を推進していく必要があり,学術雑誌やAV資料の収集・提供はもとより,データベースによる情報検索,ファクシミリ通信による文献情報の提供等を積極的に展開していくことが急務となっている。

目録情報サービスの充実や貸出・返却等業務の合理化のための大学図書館へのコンピュータ導入は,昭和63年5月1日現在,全大学の約44%にあたる214の国公私立大学で行われている。これは,前年の同時期に比べ75校の増,伸び率にして約54%もの増加率である。

また,昭和62年度からは,図書館の資料は図書館が相互に利用することによって利用者の便宜を図ろうという資源共有の理念のもとに,大学図書館間の文献複写を促進するため,国立大学附属図書館に高速ファクシミリの導入を進めており,平成元年度には新たに導入する29大学を加え,59大学に設置される。


(4) データベース作成等の推進

大学等の研究者が必要とする学術情報を迅速かつ的確に利用し得るようにしていく上でデータベースの果たす役割は極めて大きい。特に我が国では,欧米諸国に比べてデータベースの作成が立ち遅れている状況にあり,その促進は緊急の課題となっている。

このため,文部省では,平成元年度には,国立大学等において24件のデータベースの作成を推進している。また,関係学会等によるデータベースの作成について科学研究費補助金による助成を行っており,平成元年度は,教育ソフトウェアデータベース,化学文献テータベースなど, 55件のデータベース作成事業を助成している( 2部第10章第5節参照)。

2-5-5  国立学校特別会計及び科学研究費補助金で作成しているデータベース


(5) 学術用語の制定・普及

難解で多様な学術用語を整理統一し,平易簡明なものにすることは,学術の進歩とその正しい普及にとって極めて重要であり,学術情報流通の基盤としても大切な意味を持つものである。

このため,文部省では,昭和22年以降,関係学会の協力を得て,学術審議会の答申・建議に基づき,各専門分野ごとに学術用語を制定し,それぞれ「学術用語集」として編集・刊行するなど,その普及に努めている。これまでに,数学等28分野の学術用語を制定しており,そのうち,動物学等9分野については,既に改定を行っている。

また,現在,新しく学術用語を制定するために作業を進めている分野は教育学等4分野,改定するための作業を進めている分野は遺伝学等4分野である。


(6) 研究成果の公開発表

科学研究費等による独創的,先駆的な研究成果を広く社会の各方面に公開し,我が国全体の創造的な科学技術の振興に資するために,文部省の支援により,昭和61年度から,「大学と科学」公開シンポジウムが開催されている。このシンポジウムは,科学研究費等による最新の成果のうち,社会的に関心が高いと思われる研究分野をいくつか取り上げ,それぞれの研究分野ごとの第一線の研究者の研究発表や,参加者との間での意見交換の場を提供している。


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