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2部   文教施策の動向と展開
第4章  私立学校の振興
第1節  施策の概要


戦後の私立学校行政の大きな特徴は,次の二点である。第一は,教育基本法,学校教育法,私立学校法の制定により,私立学校に対する所轄庁の権限を大幅に縮小し,私立学校の自主性が重んじられたことである。

第二は,設置者を,原則として学校法人に限定し,その組織,運営等について民法の法人に対する規定の不備を補い,学校の経営主体たるにふさわしい公的性格を与え,その設置する私立学校の公共性の高揚が図られたことである。

また,昭和24年に制定された私立学校法において,新たに,国,地方公共団体は私立学校教育に関し必要な助成をすることができるとして公の助成の法的可能性を明確にしたほか,学校法人については,私立学校の財政的基盤を強化する一助として収益事業を行うことを認めたことも大きな意義を有している。

この公の助成に関して,以前は,昭和27年に設立きれた私立学校振興会を通じる融資のほかは,個別の施設や設備に対する補助の制度しかなかったが,昭和45年度には私立大学等の経常的経費に対する補助の制度が創設されるとともに,私立学校振興会を発展的に解消して日本私学振興財団が設立された。また,私立の高等学校以下の学校に対する助成についても,各都道府県の間で助成の実情に差ができていたこと等もあり,その一層の充実を図るため,昭和50年度から都道府県に対する国庫補助制度が新たに創設されたよそして,昭和50年には私立学校振興助成法が制定され,私学助成についての国の基本的姿勢と財政援助の基本的方向が明らかにされ,国による私立大学等の経常的経費についての日本私学振興財団を通じての補助や,学校法人に対する都道府県の補助に対する国の援助についての規定が置かれた。また,この法律は,国,地方公共団体が,学校法人に対して税制上の優遇措置を講ずるよう努めるべきことを規定している。

これらにより,私立学校は戦後大いに発展し,我が国の学校教育の普及,特に高等教育,後期中等教育及び幼児教育の普及充実の面において重要な役割を果たしてきており,平成元年5月現在では,大学生の73%,短期大学生の91%,高校生の28%,幼稚園児の77%が私立学校に通っている。

また,近年,学校教育全般について,社会や国民の多様化・高度化する要請にこたえ,特色ある教育を推進することが求められているが,このような面においても,建学の精神に基づく個性ある教育研究を行っている私立学校の役割は一層重要となってきている。

ところで,私立学校法により,私立学校のうち,大学,短期大学,高等専門学校の高等教育機関は文部大臣が,幼稚園,小学校,中学校,高等学校等の初等中等教育機関及び専修学校,各種学校は都道府県知事がそれぞれ所轄庁となっている。文部大臣,都道府県知事は,これらの学校及びその設置者となる学校法人等の設置,廃止の認可等を行うほか,教育課程,教員組織,施設設備等の教学的な面及び財政状況等の経営的な面からその独自性を尊重しつつ,必要に応じ指導助言等を行っている。

そして,現在,私立学校振興助成法に基づく経常的経費の補助や,私立大学等の教育研究装置等に対する補助,私立高等学校の経常的経費を補助する都道府県に対する国庫補助,日本私学振興財団の貸付事業,私立学校に関する税制上の優遇措置が私学振興のための主要な施策となっているが,これらの施策の課題は次のとおりである。

第一は,私立学校振興助成法等に基づく経常費補助を中心とした助成措置である。この制度は,私立学校の教育研究条件の維持向上や私立学校に学ぶ者の経済的負担の軽減等に資することを目的として設けられており,近年の財政状況等を総合的に勘案しつつその確保に努めている。

本制度については,臨時教育審議会答申において指摘され,また,教育改革推進大綱にも示されているように,私立学校の学校教育に果たす役割の重要性にかんがみ,特色ある教育研究プロジェクトに対する助成等を重視しつつ,引き続き,その推進を図ることとしている。

第二は,日本私学振興財団による私立学校の施設設備の整備等に必要な資金の貸付事業であるが,本事業においては,各学校法人の資金需要に適切に対処しつつその運用を進める必要がある。

第三は,私立学校に係る税制上の優遇措置である。現在,学校の設置主体となる学校法人には,種々の減免税措置が講じられている。また,学校法人に寄附等を行った者についても,個人の場合,法人の場合のそれぞれについて,一定の額の所得控除や損金算入を認めること等により,特段の配慮がなされている。今後はこれらの制度を一層活用し,教育研究条件の整備充実や経営基盤の安定に役立てることが課題といえる。

さて,我が国の学齢人口は既に減少期に入りつつあり,この状況の下,多様化・高度化する学校教育に対する要請に柔軟かつ的確に対応できるかどうかは,各私立学校にも深くかかわる問題となってくると考えられる。既に一部では,国際化や情報化に対応して,新たな学校の設立や学部・学科の増設,改組再編が行われている。なお,文部省も,本年4月に大学,短期大学の学部等の転換改組を容易にするために申請の手続を簡素化する措置をとった。また,特に大学等では生涯学習体制の整備の一環として,開かれた学校を志向した公開講座の開設,社会人の受入れ等が進められている。

私立学校がその社会的な責務を引き続き果たしていく上で,このような各学校自身の主体的な取組にこれまで以上の期待が寄せられており,今後の私立学校の振興策についても,このような取組を支援する観点を重視しながらその充実を図っていくことが求められている。


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