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2部   文教施策の動向と展開
第3章  高等教育の改善・充実
第2節  大学改革の推進
2  大学教育・制度の改善



(1) 大学教育の改善

大学の教育研究の質的充実を図るためには,各大学における自主的,自発的な改善・改革への取組を奨励することが大切である。このため,これまでも大学教育に関する基準の弾力化等,制度面での改善を数次にわたって行ってきた。ここでは,制度改善後の大学教育の現況や大学審議会の審議の動向を踏まえ,今後の改善の方向等について概説する。

1) 教育課程等の改善

大学の教育課程は,大学設置基準に基づき,一般教育科目,外国語科目,保健体育科目,専門教育科目等で構成されているが,その現状に関しては,特に一般教育の在り方,一般教育と専門教育との関係等に関し,問題が指摘されている。

一般教育の理念・目標は,大学の教育が専門的知識の修得だけにとどまることのないように,学問を通じ広い知識を身に付け,ものを見る目や自主的,総合的に考える力を養うことにあるが,一般教育の実態からかいみて,その理念・目標と乖離しているとの指摘がある。このため,例えば,人文,社会,自然の各分野の領域にわたるいわゆる総合科目を開設し得るようにするなどの基準の弾力化を図っている。昭和63年度において,全体の46%に当たる227大学で,総合科目が開設されている。また,一般教育と専門教育との有機的な関連を図る努力がなされている。例えば,各大学において,入学後早い機会から専門教育を履修させ,3,4年次においても一般教育を履修し得るようにするいわゆるくさび型教育課程を導入する等の改善努力も行われている(2-3-3 )。

今後は,4年間の学部教育全体の中で,各大学が,それぞれの教育研究の理念,目標に沿った創意・工夫を行うことができるよう,大学設置基準の大綱化を図ることが課題とされている。

同時に,できる限り演習等の小人数教育を充実させていくなど,学生の学習意欲を高めるとともに,カリキュラム開発の促進等,学習効果を上げるための方途についても検討していくことが必要である。

さらに,大学問の交流・協力を推進し教育内容の充実を図るため,大学間における単位互換の制度が設けられているが,この制度の一層の活用を含め,高等教育機関間の連携を促進する方途を検討していくことも必要である。

2-3-3  くさび型教育課程の実施状況(昭和63年度)

2) 学期区分等の改善

大学の入学時期については,学年の途中においても学期の区分に従い,学生を入学卒業させ得る措置を講しており,今後とも,国際化の進展等に柔軟に対応するため,この制度の一層の活用が望まれる。

また,年間の授業期間,日数・週数等を定めている基準についても,教育課程等の基準の弾力化の要請や社会の週休二日制の普及等,時代に対応した今後の検討課題である。

3) 大学入学資格の拡大

大学の入学資格についても,大学の国際化,生涯学習の充実等の観点から,その弾力化を図ってきている。

特に,近年の海外子女の増加等の状況にかんがみ,文部大臣の指定する在外教育施設の課程修了者への大学入学資格付与など,逐次,その拡大を行ってきた。

さらに,後期中等教育の活性化・多様化を図るため,臨時教育審議会答申を受けて,修業年限3年以上の専修学校高等課程のうち文部大臣が指定するものの修了者に大学入学資格を認める措置を講じた。昭和63年11月現在,217校がこの指定を受けており,対象となる生徒数は,修業年限3年以上の専修学校高等課程の在学者の約87%に当たる5万5,520人が大学入学資格を認められる対象となっている。


(2) 大学の社会への開放

1) 大学の社会への開放

大学がその機能を活用し,社会人等の職業能力の開発や教養・文化活動等の事業を実施することは,生涯学習を推進する上で,重要な課題となっている。各大学においては,こうした要請にこたえ,入学者選抜における社会人特別粋の設定,施設の開放,昼夜開講の課程の開設等の措置が進められており,また,公開講座の開催への活発な取組が行われている( 2部第2章第3節参照)。

2) 放送大学

放送大学は,テレビ・ラジオによる授業を中心として大学教育を実施しており,社会人等に対し,極めて効果的に学習機会を提供することができる。

社会人等は,自ら放送大学に入学し,あるいは独自に放送大学の放送や市販されているテキストを活用する等により,放送大学を生涯学習に役立てている。今後,放送教材の活用,教育交流,単位互換の推進等関係各大学の協力により,更に学習効果が上がるものと期待される。なお,放送大学は,平成元年4月に初めての卒業生544人を送り出した( 2部第2章第3節参照)。

3) 大学院の社会への開放

大学院レベルでの社会人のための再教育(リカレント教育)の需要は近年急速な高まりをみせている。このため,従来から,高度の専門的能力を有する職業人養成を目指す修士課程の充実を図り,社会人の修学に即応した教育方法が実施できるように夜間その他特定の時間等に授業を行うことを認める等の措置を講じている。また,各大学院における教育研究の内容についても,従来の専攻領域にとらわれず,時代の要請に応じた高度な教育研究を実施するため,創意工夫に努めている例が増加している。

平成元年度においては,筑波大学が夜間大学院として,教育研究科,経営・政策科学研究科を開設したほか,各大学において,カリキュラムについての実践的な内容構成の重視,現職研修の形での社会人受入れ等の工夫が行われている。

なお,大学院における社会人の積極的受入れを促進するため,大学審議会答申の趣旨を踏まえ,夜間における教育方法等について大学院設置基準の改正を行った。

4) 教員への社会人の登用

大学の教育研究の一層の発展を図る上では,教員の採用に当たり大学,研究機関にとどまらず,広く社会に人材を求め,その優れた知識・経験を活用する道を開く必要がある。このため,既に,大学学部については教員の資格に関する基準を改め,学位や教育歴の有無にかかわらず,優秀な人材を大学の教授,助教授に採用し得るように改善したが,大学院担当教員の資格についても,大学審議会の答申の趣旨を踏まえ,大学院設置基準の改正を行った。


(3) 大学の組織・運営の改善

1) 大学の組織・運営に関する制度面での改善

大学には,学部,研究科等の教育研究組織のほか,管理運営組織として,学長,学部長等の職や評議会,教授会等の合議制機関及び事務局が設置されている。大学における教育研究は,これらの機関が,それぞれ,その役割と機能を十分に発揮することによって効果的に進められるものである。このため,大学の組織・運営については,従来から,学部以外の教育研究の基本組織の設置や副学長,参与(会)の設置を可能とするなど制度面での改善を図っており,また,各大学においても自主的な創意・工夫が行われている。

平成元年3月には,各大学における教育研究組織の改編への取組を容易にするため,既設学部学科等の改組転換において収容定員の増を伴わない場合には,文部省が行う設置認可の審査期間を短縮する等の措置を講じた。

さらに,大学財政に対する社会の寄与を積極的に求めるため,昭和62年度には,大学後援法人の設立許可の運用を弾力化し,私立大学等への寄附に伴う税制上の手続についても簡素化等の措置が講じられており,今後の活用が期待されている。

2) 国立大学の組織・運営の改善

近年,国立大学の在り方については,社会のニーズに十分対応しきれていない,画一的,硬直的な運営に陥りがちであるなどの種々の指摘がある。国立大学の教育研究が自由かつ創造的な発想の下で効果的に行われるためには,各大学の積極的な工夫と努力はもとより,公務員制度や財政・会計制度との整合性を確保しつつ,組織運営に関する諸制度の弾力化等を図る必要がある。

昭和62年に導入された寄附講座等(民間資金の活用による教育研究組織)については,平成元年4月現在,6大学に計15寄附講座・寄附研究部門の開設をみている。

また,事務の合理化を図るため,助教授の任命権を助手,講師と同様,文部大臣から各国立大学長に委任したほか,外国人の教員の雇用,教員の海外出張の手続の簡素化を図った。


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