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2部   文教施策の動向と展開
第1章  教育改革の推進
第2節   教育改革の推進状況
2  臨時教育審議会答申の具体化


文部省では,臨時教育審議会答申及び教育改革推進大綱を踏まえ,既にこれまで,教育改革に係る各般の施策の具体化に努めている。その推進状況を分類すると,1)法律や政・省令の改正等により制度的な対応を図っているもの,2)都道府県に対する補助や種々の事業の実施等主として予算措置により対応しているもの,3)制度改正や予算措置によらず様々な行政運営上の工夫・改善により対応しているもの,4)臨時教育審議会答申のうち一般的・抽象的な提言について関係審議会等で更に具体化方策の審議を行っているもの,などに整理できる。

このような分類に従い,これまでに文部省が進めてきた主な施策を概観すると,次のとおりである。


(1) 法律改正等制度改正

改革提言のうち法律改正を要するものについては,まず,昭和62年9月に学校教育法等を改正して,大学に関する基本的事項を調査審議し文部大臣に答申・勧告する権限を持つ大学審議会を創設した。

さらに,昭和63年2月から3月までの間に,第112回国会に教育改革関連法案として 2-1-1 に掲げる六つの法案を提出した。また,平成元年2月から3月までの間に,第114回国会に 2-1-2 に掲げる二つの法案を国会に提出した。これらのうち,これまでに「国立学校設置法の一部を改正する法律案」(第112回国会提出),「教育公務員特例法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案」,「学校教育法の一部を改正する法律案」,「教育職員免許法等の一部を改正する法律案」及び「国立学校設置法の一部を改正する法律案」(第114回国会提出)が成立した。

1) 総合研究大学院大学の創設等

国立学校設置法の改正(第112回国会提出)は,総合研究大学院大学の創設及び大学入試センターの所掌事務の変更等を目的としている。

総合研究大学院大学は,大学共同利用機関との緊密な連携・協力の下に,高度の大学院教育を実施し,優れた研究者を育成するために創設した機関である。また,大学入試センターの所掌事務の変更は,大学入試センターが,国公私立大学を通じて行うテスト(大学入試センター試験)の一括処理業務を行い,また,大学に入学を志望する者の進路選択に資するための情報提供活動を行うことができるようにしたものである。

2) 初任者研修制度の創設

教育公務員特例法等の改正は,「初任者研修制度」の創設を目的としており,国公立の小学校,中学校,高等学校等の教員に対する採用後1年間の初任者研修を任命権者に義務付け,また,これらの教員の条件附採用期間を半年から1年に延長するなど,制度創設に係る所要の改正を行った。

3) 高等学校(定時制・通信制課程)の修業年限の弾力化

学校教育法の改正により,高等学校の多様化・弾力化等を図るため,高等学校の定時制及び通信制の課程の修業年限を「4年以上」から「3年以上」に改めた。また,これらの課程と連携できる技能教育施設の指定者を「文部大臣」から「都道府県の教育委員会」に改めた。

4) 教員養成・免許制度の改善

教育職員免許法等の改正により,普通免許状の種類を専修免許状,一種免許状及び二種免許状の三種類に改めた。また,社会人活用のための特別免許状や免許状を有しない非常勤講師制度の創設,普通免許状の取得に必要な専門教育科目の単位数引上げ,などの改正を行った。

5) 大学共同利用機関への改編

国立学校設置法の改正(第114回国会提出)は,国立大学共同利用機関を,国公私立大学の共同利用に資する機関として位置付け,これを大学共同利用機関と称することとしたものである。

なお,臨時教育審議会答申に基づく教育改革を政府全体として推進するための「臨時教育改革推進会議設置法案」は,第114回国会において審議未了・廃案となった。

また,臨時教育審議会答申の改革提言のうち,政令や省令等の改正等を要するものについては, 2-1-3 のとおり,それぞれ所要の措置を講じている。

第一に,昭和63年7月には,「文部省組織令」を改正し,生涯学習体系への移行に積極的に取り組むなど教育改革を推進するにふさわしい組織体制を整備するため,社会教育局を改組して生涯学習局を設置するとともに,体育局スポーツ課を生涯スポーツ課と競技スポーツ課に改組するなど大幅な機構改革を行った。

また,平成元年5月には,「文部省設置法施行規則」を改正し,国立教育研究所の改組・再編を行い,教育政策立案の基礎となる調査研究機能を強化するとともに,カリキュラム,教材等に関する調査研究のセンター的機能の充実を図った( 本章第2節3(1)参照 )。

第二に,昭和62年5月に「国立学校設置法施行規則」及び「国立大学共同利用機関組織運営規則」を改正して,民間の資金の導入を得て,国立大学や国立大学共同利用機関等に寄附講座や寄附研究部門を開設する途を講じた。

第三に,昭和63年2月には「学校教育法施行規則」(文部省令)を改正して高校生の海外留学の制度を整備し,高等学校の生徒が外国の高等学校において教育を受けた場合,これを国内の高等学校の単位として認定できることとした(特殊教育諸学校高等部及び高等専門学校においても同様の措置を講じた。)。

第四に,昭和63年3月には,「学校教育法施行規則」の改正及び「単位制高等学校教育規程」の制定(文部省令)により,単位制高等学校の制度を創設し,生涯学習の振興の観点から多様な生徒のニーズにこたえ,広く高等学校教育の機会の確保を図る措置を講じた。

第五に,昭和60年9月には,「大学入学に関し高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者の指定」(文部省告示)の改正を行い,文部大臣が指定する専修学校高等課程の修了者に大学入学資格を付与した。

第六に,平成元年4月には,教科用図書検定規則及び教科用図書検定基準を改正し,審査手続の簡略化,検定基準の重点化・簡素化など,適切な教育内容を確保し,個性豊かで多様な教科書が発行されるための措置を講じた。

2-1-1  第112回国会提出教育改革関連法案

2-1-2  第114回国会提出教育改革関連法案

2-1-3  主な政・省令等の改正



(2) 予算措置

改革提言を具体化するため,平成元年度予算においても,厳しい財政状況下ではあるが,上記(1)の制度改正の実施に要するものも含めて,教育改革の推進に必要な予算を確保している。平成元年度め文教予算のうち教育改革に関連する予算を取りまとめると、約8,125億円(対前年度比5.6%増)が計上されている。( 2-1-4 )。

第一に,生涯学習体制の整備に関しては,従来の施策を充実するとともに,平成元年度より新たに生涯学習施設ネットワーク推進事業,生涯学習フェスティバル,生涯学習活動重点地域整備計画の策定,全国の学習情報のシステム化に関する調査研究,婦人の生涯学習促進事業などを実施する。また,家庭や社会の教育を活性化するため,すこやか家庭教育相談事業,青少年ふるさと学習特別推進事業,長寿学園開設事業などを実施する。さらに,生涯スポーツの振興のため,全国スポーツ・レクリエーション祭を開催する等の施策を講じている。

第二に,初等中等教育の充実と改善に関しては,学校における道徳教育を一層充実させるとともに,学習指導要領等趣旨徹底講習会の実施など教育内容の改善に係る事業を推進し,また,学校不適応対策など生徒指導の充実強化を図る。教員の資質向上に関しては,小学校について初任者研修を本格実施するとともに,中学校・高等学校等については57県市で試行を実施する。さらに,いわゆる40人学級の着実な推進など教育条件の改善充実に努める。

第三に,高等教育の個性化・高度化の推進に関しては,大学入試改革を進め,また,総合研究大学院大学の整備や先端科学技術大学院の創設準備など大学院の充実と改革に努める。私学助成については,社会的要請の高い特色ある教育研究プロジエクトに対する助成等を重視しつつ,その推進を図る。

第四に,学術研究の振興に関しては,独創的・先端的な基礎研究の振興を図るため科学研究費の拡充に努めるとともに,加速器科学,宇宙科学等の重要基礎研究を推進する。また,若手研究者の育成等学術研究体制の整備を進める。さらに,若手研究者を中心とする研究者交流や国際共同研究など学術の国際交流を推進する。

第五に,時代の変化への対応のうち,まず,国際化への対応としては,留学生受入れの増大に対応して,私費留学生への援助,宿舎対策など留学生の受入体制の整備・充実を図る。また,日本語教育施設の質的向上など外国人に対する日本語教育の推進を図る。さらに,国際化の進展に伴う海外子女の増大に対応して,海外子女教育・帰国子女教育の充実を図る。

情報化への対応としては,学校におけるコンピュータ等情報機器の整備を推進し,情報処理教育担当教員の研修事業の拡充に努める。また,学術情報システムの整備を図る。

2-1-4  平成元年度教育改革関連予算一覧(文部省所管分)




(3) 行政運営上の工夫・改善

(1)及び(2)において制度改正や予算措置による取組の状況について説明したが,このほか文部省としては,必要に応じ通知を出したり,文教行政についての広報資料を刊行するなど,種々の行政運営上の工夫・改善により教育改革の推進を図っている。

1) 都道府県等への指導

臨時教育審議会答申に示された諸提言のうち,いじめ問題への対応に関して,各都道府県教育委員会等における行政運営上の工夫・改善等により対応を図るべきものについては,文部省から各都道府県教育委員会等に対して通知を出すなど,積極的な取組を行うよう指導している。

2) 大学等への対応

臨時教育審議会答申に示された諸提言のうち,大学教育の充実と個性化,大学の組織と運営の見直しなど,個々の大学等の自主的な努力が期待されている事項について,各大学等においても積極的な対応を図るよう要請するとともに,国立大学等の教員の人事に関し,権限の一部を学長に委任するなど,事務の弾力化・簡素化を図った。

昭和62年6月には,大学等の財政の自主性を拡大する観点から,特定の大学における教育研究活動の後援を行う財団法人の設立について従来の規制を緩和し,組織運営,財政基盤等が適切なものは許可することとした。

3) 広報資料の刊行

開かれた文教行政を目指して,その時々の文教行政の概況と政策に関する情報を積極的に広く社会に提供するため,様々な広報資料の刊行に努めている( 2-1-5 )。

2-1-5  教育改革関係資料一覧


(4) 審議会等における検討

臨時教育審議会答申の改革提言の中には,教育内容の改善や教員の資質向上など,文部省において具体化方策を更に検討した上で施策を講ずることが適当と考えられるものも多い。これらについては, 2-1-6 のとおり関係審議会において鋭意検討を進め,結果のまとまったものについては,逐次,所要の措置を講じている。

例えば,教育課程審議会では,教育課程の基準の改善について検討し,幼稚園,小学校,中学校及び高等学校については昭和62年12月に,盲学出した。文部省ではこれらを受けて幼稚園,小学校,中学校及び高等学校の学習指導要領等を改訂し,平成元年3月15日に公示した。また,盲学校,聾学校及び養護学校の学習指導要領の改訂等については平成元年10月に公示した。

教育職員養成審議会では,教員の養成・免許制度の改善,初任者研修制度の創設等現職研修の改善などについて検討し,昭和62年12月に答申を提出した。これを踏まえて,昭和63年2月及び3月にそれぞれ関係法案を国会に提出し,成立をみた( 本章第2節(1)参照 )。

また,大学審議会では,大学院の充実と改革,学部教育の充実と改革,今後の高等教育機関の整備の在り方を中心に審議を進めており,昭和63年12月に「大学院制度の弾力化について」答申を行った。さらに平成元年7月には,大学院部会及び大学教育部会における審議の概要について,両部会より総会に報告された( 2部第3章第2節参照)。

さらに,前述のように平成元年4月には中央教育審議会を再開して「新しい時代に対応する教育の諸制度の改革について」審議を進めている( 本章第3節参照 )。

これらの審議会における検討のほか,必要に応じ,学識経験者等の協力を得つつ,所要の調査研究を進めている。例えば,「初等中等教育の教育方法の改善」や「高等学校教育の個性化等の推進」,あるいは「海外子女教育の推進」や「文教施設のインテリジェント化に対応する施設整備推進」などに関する具体化方策について鋭意検討を進めている。

なお,臨時教育審議会答申において提言されている秋季入学制への移行に関しては,昭和63年9月に総理府において実施した「秋季入学に関する世論調査」の結果をも参考としつつ,教育上及び行財政上の諸問題について,実務的な調査研究を行っている。

2-1-6  関係審議会における具体化方策の検討



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