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1部   初等中等教育の課題と展望
第3章  諸外国における初等中等教育の動向
第6節  ソ連
1  初等中等教育改善の背景・方向


1980年代初頭,ソ連では10年制教育の義務化が完了し,科学技術革新の時代に対応する質の高い若年労働者の養成に対する産業界の期待が高まる一方,後期中等教育機関では,生徒の学力差への対応をめぐり混乱が生じた。そこで,1984年,教育の質の向上を目指す「普通教育学校と職業学校の改革の基本方針」(ソ連邦共産党中央委員会・ソ連邦最高会議決定)が打ち出され,学校制度,教育内容・方法,学校の施設・設備,教員養成と研修など初等中等教育のあらゆる側面にわたる大規模な改革への着手がなされた。

ゴルバチョフ政権が発足(1985年3月)すると,1970年代より停滞し増加といった社会問題に対するより深刻な危機意識に根ざし,社会・政治・経済のペレストロイカ(再建)の必要性が強調され,教育改革の方針の見直しが行われた。グラスノスチ(情報公開)の原則の浸透により,教師や父母からも教育実践の画一化の原因となっている学校運営等の官僚主義を批判する声があがり,新聞やテレビなどのメディアと連携し,教育改革の新たな段階を支えていこうとする気運が盛り上がった。

1988年2月のソ連邦共産党中央委員会総会においては,社会・経済のペレストロイカの効率をあげるために,教育の全体系におけるペレストロイカを実施することが最優先課題として宣言された。1984年より進められている初等中等教育改革については制度的な手直しにとどまっていたことが批判され,民主化,人間化,自主性の拡大,個性の発達を重視した教育行政・学校運営及び教育内容・方法の改善の新たな方針を決定した。翌3月にはソ連邦国民教育国家委員会が創設され,従来の中央教育行政機関であるソ連邦教育省,ソ連邦高等・中等専門教育省,ソ連邦職業技術教育国家委員会が廃止・統合された。これにより,他省庁との協力のもとに教育の全体系を管轄下に置き,統一的な教育政策を実施することが可能となった。

ソ連邦国民教育国家委員会は,1988年5月に教師,研究者及び各界の有識者からなる諮問機関として臨時調査研究会を設け,生涯学習体系の学校規程等の草案を作成することを依頼した。また,同委員会は,旧ソ連邦教育省付設の教育学研究機関であったソ連邦教育科学アカデミーを同委員会付設の機関として改組し,教育改革を支える教育学研究の実施を要請している。

各学校には,新しい学校運営の機関として,教師,父母,上級学年の生徒の代表及び地域社会の代表からなる学校評議会が設置され,学校予算の決定や教育内容等の選択にあたり裁量権が拡大される。1988年12月には,教育実践の現実に即した議論を教育政策に反映するための機関として100人の教職貝からなる全ソ国民教育評議会が結成され,ソ連邦国民教育国家委員会とともに,教育改革を具体化するための学校規程などの法規定の制定や諸施策の検討を行っている。

1-3-12  ソ連の学校系統図


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