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1部   初等中等教育の課題と展望
第3章  諸外国における初等中等教育の動向
第5節  西ドイツ
1  初等中等教育改善の背景・方向


1988年2月,各州文部大臣会議(KMK)は成立40周年を期して,各州が協力して優先的に取り組むべき教育の課題を掲げた。その中で,初等中等教育については出生数の急激な減少に伴う児童生徒数の減少の影響を克服することを第一の課題とした。

先進国の中でも西ドイツは,急激な学齢人口の減少に見舞われた国でい,6歳以上10歳未満年齢層人口は72年の412万人をピークとして85年には229万人となり,10歳以上16歳未満年齢層人口は77年の617万人から86年には386万人となった。このような児童生徒数の減少により生ずる学校の統廃合,教員の採用難などの問題をいかにして克服するかは,初等学校では1970年代半ばから,中等学校については1980年代初めから大きな課題となっている。

学校の統廃合については,多くの州は,遠距離通学を避けるために,1学校当たりの学級数に関する基準の引下げを行うなどできるだけ統廃合を行わないような措置を講じている。また,特に中等学校では,選択科目の提供など多様な教育を確保するために,教員が近隣の複数の学校で教育にあたるなど学校間の協力を図っている。

教員の採用については,大学における教員養成課程の入学者の削減,教職志望者に対する進路変更の助言などにより教員資格の取得の抑制を行う一方,希望する教員に対して週当たり担当授業時数の削減を認めるなどできるだけ新規採用教員数を減少させないような措置を講じている。

また,一般公務員の労働時間の削減に伴い,一部の州では教員の受け持ち授業時間を一律に削減して,新規教貝の採用枠を拡大しようとしている。

また,1970年代前半に中等学校の総合制化が図られたが,総合制学校はまだ半数の州で実験学校とされており,生徒の能力・適性に応じて中等学校がハウプトシューレ,実科学校,ギムナジウムに分かれる三分岐型学校制度が存続している。近年,子どもに大学入学資格(アビトゥア)か少なくとも中級の職種につくことを可能にする実科学校修了証の取得を望む親が増加しており,ギムナジウムや実科学校へ進学する者の割合が増加している。これに加えて該当年齢人口が減少していることから,るハウプトシューレの在学者が減少しており,就学年限の延長や修了資格の見直しなどその在り方が問題となっている。

このような問題への対応を図りながら,教育内容・方法の改善,教員の資質向上についても地道な取組が行われている。

教育内容・方法の改善については,1970年代に進められた改革の結果生じた問題点を克服するための措置が講じられている。初等教育では,教育内容が高度になりすぎたことなどから,基礎学力の向上を図るとともに,人格の形成や社会性の育成が重視される方向にある。後期中等教育では,大学進学希望者が主として進学するギムナジウム上級段階(第11〜13学年)について,大幅な選択制の導入により基礎学力が低下したことから,国語,数学,外国語など主要教科について必修を増やすことが決定されている。

そのほか,多くの州は,科学技術の進展を背景として,中等段階を中心として情報技術教育の推進を図っている。また,悪化する環境問題を背景に,環境問題の重要性を認識させ環境に対する責任意識を育成することを目的とした環境教育が各教育段階を通じて行われている。

教員の資質向上については,試補制を含めてその養成方法に変化はないが,新しい授業技術,教育方法等に関して多様な内容の研修が行われている。

1-3-10  西ドイツの学校系統図


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