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1部   初等中等教育の課題と展望
第3章  諸外国における初等中等教育の動向
第3節  イギリス
2  教育内容・方法の改善



(1) 共通基準の設定

イギリスでは,基礎学力の向上を図るために,主要教科の教育内容について全国共通の基準を設定することが急務とされてきた。そのためこのたび成立した教育改革法で主要10教科を全国共通に履修することが定められた。すなわち数学,国語,理科の3教科を中核教科とし,この3教科と歴史,地理,技術,音楽,美術,体育,外国語(中等教育段階のみ)の7教科の計10教科を基礎教科として,公営学校の義務教育年齢(5〜16歳)の児童生徒の必修教科とした。そしてこれらの必修教科に関して,7歳,11歳,14歳,16歳の4段階における到達目標,教育内容,評価の基準を教育科学大臣が定めることが規定された。

学期から初等学校の第1学年の児童がまず履修を開始し,1994年9月に同様な手順で順次履修させる予定である。

また必修教科の7,11,14,16歳における児童生徒の到達目標の達成度をみるために全国共通のテストが実施される。このテストは,教育科学大臣が決定する評価の基準に従って行われる。最初のテストは中核3教科について,7歳児を対象とするものが1991年の夏に実施される予定である。なお16歳の生徒を対象とするテストの実施は,GCSE試験と重なるため,当分の間見送られる。

また従来,中等教育修了時(16歳)において,大学進学希望者を対象とする大学入試資格試験(GCE)の普通レベル(O level)試験と,就職希望者を対象とする中等教育修了資格試験(CSE)の2種類の試験が行われてきた。しかしこのような2種類の試験制度の存在は,学校における教育課程を複雑なものとし,この段階の生徒の意欲や能力を把握する方法としては不自然であると考えられるようになり,1988年夏から両試験を統一したGCSE試験を実施している。

イギリスでは近年伝統的な道徳意識に欠ける青少年が増加してきたといわれている。その理由の一つに,従来国民の精神文化の土台とされたキリスト教の国民生活に対する影響の低下が挙げられている。学校教育における宗教教育も形骸化する傾向にあり,1944年教育法に規定した,公営学校において毎始業時に全校児童生徒が一斉に行う集団礼拝及び宗教の授業を行わない学校が近年増加している。そこで教育改革法では,集団礼拝と宗教の授業を実施しやすいよう実施の時間及び方法を弾力的にすることを認めるとともに,公立学校においてはこれらを原則としてキリスト教に従うものとすることを規定した。

なお,イギリスの初等中等学校においては落第の制度はない。また単に卒業するだけではなく,中等学校の最終学年に受験するGCSE試験に合格することが,生徒のその後の就職,進学を左右する。


(2) 後期中等教育の充実

イギリスの後期中等教育(16〜17歳の義務教育修了者を対象)においては,職業教育を労働市場の需要に対応させることとシックスフォーム(中等学校の第6学年と第7学年)での学習の過度の専門化を緩和することが課題とされている。

労働市場の需要に対応した資格・技能を取得させ少しでも失業を減らすために,政府は企業での実習を受けながら継続教育カレッジで職業教育を受けることのできる若年者訓練事業(YTS,実習と教育を交互に行い,労働市場の需要に対応した技能・資格を取得する)を拡充し,パートタイムの生徒の就学を促進している( 1-3-6 )。

一方,大学入学資格試験に備えて特定科目に過度に集中しているシックスフォームにおける履修科目の選択幅を広げるため,国は1989年より18歳段階にGCE試験の準上級レベル(ASlevel)試験を導入することを決定した。準上級レベルの科目試験は現行の上級レベル(Alevel)の半分の授業時間を要し,その2科目の合格が上級レベル1科目の合格に相当する。これに応じて大半の大学は,入学要件(16歳で受験するGCSE試験の合格科目と18歳で受験するGCEの上級レベル試験の合格科目)のうち上級レベル試験に関する要件を,上級レベル3科目の合格から,上級レベル2科目と準上級レベル2科目の合格に変更している。これによりシックスフォームにおいて学習される教科が3教科から4教科へと増加することになる。

なお,後期中等教育段階における中退については,就職先が決まった段階で中退して就職する生徒が多いため,それほど問題視されていない。

1-3-6  義務教育修了後の進路状況の推移


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