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1部   初等中等教育の課題と展望
第2章  初等中等教育充実のための施策の展開
第14節  教員の資質能力の向上
1  教員養成・免許制度の改善


学校教育の直接の担い手である教員の活動は,人間の心身の発達にかかわるものであり,幼児児童生徒の人格形成に大きな影響を及ぼすものである。このような教員の資質能力の向上は,その養成・採用・現職研修の各段階を通じて,総合的に図られるべきであることはもとよりであるが,まず,その最初の段階である大学での養成段階で真に教員にふさわしい人材を育成することが大切である。

大学での養成においては,幅広い人間性,教科指導・生徒指導等に必要とされる基礎的・理論的内容と実践的指導力の基礎を確実に修得させる必要がある。そのためには,教員養成課程における専門性の一層の向上を図るとともに,より深い学識を備えた者を教職に招致できるようにすることが肝要である。

また,他方において,学校教育の多様化等に対応するため,社会的経験を積んだ教員にふさわしい者を,教育界に迎え入れるようにすることも重要であり,これによって学校教育に生気と広い視野を与えることが期待できる。

文部省はこのような観点から,昭和62年12月の教育職員養成審議会答申等の趣旨を踏まえた「教育職員免許法等の一部を改正する法律案」を第112回国会に提出した。同法律案は,昭和63年12月の臨時国会において可決成立し,平成元年4月1日から施行されている。

今回の教育職員免許法等の一部改正の趣旨は,以上の観点から,教員免許制度の改善を図ることにあるが,その概要は次のとおりである。

1) 普通免許状の種類の改善

今出学校教育の内容の変化等に対応するため,大学院修士課程において特定の分野について深い学識を積み,その分野について高度な資質能力を備えた者が教職に就くことが望まれるようになっている。こうした者が教職に就くことができるようにするため,大学院修士課程修了程度を基礎資格とする専修免許状を新設する等,次のような普通免許状の種類の改善を行った(高等学校教諭の免許状は専修免許状と一種免許状のみ)。

ア.大学院修士課程修了程度を基礎資格とする免許状を専修免許状とする。
イ.学部卒業を基礎資格とする免許状を一種免許状とする。
ウ.短期大学卒業程度を基礎資格とする免許状を二種免許状とする。

また,今回の改正前に授与されていた旧免許状は1-2-13 のように新免許状とみなすこととした。

1-2-13  新旧教員免許状の種類

2) 二種免許状所有教員の一種免許状取得義務

教職に就く者に対して,教員養成課程において,教科指導・生徒指導等についての基礎的・理論的内容と広い教養,そして実践的指導力の基礎を確実に身に付けさせるためには,少なくとも学部を卒業して免許状を取得させることが必要である。そこで,大学卒業を基礎資格とする種免許状を教員として期待される資質能力の標準的な水準を示すものとするとともに,二種免許状については,一種免許状との比較において,教員としてなお一層の資質能力の向上が必要であり,更に研鑽が望まれることを示す免許状とし,二種免許状所有教員は一種免許状の授与を受けるように努めなければならないものとした。

3) 社会人の学校教育への活用

情報化や国際化という言葉に代表されるように,近年学校を取り巻く環境は急速に進展しており,学校教育の内容も変化している。こうした状況に学校が適切に対処し,児童生徒の多様な関心にこたえていくためには,豊かな経験と専門的な知識・技能を有する社会人を学校教育に活用し,学校教育の活性化を図ることも重要である。

このため,従来の普通免許状,臨時免許状に加えて,新たな特別免許状を設けることとした。普通免許状は全国で有効で,かつ有効期限がないのに対して,特別免許状は授与を受けた都道府県内でのみ有効で,有効期限も3年〜10年に限定されているが,特別免許状は教諭の免許状であり,特別免許状を授与されて教諭に任用された場合,職務内容は他の教諭と変わるところはなく,学級担任や生徒指導などにも従事することとなる。

また,教科の領域の一部に係る事項等の教授や実習を担任する非常勤講師については,授与権者の許可を受けて,免許状を有しない者を充てることができることとしている。

4) 大学において普通免許状の授与を受けるために必要な単位数の引 上げ

教員養成においては,社会の変化や学校教育の内容の改善,児童生徒の状況等に対応して,実践的指導力の基礎を確実に習得させる必要がある。

すなわち,教職は高度の専門職であり,教員となろうとする者は,単に専門教科についての知識ばかりでなく,教育者としての使命感,幼児児童生徒に対する教育的愛情,そしてこれらを基盤とした実践的指導力の基礎を十分に身に付けておくことが不可欠である。今回の改正においては,このような観点から,今日学校教育において求められている教育の方法・技術,生徒指導,特別活動等の指導力の向上を図るため,大学において免許状の授与を受けるために修得することを必要とする専門教育科目の単位数を引き上げることとした。(例えば,小学校教諭一種免許状では,48単位から59単位へ11単位引上げ,中学校教諭一種免許状では,54単位から59単位へ5単位引上げ。)なお,この法律は,平成元年4月1日から施行したが,新制度による大学での教員養成は,大学側の準備を考慮して平成2年度から行うこととしている。


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