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1部   初等中等教育の課題と展望
第2章  初等中等教育充実のための施策の展開
第12節  教科書制度の改善・充実
1  教科書検定制度の改善



(1) 教科書の役割

教科書は,学習を進める上で,教科の主たる教材として重要な役割を果たすものであり,教育の機会均等を実質的に保障し,全国的な教育水準の維持向上等を図るため,学校教育法第21条等により,小・中・高等学校及び特殊教育諸学校においては,文部大臣の検定を経た教科書又は文部省が著作の名義を有する教科書を必ず使用しなければならないことになっている。平成元年度においては,1,118種類2億347万冊の検定済教科書及び91種類34万冊の文部省著作教科書が発行・使用されている。


(2) 教科書検定の趣旨と現状

教科書検定制度は,教科書の著作・編集を民間の発行者にゆだねることにより,著作者の創意工夫に期待するとともに,文部大臣が検定を行うことにより,客観的かつ公正であって,適切な教育的配慮がなされた教科書を確保することをねらいとして設けられているものである。教科書の検定は,教科用図書検定基準に基づき,教科用図書検定調査審議会の審議を経て,公正かつ慎重に行っている。


(3) 教科書検定制度改善の経緯

昭和59年に発足した臨時教育審議会において教科書制度全般について審議が行われ,その中で教科書や検定制度に対する国民の関心が強まるなど教科書を取り巻く近年の状況を踏まえ,教科書の内容が画一的過ぎること,中立性・公正などの確保の面において十分でないこと,検定制度が開放的でなく審査が細部にわたり過ぎていること等の問題点が指摘された。その結果,臨時教育審議会答申において,教科書検定制度については,文部大臣が責任を持つ現行の検定制度の基本を維持しながら,適切な教育内容を確保し,個性豊かで多様な教科書が発行されることなどをねらいとして,検定基準の重点化・簡素化,審査手続の簡略化,検定の公開,検定周期の長期化等の改善を図ることが提言された。

これを受けて,昭和62年7月以来,教科用図書検定調査審議会において検定制度の具体的改善方策について広く検討を進め,昭和63年9月に検定制度の改善の大筋を示すものとして「検定制度改善の骨子について(審議の経過)」を取りまとめて公表した。文部省においては,これに基づき改正案を作成し,教科用図書検定調査審議会で了承を得て平成元年4月に教科用図書検定規則及び教科用図書検定基準の全面改正を行った。

これらの新しい検定制度は,平成2年度以降各学校段階ごとに,新しい学習指導要領に基づいて編集される教科書の検定から適用されることになる。


(4) 教科書検定制度改善の内容

今回の改正は,臨時教育審議会答申を踏まえ,教科書としての適格性の判定に重点を置くという観点に立ち,教科用図書検定規則や教科用図書検定基準について大幅な重点化・簡素化を図り,簡明で分かり易い検定制度の実現を目指すとともに,教科用図書検定調査審議会の役割と責任を重視したより公正で適切な審査が行われるようにしたものである( 1-2-8 )。

具体的には,教科用図書検定規則については,

1) 新規検定と改訂検定の種類及び三段階審査(原稿本審査,内閲本審査,見本本審査)の区分を廃止するなど審査手続の簡略化を図る。
2) 条件附合格制度を廃止し,必要な修正を行った後に再度審査することが適当であると認められる図書については,修正後の記述について再度教科用図書検定調査審議会で審査し,その答申に基づいて合否の決定を行う。
3) 検定結果の公開をすすめる。

などの改正を行った。

また,教科用図書検定基準については,

1) 教科書の適格性を確保するために不可欠であると考えられる,学習指導要領への準拠,中立性・公正,正確性の観点に重点を置いた再編整理,
2) 著者・編集者の創意工夫にゆだねる方が適当であると思われる体裁や編集技術に関する基準等を廃止して,重点化・簡素化,を図っている。

さらに,これと併せて,検定周期を3年から4年に延長することにより,教科書を実際に学校で使用した経験を生かして,著作・編集に十分時間をかけられるようにして一層教科書の質の向上が図られるようにしている。

1-2-8  新旧検定手続のフローチャート


(5) 教科書発行者の著作・編集能力の向上等

もとより,教科書の質の向上を図るためには,まず民間の教科書発行者の著作・編集の努力に待たねばならない。臨時教育審議会答申においても,教科書発行者の著作・編集能力の向上と民間における教科書研究等の拡充を図ることが必要な課題とされている。

このため,昭和63年度から教科書研究指定校の拡充を図っており,学校における教科書の実際の使用を通して教科書の改善すべき点等を調査研究し,その結果を教科書発行者の著作・編集等の参考にしている。また,文部省と教科書編集関係者との間に連絡協議会を設け,教科書についての協議・情報交換等を行っている。


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