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1部   初等中等教育の課題と展望
第2章  初等中等教育充実のための施策の展開
第8節  後期中等教育の多様化・弾力化
1  高等学校教育の個性化等の推進


高等学校への進学率の著しい上昇に伴い,生徒の能力・適性・興味・関心等は極めて多様なものとなっており,高等学校教育を一層多様化・弾力化することが今後の重要な課題となっている。

都道府県や学校においても,従来から地域や学校の実態,課程や学科の特色,生徒の能力・適性,進路等に配慮して教育内容・方法の多様化に取り組むとともに,情報化や国際化などの社会の変化に対応した特色ある学校づくりを進めてきた。しかしながら,今後は,従来のように個別的な施策だけではなく,教育水準に配慮しつつ,より一層生徒の個性等に応じた多様化・弾力化のための施策を総合的に展開していくことが必要である。

このため,文部省として具体的には次のような施策を講じている。

1) 教育課程の基準の改善

平成元年3月に学習指導要領の改訂を行い,各学校が学校・地域の実情や生徒の実態に応じて創意を生かすことが一層可能となるよう多様な科目を用意すること,普通科においても学習指導要領に示す以外の教科・科目を設置者の判断により設けることができるようにすること,必修科目については複数の科目の中から選択できるいわゆる選択必修制を拡大することなどの改善を図った。

2) 単位制高等学校と6年制中等学校

単位制高等学校は,臨時教育審議会の答申を受け,生涯学習の観点から誰でもいつでも必要に応じて高等学校教育を受けられるよう,昭和63年度から発足した新しいタイプの高等学校である。単位制高等学校については,学年制の規制をはずすとともに,(ア)入学者選抜の方法は設置者の判断にゆだねる,(イ)学期ごとの入学・卒業を可能にする,(ウ)多様な科目の開設と複数の時間帯・特定の時期における授業の実施に努める,(工)単位を累積加算して全課程修了の認定を行うことを可能とする,(オ)特定の科目の履修のみを目的とする者を受け入れるため配慮するなど種々の特例を設けており,学習歴や生活環境などが多様な生徒に対し,広く高等学校教育の機会を確保する上で,今後大きな役割を果たすものと期待される。

平成元年度には,公立では,岩手,埼玉,石川,長野,鳥取の5県に単位制高等学校が設置されている。

また,6年制中等学校は,臨時教育審議会答申において,中学校教育と高等学校教育とを統合し一貫して行うことにより,生徒の個性の伸長を継続的,発展的に目指す新しい学校として提言されたものである。これを踏まえて「中等教育改革の推進に関する調査研究協力者会議」から昭和63年3月に報告が出されたが,なお検討すべき課題が指摘されており,文部省としては,後期中等教育の多様化・弾力化との関係に留意しつつ,更に検討することとしている。

3) 専修学校高等課程(高等専修学校)

臨時教育審議会答申を受け,昭和60年9月,一定要件を備えた修業年限3年以上の高等専修学校卒業者に対し大学入学資格を付与した。これにより大学・短期大学に入学した者は,平成元年4月には419人に上っている。なお,専修学校については,後期中等教育の多様化・弾力化の観点からの期待も大きく,教育水準に配慮しつつ,高等学校との連携等について検討することとしている。

以上のように,これまでも種々の施策を講じているが,高等学校で実際に行われている教育の実態は,多様化した生徒のニーズに必ずしも十分にこたえることができず,ともすれば画一的・硬直的であるとの指摘がなされている。

このことは中途退学など学校不適応の問題の大きな原因の一つになっているとも考えられ,偏差値偏重の進路指導や高等学校間格差・序列化などの問題等とともに,その対応策を速やかに検討しなければならない緊要の課題である。高等学校については,近年は急増する生徒にいかに対応するかが大きな課題であったが,今後は高校生の減少が見込まれるため,この機会をとらえ,高等学校教育の多様化・弾力化の方策を検討していくことが必要である。

これらの状況を踏まえ,平成元年4月,第14期中央教育審議会に対して文部大臣より「新しい時代に対応する教育の諸制度の改革について」諮問し,その諮問事項の一つとして「後期中等教育の改革とこれに関連する高等教育の課題」を取り上げた。今後,具体的には次のような事項について審議が進められる予定である。

○ 高等学校の修業年限を見直し,現行の3年制のほか4年制高等学校の設置を認めることの適否。
○ 職業教育の充実を図るため,学科制度の再編成を行うこと,高等学校間の単位互換を推進するなど普通科と職業学科との有機的連携を図るための措置を講ずること。
○ 職業,実際生活に必要な教育を行ったり,幅広い選択が可能になったり,国際化の進展に対応したりするなど特色ある新しいタイプの高等学校の設置を奨励すること。
○ 単位制度の趣旨を生かし,選択の幅を広げるため,多様な選択科目の開設が可能となる措置を講ずること。
○ 特定の分野などにおいて特に能力の伸長が著しい者について,大学入学の年齢制限緩和など教育上の例外措置を講ずること。

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