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1部   初等中等教育の課題と展望
第2章  初等中等教育充実のための施策の展開
第7節  国際化・情報化への対応
1  国際化への対応


国際社会における我が国の役割は今後ますます重要になることが予想され,このような中で学校教育において国際化への対応は極めて重要な課題となっている。

初等中等教育段階においては,既に本章第2節で触れたように,国際理解の推進を改訂方針の一つに据えて学習指導要領の改訂を行い,国際化の進展への対応に配慮しているが,このほか更に具体的な対応策として,国際理解教育の推進,外国語教育の充実,高等学校における留学制度の創設,帰国子女教育の推進等の施策を進めている。


(1) 国際理解教育の推進

学校教育の役割として最も重要なことは,国際社会の中で信頼される日本人を育成することであろう。そして「世界の中の日本人」として信頼されるためには,今日の国際社会が政治,経済,文化のあらゆる面において緊密な相互依存関係の上に成立していることを十分に理解することが必要である。また,このような相互依存関係を維持発展させていくためには,諸国民同士の相互理解,特に,人々の考え方や生活までを含めた広い意味での文化の相互理解が不可欠であり,同時に異文化を理解する土台として自らの文化を十分に理解していることが必要である。これらのことから,学校教育においては,国際的な相互依存関係の重要性とともに,諸外国の文化やそれぞれの立場を理解させ,併せて,我が国の文化や伝統を大切にする態度を身に付けさせることが重要である。

このような国際理解教育について,文部省は,昭和28年からユネスコ協同学校計画に参加し,国際理解教育のための実験学校計画を推進するとともに,学習指導要領の改訂等を通じて小・中・高等学校における国際理解教育を積極的に推進するよう指導を行ってきた。

昭和62年12月の教育課程審議会答申においては,各教科・科目の内容について, 「国際社会の中に生きていくために必要な資質を養う観点から,我が国の文化と伝統に対する関心と理解を深めるとともに,世界の歴史や文化に対する理解を深めることを重視する」ことを提言している。

このような考え方から,今回の学習指導要領において,例えば,社会科,外国語科などの内容の改善を図っている。特に,高等学校については,国際社会に生きる主体性のある日本人を育成するという観点から,社会科を再編成して地理歴史科と公民科とし, 「世界史」科目を必修とし,これまで以上に国際理解教育の推進を図ることとしている。

また,臨時教育審議会答申では,国際化に対応した教育に関する具体的提言の一つとして,帰国子女,外国人子女及び一般日本人子女が共に学ぶ初等又は中等の学校(新国際学校)の構想が示されており,これを受けて,今春には,東京都立国際高等学校が新設された。

さらに,各都道府県においても,国際理解教育推進校を指定したり,高等学校に国際文化科,国際教養科等の国際関係学科を新設するなど,地域の実情に応じた実践が重ねられている。


(2) 外国語教育の充実

国際社会の中で生きていくためには,外国の人々との相互理解を深めることができるコミュニケーション能力が必須であり,その育成を図ることが急務となっている。

中学校及び高等学校の外国語教育は,外国語を聞くこと,話すこと,読むこと,書くことについて調和のとれた指導が行われるよう配慮しているところであるが,実際の指導においては,入学試験の影響や指導する教員の養成の実態等により「聞くこと」,「話すこと」の指導が必ずしも十分でない面がみられる。

このため,文部省では,中・高等学校の外国語教育について,コミュニケーション能力の育成や国際理解の基礎を培うことを一層重視することとし,新しい学習指導要領においては,週当たり授業時数を1時間増やして4時間とすることもできる措置を講じたり(中学校),日常会話を学ばせる「オーラル・コミュニケーションA」,主に聞き取る能力を養う「同B」,発表したり,話し合う能力を養う「同C」という新しい科目を設ける(高等学校)など,必要な改訂を行ったところである。

また,文部省では,実践的な英語教育を推進するため,これまで英語担当教員の研修や英語教育機器(LL)の整備を行うほか,アメリカ,イギリスからネイティブ・スピーカーを英語指導助手として招致し,中学校・高等学校で英語の指導に当たらせる事業などを行ってきた。

特に,英語指導助手の招致事業については,この事業を更に発展させるため,文部省においては,昭和62年度から外務省及び自治省と協同して,新たに「語学指導等を行う外国青年招致事業(JETプログラム)」を開始した。これにより,英語指導助手として,昭和62年度には,アメリカ,イギリス,オーストラリア,ニュージーランドの4か国から813人,63年度には,カナダ,アイルランドも加え,6か国から1,384人の青年を招致した。平成元年度には招致人数の大幅な拡充を図ることとし,招致対象国として新たに西ドイツ,フランスを加え,8か国から1,894人を招致している。

この事業は,外国語教育において大切な中・高等学校段階においてネイティブ・スピーカーから直接語学指導を受けることにより生きた言語を学ぶことができるなど,生徒のコミュニケーション能力の育成に大きな効果を上げており,今後とも,その拡充に努めることとしている。

また,英語担当教員の国内や国外における研修を充実させるため,平成元年度には,アメリカ,イギリスへの短期派遣事業(2か月)を145人から171人に,長期派遣事業(6か月)を25人から47人に拡充している。


(3) 高等学校における留学制度の創設等

近年,国際交流が活発になるに伴い,高校生レベルにおいても外国の高等学校での学習を希望する者が増加していることから,臨時教育審議会の指摘も踏まえ,昭和63年4月,高等学校における留学の制度を創設した。これにより,外国の高等学校における履修を一定の範囲内において我が国の高等学校における履修とみなし得ることとなり,従前のように1年遅れることなく進級又は卒業することが可能となった。

なお,この制度の円滑な実施を図るため,平成元年8月から「高等学校における留学等に関する調査研究」を実施し,高等学校教育における一層の国際化の推進を図ることとしている。調査研究の具体的内容としては,8月に協力者会議を発足させ,高等学校生徒の留学に係るプログラムの在り方,教育委員会や学校において体制の整備など対応すべき事項等を調査研究し,併せて高等学校における外国からの留学生の受入れについても,その在り方,体制の整備等について検討を行っている。さらに,外国における学校教育制度や高等学校の教育課程に関する事項等必要な情報の収集及び整理について,関係団体に対して調査を委託することとしている。


(4) 国際化に対応した帰国子女教育の推進

海外から帰国した児童生徒は,外国の文化,言語,歴史,自然,生活習慣など日本とは異なる環境の下での生活を通して,豊かな国際性を身に付けている。したがって,これらの児童生徒については,外国における生活経験を生かし,海外で身に付けた能力や適性などの保持・伸長を図っていくことが大切であり,学校においては,このような点について十分配慮して指導する必要がある。また,国際性豊かな人材の育成という観点から,他の児童生徒に対しては,異文化理解の機会を与えるなど,相互に啓発し合うような教育的配慮が特に必要である。

文部省では,このような指導の充実を図るため,教師の指導力の向上のための指導資料の作成や講習会の実施,帰国子女教育研究協力校等を活用した調査研究の推進など様々な施策を講じている。

また,帰国子女の増加に対応し,帰国子女の高等学校への入学・編入学の機会を拡充するため,昭和63年10月,学校教育法施行規則における高等学校への編入学に係る規定の整備を図るとともに,年度途中においても学期の区分に応じて入学・卒業等が可能となるよう制度を改めた。


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