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1部   初等中等教育の課題と展望
第2章  初等中等教育充実のための施策の展開
第6節  健康教育の充実
2  学校保健の充実



(1) 学校保健の現状と課題

学校においては,児童生徒の健康の保持増進を図るため,保健教育,保健管理を行い,学校保健の充実に努めている。

学校における保健教育は,健康に関する知識を理解させるとともに,健康な生活を営むために必要な態度や習慣を養うことをねらいとして,保健体育を中心とした各教科,道徳及び特別活動の学級指導,学校行事など学校の教育活動全体を通じて行われている。

また,学校における保健管理は,学校保健計画に基づき,健康診断を行い,その結果に基づき疾病の予防処置や必要な指導等の事後措置を講ずるとともに,飲料水,照明,空気,騒音などを検査し,学校環境の維持改善を図るなど計画的に行われている。

学校保健統計調査により児童生徒の健康状況をみると,体位は,最近その伸びが一時より小さくなっているものの,着実に向上している。一方,疾病異常については, 1-2-4 のとおり,むし歯については学校などでの指導が実ってやや減少傾向がみられるが,視力については,裸眼視力1.0未満の者の割合は,小学生19%,中学生39%,高校生54%となっており,やや増加傾向にある。

このほか,食生活や生活行動の変化に伴い,小児科医等から肥満,高血圧等の指摘がなされる児童生徒もみられる。また,近年,心因性の頭痛や腹痛,不快感など種々の症状を訴えて保健室を訪れる児童生徒や各種のアレルギーを持つ児童生徒が増えていることや,登校拒否などの問題行動の背景として心の健康の問題があることなどが指摘されている。

このように,今日の児童生徒の健康問題は,複雑,多様化しており,適切なカウンセリングなどの個別指導の充実とともに,特に心の健康に関しての保健指導が重要な課題となっている。

1-2-4  主な疾病・異常の推移


(2) 学校保健の充実のための施策

文部省では,従来から保健指導の手引の作成や各種の研修会の開催などを通じ,学校保健の充実に努めてきたところであるが,こうした最近の児童生徒の健康状況に対処するため,次のような施策を講じている。

むし歯予防については,むし歯予防推進校事業のほか,昭和58年度から,学校・家庭・地域社会の連携により,むし歯予防のための望ましい生活習慣の形成を図る啓発推進事業を実施している。

また,最近の児童生徒の疾病構造の変化に対応するため,児童生徒の健康診断の在り方について,昭和62年度から専門家や教育関係者により検討を開始するとともに,今日的課題である心の健康の問題に対処するため,昭和60年度からヘルスカウンセリング指導者養成講座を実施し,養護教諭のカウンセリング能力の向上に努めている。

さらに,近年,児童生徒の喫煙,飲酒,薬物乱用が問題になっているが,これらの問題に対し健康教育の観点からの指導の充実を図るため,昭和60年度から3年計画で小・中・高等学校別の指導資料を作成,配布した。

なお,近時,エイズが我が国においても社会問題化しているが,文部省においては,学校においてエイズの予防について適切な教育が行われるよう指導するとともに,昭和63年3月には,「エイズに関する指導の手引」を作成し,配布した。さらに,昭和63年度から,指導の充実や啓発活動等について地域ぐるみで実践研究を行う「エイズ問題を含む性に関する指導推進事業」を実施している。

平成元年3月に告示した新学習指導要領においては,児童生徒が発達段階に応じて自主的に健康で安全な生活を実践することのできる能力と態度を育成することを重視して,内容の精選を図るとともに,小学校・中学校・高等学校を通じて心の健康及び生活行動と健康とのかかわりに関する内容を充実した。また,中学校・高等学校においては,喫煙,飲酒,薬物乱用と健康について取り上げることとした。


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