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1部   初等中等教育の課題と展望
第2章  初等中等教育充実のための施策の展開
第4節  生徒指導・進路指導の充実
1  生徒指導の充実等


第1章第2節で述べたように,最近の児童生徒の問題行動・学校不適応の状況は,校内暴力の鎮静化,いじめの減少化傾向がみられるものの,登校拒否児童生徒が増加し,高等学校の中途退学者もやや減少化傾向がみられるが,なお高水準で推移しているという状況にある。


(1) 生徒指導の考え方と課題

児童生徒の問題行動の根本的な解決を図るためには,個別の問題行動への対応に併せ,児童生徒の生活体験・人間関係を豊かなものとする中・長期的観点に立った指導の両面からの生徒指導の充実を図っていくことが大切である。

今回の学習指導要領の改訂においても,「総則」において,小学校では生徒指導の充実を新たに規定するとともに,中・高等学校では生徒が自主的に判断・行動し,積極的に自己を生かしていくことができるようにするという生徒指導の意義を一層明確にするなど,積極的な生徒指導の機能の充実を図っていくこととした。

文部省においては,このような考えの下に,次のような施策を推進し,生徒指導の充実に努めている。

1) 深い児童生徒理解に立った生徒指導の実施

生徒指導の充実のためには,まず教師の日々の指導が十分な児童生徒理解に立ち,教育相談的態度を持ったものであるなど,生徒指導の基本を踏まえて実践されることが大切である。このためには,教師一人一人の自己研鑚の努力とともに,校内研修,各都道府県や市町村の教育委員会の教員研修等の充実によって,教師の指導力の向上が図られなければならない。文部省では,自ら主催し,あるいは都道府県教育委員会との共催の下に教員研修を実施し,生徒理解やカウンセリング技術等にかかる教師の指導力の向上に努めるとともに,生徒指導に関する理論,知識・技術などを解説した指導資料を作成して全国の学校に配布し,各教師の日常の生徒指導に役立てている。

また,生徒指導は,生徒指導主事等特定の教師の問題として取り組むのではなく,全教師が共通理解を持ち一体となって取り組む必要があるが,各学校における生徒指導体制の強化に資するため,一定規模以上の学校に教員定数上の配慮を加えるほか,特に生徒指導上困難な課題を有する学校に対しては,教員定数加配の措置を講じている。

2) 教育相談体制の充実

生徒指導において教育相談の果たす役割は極めて重要なものである。

学校における教育相談体制の充実を図るために,教員研修の充実,指導資料の作成配布等により教師の指導力の向上を図るとともに,教員定数上の措置等を講じていることは1)で述べたとおりであるが,生徒指導の実際においては,学校の指導の範囲を超えた医学や心理学等の高度な専門的知識が要求される場合も少なくない。このため,都道府県・市町村等には,教育センター等が設けられ,それぞれの実情に応じて,その機能を高める努力が払われている。

教育センター等の専門機関は,昭和62年度において都道府県及び指定都市の教育委員会(学校教育担当部局)の所管にかかるものが163か所,教育相談貝は1,055人を数えるが,そこでの教育相談件数は年々増加しており,昭和62年度は86,633件となっている。

都道府県によっては,教育相談機能を広げるため,学校経営,生徒指導,カウンセリング等に関し専門的な知識と経験を有する者を相談指導員として委嘱し,市町村を定期的に巡回訪問させて教育相談に当たる事業を実施しているが,文部省では,このような都道府県教育委員会の事業に対し財政的援助を行って,各地域における教育相談活動の充実に資している。

また,昼間相談に行くことのできない者に夜間に電話を通して相談に応じる体制を整える都道府県・指定都市教育委員会に対しても,文部省は財政的援助を行って,この事業の推進を図っている。

3) 学校・家庭・地域社会の関係機関等の十分な連携

生徒指導を充実させるためには,学校だけの努力ではなく,学校,家庭,地域社会の関係機関等が一体となって取り組むことが不可欠である。

このような考えの下に,各地域では地域が一体となった様々な取組が進められているが,このような取組を一層推進するため,文部省でも,研究指定校や研究指定地域の事業を実施している。また,中央,地方を通じて広く関係者が参加して研究協議を行う推進会議等を開催する等により,学校,家庭,地域社会の関係機関等の連携による生徒指導の一層の推進を図ることとしている。

4) 生活体験・人間関係を豊かなものとする学校教育活動の実施

生徒指導においては,児童生徒の生活体験・人間関係を豊かなものとする中・長期的観点に立った指導が重要であることは前述したとおりである。文部省では,各学校が教育活動全体を通してこのような指導を充実していくことを促しているところであるが,児童生徒が豊かな自然環境の中での集団宿泊生活を通じて人間的触合いや自然との触合い,地域社会への理解を深める学校教育活動を推進する自然教室事業に対しては特に補助を行って,その促進を図っている。


(2) 登校拒否・高校中退等の学校不適応に対する対応

前述したとおり,登校拒否児童生徒が年々増加傾向にあり,これへの対応が現在,喫緊の課題となっている。この問題の解決を目指して,各学校においては,家庭訪問の励行,保護者への啓発,教育相談機関等専門機関との連携の強化等,種々の努力をしてきており,また,各都道府県・市町村においても,登校拒否や高校中退の問題を検討するための協力者会議の設置,指導資料の作成,相談教室の開設等を行ってこの問題に取り組んできている。

文部省においても,この問題の解決を極めて重要な教育課題と考えて,従来より指導資料の作成配布,教員研修の充実,教育相談活動推進事業等を実施してきたが,平成元年度からは新たに,学校・家庭・地域が一体となって取り組む総合的な学校不適応対策事業を行うこととした。

具体的には,まず,小・中・高等学校長,教育センター等の教育相談担当者,精神医学や臨床心理学等の専門家等からなる「学校不適応対策協力者会議」を文部省に設け,学校不適応の原因・背景等について研究協議を行っている。

また,全国8県・市を選び,学校・家庭・地域ぐるみの適応指導,訪問・巡回相談事業,シンポジウム等家庭への啓発事業などの実践を通して,学校不適応の問題の解決に向けての取組の方途を見いだすことを目指した研究を委嘱している。

さらに,このような会議や実践的研究の成果を持ち寄って学校不適応の問題への取組を研究協議するための全国的な会議も開催することとしている。


(3) 校則の見直し

生徒の服装や頭髪の規制の在り方をめぐって校則が問題とされる例が多い。しかし,校則の在り方は広く学校の指導の在り方の問題として,極めて重要な問題といわなければならない。

本来校則は,児童生徒が学校で受ける教育の目的を達成するために主体的にどのように行動すべきであるか,という行動規準の指針を具体的に示したものである。

児童生徒が心身の発達の過程にあること,学校が集団生活の場であること等からいって,学校には一定の決まりが必要であり,校則それ自体は意義あるものである。要は,それが単に,規則の押し付けとしての消極的な役割のみを果たすのではなく,健全な学校生活を営み,よりよく成長発達していくための指針になっていることが大切だということである。そのためには,校則が児童生徒の実態や地域の実情等を踏まえたものとなっているか,その内容やその指導の方法が児童生徒に対しどのような教育効果や影響を与えているのか等を十分に把握しながら,適宜見直しを行っていく必要があるといわなければならない。

文部省は,このような観点に立って,都道府県教育委員会を通して,各学校に校則の見直しを促してきた。

今日,学校によって,校則検討委員会を設けたり,生徒や保護者を対象にアンケートを実施したり,学級や生徒会などで生徒に自らの問題として討議させる場を設けさせるなどにより校則の見直しを行っている。

そのほか,市町村の単位ですべての学校が積極的に検討の場を設けて校則の見直しを行うなど,各学校における校則の見直しへの取組は多様であるが,全体としては各学校の校則の見直しの取組が進められてきている。

校則の内容やその指導の在り方は児童生徒の教育に極めて大きな影響をもつことに留意し,今後も望ましい校則づくりを目指した学校の努力が期待される。


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