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第2章   教育内容・方法の改善
5  人学者選抜の方法
(2)  大学入学者の選抜


大学への入学者選抜は高等学校における以上に困難な問題をかかえている。現在進学希望者に対する収容定員の比率は70〜80%とかなり高いが,大学の増加に伴い,社会の大学に対する評価にますます格差が生じるようになり,わが国の学歴偏重の風潮ともあいまつて,受験生がいわゆる有名大学に集中する傾向がいぜんとして続いている。そのため競争がはげしくなり,高等学校の教育活動に重大な影響をおよぼしている。

このような状況を改善するために,多くの措置がとられ,戦後においても進学適性検査を加えた総合判定による選抜の実施(昭和22〜29年),選抜において,内申書を重視・活用する総合判定(昭和41年),入学定員の―部推薦制の導入(昭和42年)などの措置がとられた。この間に中央教育審議会の「大学教育の改善について」(昭和38年)の答申において,入学者選抜試験のテスト問題の研究,作成および実施のために専門の機関の設置の必要性が指摘され,大学入学者選抜のための統―的テストを実施する能力開発研究所が設立されたが,主として大学側の協力が得られなかつたこと等のため,いわゆる能研テストは数年を経て中止のやむなきにいたつた。

このような種々の努力にもかかわらず,現在でも1回かぎりの学力検査の結果のみにかたよつた選抜が行なわれ,大学教育を受けるにふさわしい能力・素質のあるものを選び出すという選抜目的がじゅうぶんみたされるにいたつていない。しかし,能力開発研究所や国立教育研究所その他の研究から,入学者選抜において,どのような資料を用いることが適当であるかについて次のような結果が得られている。

1) 入学者選抜を,大学の学力検査の成績だけで行なう場合には,妥当性の高い結果は得られない。
2) 入学者の選抜に,大学の学力テスト,能研テスト,高等学校の調査書などを単独で用いるのでなく,これらを総合的に利用するほど入学後の学力との相関が高くなり,妥当な結果が得られる。
3) 入学者の選抜を単独の資料で行なう場合には,高等学校の調査書に現われた学習成績を用いるほうが,大学の学力テストだけで選抜する場合より妥当性が高い。

このような研究成果をいかして合理的な大学入学者選抜の方法をみつけだすためには,より長期的な努力が必要とされるが,個人の能力・適性をより客観的に,はあくするための技術的方法が,今後とも研究されねばならない。

主要国における大学入学者選抜の方式をみると,中等教育機関へのふり分けのところでみたように,アメリカ合衆国,ヨーロッパ諸国,ソ連の3つの型に分けることができる。

アメリカ合衆国の入学者選抜方式は,1) 大学みずからは入学試験を行なわず,独立の試験機関である大学入学試験委員会(CEEB)等の行なう統―的な試験と,中等学校での成績によつて選抜する,2)大学が個別に入学試験を行なうがCEEBなどの試験結果を参考にする,3)高等学校での履習単位や学業成績によつて選抜する,の3つの類型がある。これらのうちでは,第1の類型に属する大学が最も多く,全大学の約半数がこの方式を採用している。CEEB等の行なう試験には,進学適性テストと学力テストがあり,大学によつては,その両者を要求するものと,その1つを要求するものとがある。

これに対し,ヨーロッパ諸国は中等教育機関在学中あるいは最終学年に行なわれる大学入学資格取得試験に合格することによつて,大学入学の資格を取得できる制度になつている。

イギリスでは,大学入学資格を与える試験として,GCE試験がある。

GCE試験には普通および上級レベルの試験があり,―般に普通レベルは中等学校の第5学年末(16歳)に,上級レベルはその後1〜2年のうちに受験する。大学入学志望者は各大学が要求する入学資格要件に照らして必要なレベルの科目を受験する。

フランスでは,高等学校の最終学年に,国が行なうパカロレアという大学入学資格試験に合格することによつて大学入学が決定される。合格者は登録するだけで希望する大学に自由に入学できる制度がとられているが,最近進学希望者の増大により,入学できる大学をバカロレア合格者の居住地によつて制限する計画がある。

西ドイツでは,高等学校の最終学年において各州が認定する高等学校において行なわれるアビトゥールとよばれる試験によつて大学入学の合否が決定される。これは高等学校の卒業試験であると同時に大学入学資格試験でもある。

ソ連の大学入学者の選抜は,各大学が,国の定めた試験手続きおよび教科,出題範囲に従つて,入学試験を行なつている。しかし,わが国や欧米諸国の場合と異なり,軍歴所有者,職場からの推薦者,労働経験者などが優先的に入学を許可されるという,特別の制度をもつている。

以上が主要国における大学入学者選抜制度のあらましであるが,各国とも能力・適性のある者をより広い範囲から適切・確実に選び出すために新しい動きを示している。

アメリカ合衆国では,大学の入学を適正に行なうため,入学担当官を配置し,高等学校の教育内容や水準を正確に,把握するような体制がとられ,また高等学校の進路指導を充実させ,生徒の進学に適切な助言を与えている。

フランスでは,従来の「中級技術者免状」を「技術者バカロレア」に改め,技術教育系の高等学校卒業者にも大学への道を開くと同時に,バカロレアの試験を年2回実施し,合格の機会を多くすることとした。また,西ドイツにおいても,近年国民学校あるい中間学校卒業後,職業教育諸学校へ進んだ青少年に対しても,各州文部省の承認を経て大学へ進学する,いわゆる「第2の道」が開かれている。


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