ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第2章   教育内容・方法の改善
2  教育方法の改善
(2)  教授・学習組織の改善


教育機器の導入とともに,従来の画一的な指導方法にとらわれない教授学習組織の改革の試みがすすめられている。そこには,従来みられる能力・適性の異なる生徒を教師が平均的な水準で指導するという形態でなく,個々の生徒の能力をじゅうぶんにひきだそうとする方向がみられる。

わが国の中学校の新しい学習指導要領には「生徒の能力・適性に応じる教育の徹底を図ること」が強調され,特に数学,外国語においそは,生徒の能力に応じて学習内容を一部変更できること,あるいは学業成績不振の生徒に対しては全教科にわたつてそれぞれ学習内容の一部を省略できること,さらに教科の指導にあたつては,交換授業,合同授業,チームティーチング方式による授業など協力的な指導組織を組むこと,視聴覚教材を適切に選択し,活用することなどの措置が規定されている。

また,高等学校の新しい学習指導要領においても,生徒の能力・適性に合わせた教育を推進するために,新しい教科・科目が設けられている。

主要国,とりわけアメリカ合衆国では教授・学習組織の改善について次のような多くの試みがなされている。

チーム・ティーチングがアメリカ合衆国において,現在行なわれているような形態でスタートしたのは今から15年ほど前であるが,教師がグループをつくり,個々の教師の長所を活用しうる方式であるため,教育内容の複雑化・多様化に対応する制度として普及をみ,1966年現在,アメリカ合衆国の初等・中等教育の行政単位である学区の約38%がこの方式を採用しているといわれる。

ノングレーデッド・スクール(無学年制学校)は,生徒個々人の学習速度に合わせて連続的に進歩できるように学年の壁をとりはらい,能力・適性に合致した指導を行なう組織であるが,1966年現在,全学区の23%に普及している。

モデュラー・スケジューリングは,授業時間を20〜30分の基本単位時間とし,通常コンピューターを利用して個人差に応じた個人別時間表を作成するものであり,生徒個人の能力・適性に合致した指導という面からの弾力性に富む学習指導計画であるといえる。

また,デュアル・プログレス・プランは,教科領域を必修と選択に2分し,前者については学年制,後者については無学年制をとる計画でニューヨーク,フロリダなどの各州でその実験がすすめられている。

こうしたアメリカ合衆国の教育革新の動向とともに,ヨーロッパ諸国でも伝統的教育方法に対する反省と新しい教授・学習組織の開発が進められている。

ヨーロッパ諸国では従来,比較的早期に生徒を能力によつて異なつた学校種類に分類してきたのであるが,個人の能力がじゅうぶんに開発されていなかつたという反省が高まり,学習の個別化を求める動きが顕著となつた。

イギリスでは,同学年の生徒を能力・適性・進路に応じて異なる学級に分けて教育するストリーミングとよばれる能力別学級編制が広く普及しているが,初等教育では,最近,これにかえて,必要に応じて,学年のわくをこえて2〜3年の年齢に幅のある学級編制や,「ファミリー・グループ」とよばれる小グループの編制を行ない,教育活動を児童,生徒の興味と適性にかなつたものとする新しい試みが,一部の地域で導入されている。

西ドイツでも,5年ほど前から設置されはじめた総合制中等学校の上級学年において,国語,数学,物理などの主要科目に関する能力別学級編制が行なわれている。

また,こうした教育方法の変化に伴つて,学校建築にも新しい試みがみられる。たとえば,アメリカ合衆国では,従来のような固定化した長方形の教室にかわり,5角形や6角形の大教室を建築し,「動く壁」といつたような移動可能な間仕切り設備によつて,学習活動の目的にあわせて,教室を大きくあるいは小さく区切つて使用できるようなくふうがみられる。

また,このような教育方法の改善とともに,アメリカ合衆国やソ連などでは,特別の才能を有する児童・生徒に対して,その才能をじゅうぶん伸長させるための国家的政策が推進されている。

アメリカ合衆国では,1953年以降アドバンスド・プレイスメント・プログラムが開始され,高等学校の特に優秀な生徒に高等学校の教師の指導のもとに大学レベルの課程を履習する機会を与え,大学の単位を与えている。これらの優秀な生徒に対する育英措置として,1955年以降「国家優秀奨励金協会」が設立され,奨学金資格テストを行ない,大学進学を保証している。

ソ連では,従来画一的な指導方法がとられていたが,1960年代に入り,数学,物理,化学,外国語など特定の教科にすぐれた才能を示す中等教育段階の生徒を特別学校に収容して,一般の学校におけるより質の高い授業を行なつている。特に,モスクワ大学,レニングラード大学など著名な総合大学には水準の高い特別学校が付設され,全国からオリンピアードという選抜方法によつて選抜された英才を集め,大学レベルの教育を行なつている。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ