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第2章   教育内容・方法の改善
1  教育内容の水準の維持・向上と多様化
(3)  学力水準の国際比較(算数・数学)
a  算数,数学の教育内容の国際比較


前節においては,教科の種類,授業時間数の比較を行なつたが,各国の学力水準をみるためには,教育内容についても具体的に比較してみる必要がある。そこで,資料に限定はあるが,主要国の義務教育段階における「算数」「数学」でどのような内容が取り扱われているか比較・検討を試みることにする。


(a) 小学校第1学年の教育内容

主要国においては,各国とも,まず具体的に物・花・くだものなどの数を数えることから始まり,1年間で100まで数えられるように指導している。計算は20までの加法と減法が中心であり,わが国では学年末には100までの加減が取り入れられる。この場合は,くりあがり,くりさがりを伴わないよう配慮されている。また乗法,除法は簡単なものに限り扱われている例力がある。フランスでは,1位数の乗法,単純除法が,ソ連では20までの数についての乗除を,アメリカでは1/2の概念について扱つている。

わが国では,乗除は直接には取り扱つていないが,具体的な事物を用いることにより,物のありまりについてまとめて数えたり,等分したりして,乗法や除法などに発展する基礎的なことを理解させている。

また,長さやかさの比較から始まり,実際に身近かなものの測定が行なわれる。アメリカ合衆国,ソ連では測定にあたつて日常よく使用される単位の理解まですすめられているが,フランス,西ドイツやわが国においては,量の概念の理解までにとどめている。時計についての内容が,アメリカ合衆国およびわが国でみられるが,「3時」「4時半」といつた程度にとどめている。

図形については,各国ともごく簡単に扱つている。また,集合の初歩的な概念が,フランス,ソ連およびわが国でとりあげられているのは新しい傾向である。

表29  主要国の第1学年における計算に関する領域の教育内容


(b) 主な教育内容の取り扱いの始期

次に,算数の主な教育内容について,どの段階ではじめて取り扱われるかを概観してみよう。

各国ともほぼ同じ傾向を示しているが,図形についてみるとアメリカ合衆国ではあまり取り扱われていない。因数分解については,ソ連では第6学年(わが国の中学校第1学年に相当)ですでに扱つているが,わが国では中学校第3学年ではじめてとりあげられる。

表30  主要国における算数・数学の教育内容の取り扱いの始期学年


(c) 各国の特色

初等教育段階の教育内容をみると,取り扱う時期には各国の間で相違はみられるが,内容には大きな相違はない。しかし,中等教育段階について教育内容をみると,国により,いくつかの特色が見うけられる。前期中等教育についてみてみよう。

各国とも数学を重要視し,内容を充実したものにしている。アメリカ合衆国では,近年,基礎学力をマスターさせるため,系統的学習に力が入れられてきた。また,特に数学教育の現代化の研究が進められている。わが国の新しい教育課程をみると,現代化の観点から改善され,中学校第1学年で集合が,第2学年では数の集合の構造,順列,組合せ,確率が,第3学年で標本調査等が取り扱われる。

フランスでは中等学校において「実習」という測定の実地訓練の項目が特に設けられているのは1つの特徴である。フランス,ソ連では,立体幾何を扱つており,ベクトルも前期中等教育で教えられている。また,三角関数も扱われている。

各国とも近年,数学教育の現代化が叫ばれ,抽象数学,応用数学の早期教育について研究が行なわれている。


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