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第2章   教育内容・方法の改善
1  教育内容の水準の維持・向上と多様化
(1)  教育課程
d  コースの分化と教育内容の多様化


わが国においては,小・中学校の義務教育段階においては,ごく一部の選択教科を除けば,すべての生徒が共通の教育課程で教育を受けており,高等学校になつてはじめて普通科,農業科,工業科,商業科,水産科,家庭科,看護科などの学科に分かれ,異なつた教育課程が編成される。

わが国の高等学校の教育課程はいずれの学科においても,従来,必修科目が多く,生徒の科目選択の自由はあまり認められていなかつたが,新しい教育課程では,必修科目の数を大幅に減じ,特に普通科においては,教育内容に変化をもたせることができるようになつた(普通科男子では必修科目は17科目から11科目に減少)。そして,生徒の能力・適性や興味に応じて自由に教科・科目を選択することができるよう,基礎理科,数学般,基礎英語といつた基礎学力の修得を目標とした科目や物理2,化学2,生物2,地学2といつた比較的高度の教育内容の科目を設けた。また,専門学科(職業に関する学科および理数科)においては総合数学,総合物理,総合化学などの科学的・数学的能力を高めることを目標とした科目を設け,さらに,電子計算機を中心とする情報処理技術の進展に即応して,工業科でシステム工学,商業科でプログラミングなどの科目が新たに設けられた。

主要図におけるコースの分化と教育内容の多様化の状況をみると,アメリカ合衆国,ヨーロッパ諸国,ソ連の3つの型に分類できる。

〈アメリカ合衆国〉 コースの分化は中学校段階まで行なわれていない。高等学校の段階では地域によつては,分化するが,総合制高等学校として分化しない場合も多い。中等学校においては,コースの分化よりむしろ多くの選択教科を設けることにより,生徒の適性と興味に応じた教育を行なつている。

〈ヨーロッパ諸国〉 アメリカ合衆国と異なり,小学校卒業後,試験あるいは小学校の成績により,各種の中等学校にふりわけられるのがヨーロッパ諸国の特色である。

しかし,最近では,前期中等教育で伝統的な複線型から単線型の学校体系に移行し,教育課程を共通化し,実質的にコース分化の時期をおそくする傾向にある。フランスにおいては,1970年の新学期から前期中等教育の教育課程の共通化が実施されることになつた。

〈ソ連〉 義務教育の8年間を通じて教育課程は全生徒に共通であり,義務教育修了後,普通教育コースと職業教育コースに分かれる。1967年に発表された新しい教育課程をみると生徒の個人の能力を最大限に開発しようということから義務教育段階の第7学年以上の各学年で選択教科が導入されている。

以上のように,最近,教育課程の編成について新しい動きがみられる。

すなわち,伝統的に複線型の学校体系をとり,教育内容が複雑に分化していたヨーロッパ諸国においては,前期中等教育の教育課程の共通化が図られ,他方,単線型の教育体系をとり,共通の教育内容をとつてきたアメリカ合衆国,ソ連およびわが国においては,教育課程の中に選択教科を大幅に組み入れ,教育内容の多様化を図る動きである。生徒の能力・適性の伸長という立場から,共通課程を基礎としたうえで,必修教科を少なくし,科目の選択の幅を広くするという方向に進んでいるといえよう。


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