ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第1章   教育機会の拡大
2  就学前教育
(3)  国際比較


わが国と同じように,就学前教育を,本来機能の異なる幼稚園と保育所の2種類の施設において実施している国は,アメリカ合衆国,イギリス(幼稚園とはいわず保育学校という。),西ドイツである。フランスでは,幼稚園がこの双方の機能を果たしている。ソ連では,生後2か月から3歳までの乳幼児を収容する保育所に,3歳から6歳までの幼児を収容する幼稚園が連結した「保育・幼稚園」が一貫した就学前教育機関として設置されている。

これらの就学前教育機関の所管は,アメリカ合衆国では州教育関係部局と厚生関係部局に分かれていることが多く,イギリスでは教育科学省と保健省に二元化されているが,西ドイツでは社会福祉省に,ソ連では教育指導については教育省に一元化されている。なお,最近イギリスでは3歳以上の幼児の教育を教育科学省の所管に一元化する動きがみられ,また,西ドイツでは,従来就学前教育はすべて社会福祉の一環として扱つていたが,最近幼稚園を教育機関の一環として位置づけようとしている。

次に,主要国の幼稚園在園の状況を年齢別にみると,5歳児の在園率の高い国は,義務教育が5歳児から始るイギリスを除き,フランス,アメリカ合衆国,日本の順になつているが,いずれの国においても,就学前教育は,かなり普及しており,かつ,その在園率も高まる傾向にあることが示されている。フランスは義務教育ではないが,その在園率は99%に達している。これは,幼稚園教育を希望する幼児をすべて入園させるため,国が教職員給与を全額負担し,施設・設備への補助政策を積極的に推進しているためであろう。

表1 主要国における幼稚園在園率

次に,幼稚園在園者を設置者別にみると,わが国では私立が全体の約4分の3を占めているのに対し,イギリス,アメリカ合衆国,フランスでは,公立の占める比率が高く,それぞれ,90%,70%,60%となつている。しかし,西ドイツでは私立が多く,全在園者に占める比率は80%にも達している。

以上みてきた就学前教育のほかに,最近では,アメリカ合衆国,イギリス,西ドイツなどにおいて,教育の機会均等の観点から就学前の幼児の教育的な環境を整備するための試みがなされている。アメリカ合衆国では,貧困家庭のため教育上著しいハンディキャップを背負つた子どもたちが,小学校入学の際に,恵まれた家庭の子どもたちと,同じスタートラインに並びうるようにするため,1965年から「ヘッド・スタート」という早期教育を国の積極的奨励のもとに実施している。1968年現在,200万人以上の幼児が参加している。

イギリスでも,おもに都市のスラム地域に住む貧困家庭の幼児の教育のために,都市地域援助計画の一環として,保育施設の拡充が進められている。

西ドイツにおいても,家庭が貧困等の理由により知能の発育の遅れている幼児を対象に,普通児より1年早く入学させる「学校幼稚園」などの制度がとられている。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ