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第1章   教育機会の拡大
1  学校制度

第2次世界大戦後,わが国は,教育の機会均等の理念の実現のため,63・3・4制のいわゆる単線型の学校制度を採用した。この新制度の下で戦後4半世紀を経た今日,わが国は,教育の普及と水準の高さにおいて,先進諸国の中でも高い地位を占めるにいたつた。しかし,近年教育の機会均等の理念のよりいつそうの実現と,近代産業社会の諸要請にこたえるという観点から,現行制度の再検討を望む声が高まつてきた。特に,年々増加する後期中等教育進学者の多様な能力と適性に応ずる教育の制度上の保障が大きな問題となり,すでに,昭和37年には,中学校卒業者を収容し,5年間の一貫教育を行なう技術者養成のための高等専門学校が設置された。また,最近では,学校系統を,児童,生徒の発達過程から再検討することが要請されている。

図1主要国における学校系統図


アメリカ合衆国では,すでに,19世紀後半から単線型学校制度がしかれている。しかし,初等・中等の学校体系は,地域によつて異なり,8・4制,6・6制,6・3・3制などがある。最近では,学校系統を児童・生徒の発達に,より適合したものにするために,5・3・4制,4・4・4制などを採用する試みがある。また,高等教育は通常4年制の大学と2年制の短期大学で提供されているが,最近では,後期中等教育の修了者に高等教育の機会をより広く提供するため,2年制短期大学(ジユニア・カレッジまたはコミュニティー・カレッジ)の増設が特に進められている。短期大学は,前期高等教育機関と職業教育機関とめ両機能を果たしてきているが,最近では,進学率の向上に伴つて,地域性に即した職業教育が多く実施されるようになつている。

ヨーロッパ諸国では,高等教育機関へ進学する者と,職業学校へ進学したり,直ちに社会へ出る者とが,初等教育修了の段階で区別される複線型の学校制度をとつていたが,最近では単線型の学校制度への動きが顕著になつてきており,中等教育段階における学校種類間の壁がしだいに取り払われる傾向にある。

イギリスでは,1965年から,一部の地方で11歳試験の廃止と総合制中等学校(コンプリヘンシブ・スクール)への再編成が試みられ,進学コースと就職コースへの分化を後期中等教育段階に延ばす方向にむかつて努力されている。

フランスでは,1964年から,前期中等教育段階を共通な教育課程を提供する総合制中等学校(中等教育コレージ=)へ再編成することにより,コース分化の時期を後期中等教育段階にまで延ばそうとしている。

西ドイツでも,これまで前期中等教育段階でコース分化していたのを観察指導期の導入により,その時期をできるだけ延期するように努めている。

ソ連の学校制度は単線型であるが,欧米諸国とは異なり,学校体系は地域の特性に応じた3種類からなつている。すなわち,農村地域の4年制学校,市街地の8年制学校と10年制学校を基底とした学校体系である。後期中等教育の段階では,生徒は主として大学へ進学するもののための教育機関(10年制学校の第9〜10学年)と,完結的な職業教育機関(中等専門学校,職業・技術学校)とに分かれる。最近では,前者にコース別教育を導入する試みが行なわれている。

このように,日本,アメリカ合衆国,ソ連のように,従来単線型学校制度をとつてきた諸国においては,後期中等教育段階以降で多様化の傾向がみられ,逆に,複線型学校制度を採用していたヨーロッパ諸国では,単線型学校制度への歩み寄りがみられる。

また,後期中等教育の拡充を反映して,高等教育段階における機会の拡大が大きな問題となつており,このため,いずれの国においても,高等教育制度の改革や収容学生数を増加させるなどの施策が講じられている。


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