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第5章
長期総合教育計画
2 教育計画に取り入れるべき諸要素
(3) 教育投資における国の役割


第3に,教育投資はだれがになうべきであるかを考えることである。

まず,公教育費負担関係に視点をおいてみると,明治以降,市町村から府県へ,府県から国へとその比重が移行してきており,国の負担は今日実質50%前後に達してきている点が注目される。市町村から県,国へと負担の比重が推移した理由は,教育の機会均等の理想に導かれて義務教育を中心とした国民全体の教育水準の向上を図ったこと,そのため教育水準の地域的格差が解消したことが,かかる方向を進めてきたのである。これを社会的,経済的にみれば,社会・経済活動の範囲がしだいに広域化し,国家的規模において行なわれるよう になってきたことが,その背景をなしているものとみるべきであろう。

技術の革新,経済の成長,社会の発達は,職業に従事する人々の教育の量の増大と質の向上とを求めてやまないと同時に,教育によってもたらされる効果は,国家社会が全体としてこれを受ける面をいっそう多く,広くしてきている。学校卒業者の地域的・社会的移動は全国的規模においてきわめて複雑化し,広範になってきている。このことは国家的規模における教育施策の推進を必要とし,教育投資面における国の果たす役割を増大してきている 。

この傾向は,従来教育の州権主義をたてまえとするアメリカ合衆国や,その地方主義を伝統としたイギリスにおいてもみられることは,すでに述べたとおりである。

ここで教育費における政府支出の増加傾向と私立学校経費についてふれてみたい。わが国では,私立学校の経費はその比重が近年増大し,高等教育においては40%以上を占めている。私立学校経費は投資の観点からは教育資本を形成するもので,公教育費と相まってわが国の社会・経済の発展に大きな効果を及ぼしている。教育投資的観点から,今後,教育全体の計画化が進むにつれ,私立学校も広い意味の教育計画の一環をなすことになるであろう。それとともに,私立学校のもつ公共的使命もいっそう強まることになるであろう。この観点から,私立学校教育費と公共投資の深い関連について,あらためて検討することが必要である。

教育投資はだれがになうべきかの問題は,今後の社会・経済の発展と教育との関係をじゅうぶん考慮しつつ,公費における国と地方との負担関係と同時に,私立学校経費のあり方,さらには本報告書では取り上げなかった,いわゆる父兄負担経費すなわち国民の私的負担の問題も含めて,総合的に深い検討を加えることは,長期総合教育計画の策定にあたって取り入れるべき重要な要素である。


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