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第4章
教育投資の配分
2 教育段階別の配分
(2) わが国の史的考察


日本の学校教育費が,過去においてそれぞれの教育段階にどのような割合で配分されてきたかをふりかえってみよう。明治18年以降昭和35年までの教育費の教育段階別配分の推移をみると,次の表のとおりである。

表33 国公私立学校の教育費と在学者数の教育段階別構成比の推移

まず,初等教育費の占める比率は,明治以降今日まで徐々に低くなり,中等以上の教育段階の教育費の占める比率が増加してきたことがわかる。

特に著しい増加をみせているのは,中等教育費の占める比率である。その比率は,明治18年には2.8%にすぎなかったが,明治32年の「中学校令改正」,「実業学校令」,「高等女学校令」など一連の中等教育振興措置により,明治33年には大幅に上昇して16.5%となり,その後も徐々に増加し,大正14年には20.1%となっている。第二次世界大戦後は,教育改革によって,新制中学校の義務制が発足した結果,中等教育費の占める比率は著しく増加し,昭和25年には46.2%,昭和35年には44.5%となっている。このような中等教育費の比重の増大は,中等教育在学者の比重の増大とほぼ併行している。

高等教育費の占める比率は,中等教育費の占める比率ほど著しい増加はみせていない。明治以降大正9年まで,毎年10%近くを上下していたが,大正期における高等教育の拡充の結果,大正14年には14.6%に上昇し,昭和15年には20.1%に増加している。しかし,戦後は新制中学校の義務制の実施を中心として中等教育の拡充に最大の重点が向けられたため,高等教育費の比重は相対的に減少している。

一方,在学者数についてみると,初等・中等・高等教育の在学者総数のうち高等教育在学者数の占める比率は,大正9年までは1%未満にすぎなかつたのが,大正14年に1.3%に上昇し,その後今日まで順調な伸びを示している。

高等教育費の占める比率と高等教育在学者数の占める比率を比較すると,次のようなことがわかる。すなわち,大正14年には高等教育在学者数の占める比率は1.3%にすぎなかつたのに,高等教育費の占める比率は14.6%を占めていた。また,昭和15年には,高等教育在学者の占める比率は1.7%にすぎなかったが,高等教育費の占める比率は20.1%に達していた。ところが,昭和35年になると,高等教育在学者数の占める比率は3.2%に上昇しているにもかかわらず,高等教育費の占める比率は13.1%と逆に減少している。すなわち今日の高等教育に対する経費の配分率は,戦前に比べて実質的に低下しているのであり,高等教育費への配分額を増加し,高等教育の質を高める努力こそ,今後の教育施策における大きな課題であることを示している。

教員養成費の比重は,大正,昭和期よりもむしろ明治時代のほうが大きい。これは,この時代に教育を拡充させるための基礎として教員養成機関の整備に大きな努力が注がれたこと,および大正にはいってからはその整備・拡充が一段落したことによるものである。このことは,教員養成機関在学者数の占める比率が,年次による大きな変動はなく,0.2%から0.5%の間にほぼ定着していることによっても裏付けられる。


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