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第3章
教育条件・機会均等施策等・教師の水準
2 機会均等施策と補助活動
(4) 育英奨学


 わが国の国家的育英奨学制度としては,特殊法人である日本育英会があり,昭和33年度において,年間約22万人の学徒(うち高等教育機関在学者約13万人)を対象に,約47億円の事業費(うち高等教育機関在学者の分約36億円)をもって,学資の貸与を行なっている。

 この事業の開始された昭和18年度から昭和33年度末までに,貸与を受けた者は約90万人,貸与総額は約335億円に及んでいる。

 この制度は,国家有用の人材養成という性格を主にして発足したのであるが,戦後における高等教育機関在学者数の増加と国民の経済的水準の相対的低下という現実に即して,対象人員の拡大に力点がおかれてきた。

 したがって,発足以来の事業規模の推移を,採用された奨学生数によって見ると 第18図 のとおりであって,昭和33年度における採用数は,在籍学生・生徒数に対し,大学20%,高等学校2.9%である。

第18図 年度別の奨学生数の指数  (昭和19年度=100)

第36表 主要国における高等教育機関在学者の奨学金の受給率

 そこで高等教育機関在学者に対する奨学金支給状況を主要国と対比してみると, 第36表 のとおりである。

 この表によると,わが国における奨学金の支給範囲は,イギリスよりも狭く,フランスより広いと考えられる。ただし,このほかに,フランスでは50%の授業料免除者があることを考慮にいれる必要がある。(わが国の国立大学における授業料免除は,在学者の約5%の範囲内で行なわれている。)参考までに,わが国における最近の奨学金の希望者と受給者との関係を大学についてみると, 第37表 のとおりであって,受給希望者で奨学金を受けられない者が,なお相当あることがわかる。

第37表 奨学金の希望率と受給率

 次に奨学金の額については,わが国の場合,生活費を含まない学資の不足分を補うことを限度として年額24,000〜36,000円となっているが,主要国マは,生活費を考慮して決定されている例が多い。たとえば,イギリスでは家庭め所得額によって段階を設け,修学費および標準生活費を基礎として支給額が算出され,平均年額247,000円程度となっている。

  第38表 は義務教育修了者を基準として大学への進学率を所得階層別にみたものであるが,家庭の経済的条件と子弟の教育との関係を示すものといえるであろう。以上述べたこととこの表とを合わせて見れば,機会均等の実現を目標とする一般的奨学をさらに拡大する必要は依然として薄れていないということができるであろう。

第38表 所得階層別の大学進学率

 一方近時の学術・産業・文化の発展により優秀な能力者の出現が強く要請されているが,主要国の例をみると,たとえばフランスにおいては将来の研究要員に対しては通常の大学生の受けている奨学金の平均額87,000円の約3倍にあたる254,000円が支給されて烏り,ソ連においても成績優秀な奨学生に対し月26,000〜36,000円の奨学金を月54,000〜108,000円に増額する方法を講じている。イギリスにおいては,先にみたように大学生はすでに選ばれた英才であるとの見地に立っており,給与の額も多いからすべて育英であるとみてよかろう。またアメリカ合衆国では大学が広く開放されており,公・私費による一般の奨学も盛んに行なわれており,連邦教育局が147の大学について調査したものによれば,全学生の25%が奨学金を給・貸与されているが,アメリカ合衆国防衛教育法の施行によりて,人材養成を目的として大学生に年間360,006円以上在学期間中総額で1,800,000円が貸与され,大学院学生は3年間に2,376,000円が給与されることとなっている。

 わが国においても,主要国の例にみられるように,人材養成の立場から,学生が勉学に専念できるだけの徹底した援助を行なう道をひらくことも,ますます必要となづつつある。このために,昭和33年度から特別貸与制度(高額の奨学金を支給し,その一部の返還を免除する制度)を実施しているが,さらに一歩を進めて,英才育成と人材確保のためには,たとえばまず大学院等において,生活費を含めた奨学金を給与する制度を実施することが必要であると思われる。


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