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第3章
教育条件・機会均等施策等・教師の水準
2 機会均等施策と補助活動
(1) 特殊教育


 心身に障害のある児童については,障害の種類と程度に応じた教育を行なう専門の特殊教育諸学校,または一般の学校の中に設けられた特殊学級において教育することが必要である。  わが国では,下の図に見られるとおり,特殊教育諸学校や特殊学級の在学者の数は年々増加しつつあるが,これらの特殊教育機関に就学している者の全児童生徒数に対する比率は 第33表 にみられるように0.34%にすぎず,主要国のなかではもっとも低い。

第16図 特殊教育機関の児童生徒数の推移

第33表 主要国における特殊教育

 近年各国とも特殊教育の普及に力を注ぐようになり,アメリカ合衆国においては1948年度に比較すると,1953年度の特殊教育機関の在学者数は約1.5倍に達している。ソ連においても在来4年制であった特殊教育学校の学年を7年に延長するなどの,特殊教育の実質的な充実が図られている。

 しかし,これらの努力にもかかわらず,特殊教育はまだ各国ともあまり普及しているとはいえない。現在学齢児童数の1.7%にあたる児童が特殊教育機関に就学しているアメリカ合衆国においてさえ,連邦教育局の推定によれば,いまだに1/5の該当者しか就学していないことになっている。

 これら各国の特殊教育諸学校または特殊学級に在学している児童について,障害の種類別に,該当学齢の全児童数に対する比率を見ると次のようである。

第34表 主要国における種類別特殊教育機関在学者の学齢児童数に対する比率

 学齢児童の中で特殊教育を必要とする児童の比率が各国同一であると仮定すると,わが国においては盲・ろう児童に対する教育は必ずしも主要国に劣ってはいないのに対し,精神薄弱児についてはふじゅうぶんであり,身体不自由児についてもほぼ同様なことがいえる。また,主要国において,特殊教育機関在学者数のうちに大きな割合を占めている,精神薄弱・身体不自由児に対する教育機関の数がわが国では非常に少なく,精神薄弱該当者のわずかに2%,身体不自由児の4%が特殊教育機関に就学しているにすぎない。したがって残りのそれぞれ98%,96%の児童は,就学免除または猶予の措置を受けている者を除いて,すべて一般の学校または学級に就学して,一般児童にまじって教育を受けているのである。

 このような状態は,教育効果の上から,一般児童にとっても,特殊児童にとっても望ましくない結果を引き起こしていることは明らかである。

 以上のように,日本の特殊児童に対する施設の整備はなおふじゅうぶんであり,養護学校・特殊学級等の設置の促進がわが国の特殊教育の当面の目標となっている。

 一方,わが国では特殊教育の対象となる児童生徒の家庭は貧困者が多く,そのうえ就学には多額の経費が必要であって,これが就学率の低下の大きな原因となっている。これに対して一般の貧困者に対する奨励とは別に盲・ろう学校および養護学校に就学している児童生徒に対しては,その家庭の経済的負担能力に応じて,通学・帰省に要する交通費,付き添い人の付き添いに要する交通費,寄宿舎居住に伴う経費の給与が行なわれ,また教科書費は全員に支給されているが,これらの就学奨励の方途は今後さらに拡大する必要がある。


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