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第3章
教育条件・機会均等施策等・教師の水準
1 教育条件の水準
(3) 校舎面積


 戦災による施設の焼失や,義務教育年限延長,児童生徒の増加などに伴う学校施設の需要の増加に対処して,戦後から校舎などの建築に注がれてきた努力は非常なものである。昭和21年から昭和32年までの12年間に建築された公立学校建物の総面積は,現在保有している公立学校建物の50%以上を占めるに至っている。

 この努力の結果,一人あたりの校舎面積は急速に充実され,全国平均としては,小学校では24年度から,中学校では28年度から暫定最低基準である一人あたり小学校3.0m2 ,中学校3.6m2 を越えている。

 しかし,学校ごとにみると,まだその暫定最低基準に達しないものが多い。公立小・中学校の校舎の保有面積は昭和33年5月1日現在で小学校43,692,000m2 ,中学校21,558,000m2 で,その不足面積は小学校2,561,000m2 ,中学校945,000m2 となっており,不足率はそれぞれ5.5%,4.2%である。この不足によって起こる不正常授業を解消するため必要な教室の数は,小学校15,500教室,中学校4,200教室であり,その全学級数に対する比率は小学校5%,中学校4%となっている。また校舎の大半が木造であり,危険校舎も少なくない。

第14図 1人あたりの校舎面積の推移(小・中学校の平均)

 主要国においても,戦後急速に増大する教育人口をかかえて,おびただしい教室の不足に当面している。

 アメリカ合衆国では1957年度において不正常授業解消のため142,000教室が必要とされ,その不足率は11%に達している。また,西ドイツでは1957年度において不正常授業解消と,学級規模の切り下げのために46,000教室が必要とされており,その不足率は22%に及び,フランスでは1956年度において,生徒の増加,校舎の老朽などのために26,000教室が不足しており,その不足率は13%に達している。

 このように各国とも校舎不足に悩んでおり,それぞれ大規模な学校建築が行なわれつつあるが,この際注意すべきことは,この不足を規定する基準がまちまちであり,また不足度に対する観点が各国によって異なるということである。

 わが国においては教育上最小限度必要な基準である最低基準と教育上望ましい適正基準とが定められているが,国庫補助の基準としてはさらに低い暫定最低基準が用いられており,これによれば,1人あたりの面積基準は校舎全体では小学校3.0m2 (屋内運動場を含むと・3.5m2 ),中学校3.6m2 (屋内運動場を含むと4.2m2 が標準となっている。詳細に示すと以下のとおりである。

第30表 学校施設の暫定最低基準

 アメリカ合衆国では全国的な建築基準はないが,基準を設けている州の1937年の小学校教室の1人あたり面積基準は,1.4m2 (7州),1.5m2 (6州),1.7m2 (3州)となっている。また全国学校建築審議会では1937年に小学校教室は児童1人あたり1.7m2 〜2.0m2 が必要であると勧告しているが,1953年度には児童1人あたり3.0m2 にするよう宿勧告して基準の引き上げが図られている。イギリスの児童1人あたりの教室(一般教室と特別、教室を含む)の面積基準は,小学校1.7m2 〜2.3m2 ,中等学校3.6m2 〜4.1m2 で,ソ連においては,学校全体の建物面積で算出しており,生徒数880人の初等・中等学校では生徒1人あたり3.9m2 ,400人の学校では3.7m2 となっている。

 各国とも校舎の不足に対処するための大きな努力が続けられているが,わが国においてもさきに見た校舎不足の実情に対して,暫定最低基準にまで達することを目標として「公立文教施設5か年計画」が立てられ,昭和34年度から実施にうつされている。

 この計画は小・中学校の校舎・屋内運動場の整備,危険校舎の改築,特殊教育・幼稚園・高等学校の施設の整備,学校統合の計画などを含んだものであるが,以下,小・中学杖のすし詰め学級の解消について説明することとする。

第15図 校舎整営針画と不足面積

 小・中学校の児童生徒数は今後はげしい推移を示し,小学校では今後減少の方向に向かうが,中学校では昭和35年度から急激に増加し,昭和37年度に頂点に達し,その後減少の傾向に向かう。校舎の不足面積もこれによって増減するので,計画はこの推移に即して定められており,これを図示すれば前頁の 第15図 のようになる。

 中学校校舎については,生徒数の一時的増加がはげしいので,昭和37年度(生徒数の最も増加する時)に必要な普通教室だけを整備する。昭和38年度以降には生徒数が減少するから最も増加した年度に整備された普通教室は特別教室に転用され,計画実現後はすし詰め教室は解消する。

 この計画は,5か年間に約3,300,000m2 (1,000,000m2 )の小・中学校校舎を整備することを目標としており,約415億円が必要とされている。なお新築の50%は鉄筋・鉄骨造とするよう計画されている。

 この文教施設5か年計画は前述の学級編制の改善とあいまってすし詰め学級を解消し,近い将来にはわが国の施設の水準を高めることになるが,さらに一歩進んで基準の引き上げ゛を、考えることが必要である。


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