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第2章
教育内容の水準
2 学力の水準
(1) 全国学力調査にあらわれた学力水準


 この調査は,昭和31年以来3年間で,ほぼ全教科にわたって実施したのである。この調査によってはじめてわが国の全国的規模における学力水準が明らかとなった。


a 期待度との関係においてみた全国平均成績

 この学力テストは,学習指導要領に基礎を置いて児童生徒が当然到達しているべき水準をあらかじめ想定し,それに基づいて問題が作成されている。このあらかじめ想定された学力の水準すなわち期待度については数学がやや低い程度をねらったのを除いて,その他の教科はおおむね平均50点を期待したが,これに対して,その到達度を示す全国平均点は,次のようである。

 小・中・高各学校を通じて,全体として期待に近い成績を示している。

第19表 教科別にみた全国平均点

教科別では,数学は期待度より低い成績があらわれている。社会科はだいたい期待どおりの成果をおさめ,理科も小・中学校の場合は期待どおりであったが,高等学校は,物理・化学・生物・地学のいずれの科目も期待水準に達していない。英語については,中学校がやや低い。音楽・図工・家庭・職業家庭はいずれも期待水準またはそれ以上の成績を示しているが,高等学校の保健体育は期待以下の成績である。


b 教科の領域別にみた学力水準

 学力水準を,国語・数学・社会・理科・英語の5教科(科目)について,教科内の各領域別に検討する。

国語・・・・1)漢字を書く能力は学年が進むにつれて順調に伸びているが,むずかしい漢字についてはふじゅうぶんである。

2)文を読む能力,特に要点・文脈をつかむ力が非常に低い。

3)小・中学校の文法についての力はかなりある。

4)高等学校の古文・漢文の読解力はきわめて低い。

なおこの調査の結果からみると,新聞が読めるといえるのは,全日制高等学校卒業者程度であるということになる。

数学・・・・1)形式的な計算問題はかなりの程度に達している。

2)基礎的な数概念は普通である。

3)法則を活用する応用問題のできはよくない。

 調査の結果は形式的なものに比べて総合的判断を要するものがよくないこと,抽象的なものと具体的なものとが一体となって理解されていないことを示している。これは基礎的なことがじゅうぶんに習熟されていないためと思われる。

社会科・・・1)個別的な知識はかなりもっているが,総合的に理解したり,グラフや表を用いて具体的事実を解明する力がふじゅうぶんである。

2)地理的理解はある程度に達しているが,歴史的にものを理解する力はやや劣っている。

3)経済的事象についての知識・理解がふじゅうぶんである。

理科・・・・1)自然現象や自然法則等に関する知識も簡単な実験,観察の技能につい又も期待どおりの結果である。

2)これらの知識を組み合わせて,論理的に考える能力は劣っている。

3)一般的に,生物・地学に関する知識,理解はある程度できているが,物理の領域はふじゅうぶんである。

英語・・・・1)聞く力は学年が進むにしたがってある程度伸びている。

2)発音に関する知識はあまりよくない。

3)読解力は学年が進むにしたがってよくなっている。

4)文法的な運用能力,文を構成する力はふじゅうぶんである。

 以上のような調査の結果は,学習指導要領改正の基礎となったばかりでなく,各学校において指導上有益な資料として利用されている。


C 学力調査における得点の分布

 以上述べてきたのは,各教科別にみた全国平均の学力水準についてであるが平均がかりに50点であるとしても,その平均点をめぐって各生徒個人の得点は0点から100点まで分布していることを忘れてはならない。

第11図 教科別にみた個人得点の分布


 国語・数学・理科・社会科について小・中学校別に得点の分布を図示すると, 第11図のようである。

 図に見られるように,各教科とも個人差が相当大きく,また,下表の通り得点10点未満の者が相当多数存在すると同時に,90点以上の良い成績をおさめた者も,また相当数いる。

第20表 教科別にみた最高・最低得点取得者の比率

 このような学力における個人差は何によってもたらされるのであろうか。児童・生徒個人の資質などの条件が考慮されるべきであるが,また,学校側の教育的諸条件も関係するであろう。

 各学校の得点平均を算定して,この学校平均点の分布を見れば,個人得点の場合と同じく,やはり相当のひらきが存在する。
d 地域類型別にみた学力水準

 学力水準は,その学校の存在する地域によって,はなはだしく相違する。この地域による相違は,その地域の経済力・文化的条件・家庭階層・その地域社会の教育への関心度などとともに,学校教育上の条件の良否によるものである。

 学校教育上の条件については,学校規模,1学級あたりの生徒数の多少,

教師の配置,有資格教員の充実,学校の施設設備の整備・充実,教育費の多少などの諸点が学力に影響するものと考えられる。

第21表 地域類型別にみた学力水準

 なお,地域類型間の差異は,これら地域の全般的傾向を示すものであって,学力の水準が低い地域にも,優秀な才能をもつ生徒が必ず見いだされ,また,都会地の学力水準は平均して高いにしても,特別の教育を必要とする遅進児などが相当存在していることを付言したい。このことを,小学校の音楽と中学校の英語に例をとってふれば, 第22表第12図のとおりである。

第22表 地域類型別にみた最高・最低得点取得者の比率

第12図 地域類型別にみた中学校英語の個人得点の分布


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