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第1章
教育の普及度
3 義務教育


 文盲率と国民の学歴構成は,主として国民の教育に対するこれまでの努力の成果であって,必ずしも現在における教育の努力と普及度を示すものではない。そこで現在におけるわが国の教育水準の位置を見るために,まず義務教育の年限と就学率について諸外国と比較することにする。

第2表 にあげた30か国のなかで,義務教育年限の最も長いのはイギリスの10年,これに次いでは,日本・アメリカ合衆国(大半の州)・イスラエルの3か国の9年である。ヨーロッパでは8年の国が多く,アジア・アフリカ諸国では,4年ないし6年であるが,就学義務制度を全国一律に実施するに至っていない国が多い。

 なお,最近の傾向についていえば,義務教育の年限の延長を計画してい

る国が少なくない。たとえば,フランスでは1959年の新学期入学者から10年の義務制が適用されることとなったし,西ドイツでも将来10年制を実施すべきであるという勧告が1959年にドイツ教育制度委員会から各邦に対してなされている。また,アジアでも,インドにおいては8年の義務制実施に向かっての動きがある。

第2表 各国の義務教育年限

 なお, 第2表 で比較した義務教育年限は全日制課程のそれであって,西ドイツやフランスでは全日制課程の義務教育終了者に対して,さらに18歳まで特定の定時制機関への就学が義務づけられている。また,イギリスでも18歳までの定時制義務教育が近い将来実施に移される予定であることに注目を要する。

 わが国の義務教育就学率は99.8%で,アメリカ合衆国・イギリス・西ドイツ・フランスなど西欧の諸国と同じくほとんど100%に近い就学率を保っている。

第3表 主要国における義務教育の就学率

 次に,就学義務に関連して,学齢児童のうち,盲ろう,精神薄弱など心身の障害をもつこどもに対する特殊教育の普及の程度を比較してみると,わが国は,アメリカ合衆国・イギリス・西ドイツ・ソ連の諸国に比べてかなりたち遅れている。すなわち,特殊教育を受けるべき児童の比率が各国ともほぼ同一であるという仮定のもとに,義務教育児童総数に対する特殊教育機関の就学者数の比率を主要国と比較すると,わが国の特殊教育の普及度は,最も低い。

第4表 主要国における特殊教育機関の在学者数

 義務教育以前の幼児の教育,すなわち,就学前教育の普及状況について

見ると,近年におけるわが国の幼稚園の園児数は戦前に比べ,著しく増加してきている。

第3図 幼稚園在籍者数の推移 昭和9年〜11年平均=100

 しかし,アメリカ合衆国・フランス・西ドイツなどの諸国に比べれば,就学前教育の普及度はなおかなり遅れている。わが国においては5歳の幼児のうち幼稚園に籍を置く者は26%であるが,このほかに保育所に籍を置く者が12%あり,両者を合わせれば38%である。これに対し,アメリカ合衆国では5歳の幼児の58%が幼稚園に通っている。

 西ドイツ,フランスについては,年齢別の在籍者数は不明であるが,5歳の幼児の幼稚園在籍率はかなり高いものと見られる。

 なお,イギリスの場合には,5歳の幼児の就学前教育機関在籍率を示していないが,これはイギリスでは義務教育が5歳から始まるためである。

第5表 主要国における就学前教育機関在籍者の比率

 わが国では同じ年齢の幼児が幼稚園または保育所に籍を置いているが,多くの国では,保育学校または保育所を終えた者のために幼稚園がある。

 なお,わが国の幼稚園は私立機関の占める比重が大きく,園児総数の70%近くは私立幼稚園に通っている。一方,欧米各国における私立の園児数の比率を見ると,アメリカ合衆国は18.1%,イギリスは4.5%,フランスは17%で,私立機関の占める比重が小さく,幼稚園教育は公立学校制度の一環として発達していることが特色である。


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