第10章 国際交流・協力の充実

総論

 社会や経済のグローバル化が進み,国際社会及び我が国を取り巻く環境が大きく変化する中,我が国が今後も健全に成長し魅力ある国であるためには,諸外国との交流や協力を一層充実させていくことが重要です。
 このため,文部科学省は,国際社会で活躍できる人材の育成や,海外の優秀な学生及び研究者の戦略的な受入れによる双方向の人的交流を継続的に推進しています。また,政府が掲げる地球儀を俯瞰(ふかん)する外交の動向も踏まえ,文部科学大臣による国際会議出席や各国・地域の要人等との会談等を通じ,教育,科学技術,スポーツ,文化の各分野において,相手国・地域のニーズ等を踏まえた国際協力の取組を強化しています(図表2-10-1)。さらに,経済協力開発機構(OECD)や国連大学等の国際機関等とも協力しつつ様々な取組を行っているほか,近年,諸外国から高い関心が示されている日本型教育の海外展開を官民一体となって推進しています。
 世界の国々と共に教育の質の向上に取り組んでいくため,諸外国政府や国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)等の国際機関と連携し,持続可能な開発のための教育(ESD)の推進をはじめとした様々な取組も実施しています。
 加えて,2015(平成27)年に国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向け,我が国においては,SDGsの取組において世界をリードするよう緊密に連携し政府一丸で取り組むべく,28年5月に安倍晋三内閣総理大臣を本部長とするSDGs推進本部が設置されました。文部科学省は,関係省庁と連携してSDGsの達成を目指す取組を実施しています。
 これらの取組を通じて,文部科学省は,国際交流・協力の一層の充実を戦略的に進めています。

 図表2-10-1 平成30年度文部科学大臣出張先

第1節 教育・スポーツ・文化分野における国際交流・協力

1 外国人材の受入れ・共生のための施策の推進

 人材確保が困難な産業分野において技能を有する外国人の受入れ等を図るため,改正出入国管理及び難民認定法が成立し,それに基づく政府方針や新たな在留資格の創設等を踏まえ,政府の「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」において,平成30年12月に「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」が決定されました。
 この総合的対応策において,文部科学省は,生活者としての外国人に対する日本語教育としては,外国人に日本語の学習機会が行き渡ることを目指した地域における日本語教育の総合的体制づくりへの支援や,日本語教室空白地域の解消支援等を行っていきます。また,外国人児童生徒等の教育としては,日本語指導に必要な教員定数の義務標準法の規定に基づいた改善の着実な推進や,日本語指導等に係るきめ細かな支援の実施等を進めていきます。さらに,大学,専門学校等の留学生の就職支援にも取り組むとともに,留学生が学業に専念し,高度な専門性・技術や日本語能力を身に付けて適正に課程を修了することができるよう,関係機関と情報共有を図りつつ,各大学,高等専門学校等に対し,留学生の適切な受入れ及び在籍管理の徹底を求めています。これらの取組を通して,文部科学省は,共生社会の実現を図っていくこととしています。

2 留学生交流の推進

(1)外国人留学生受入れの現状と施策

1.留学生受入れの現状

 グローバル化が加速する国際社会の中で,我が国の大学等の国際化の推進や世界で活躍する人材の育成を図るため,平成20年7月に留学生受入れの拡大のための方策をまとめた「留学生30万人計画」骨子が策定されました。これに基づき,留学の動機付けから大学等や社会での受入れ,就職等卒業・修了後の進路に至るまで,体系的に関係府省等で連携して留学生の受入れを推進しています。
 平成30年5月1日現在,我が国の大学等で学ぶ留学生の数は29万8,980人となっており,全体として増加傾向となっています(図表2-10-2,図表2-10-3)。
 政府の方針としては,「日本再興戦略―JAPAN is BACK―」及び「第3期教育振興基本計画」では,2020(令和2)年までに留学生の受入れ30万人(「留学生30万人計画」)の実現を目指すとともに,より戦略的な留学生の受入れを推進することとしています。さらに,「日本再興戦略2016」(平成28年6月2日閣議決定)では,外国人留学生の日本国内での就職率を現状の3割から5割に向上させることを目指すこととしています。

 図表2-10-2 外国人留学生数の推移

2.世界の成長を取り込むための外国人留学生の受入れ戦略

 世界的な留学生獲得競争が加速化する中,教育研究の向上や国家間の友好関係の強化に継続して取り組むことに加え,諸外国の成長を我が国に取り込み,我が国の更なる発展を図る必要があります。このため,文部科学省は平成25年12月に「世界の成長を取り込むための外国人留学生の受入れ戦略」を取りまとめ,留学生の受入れに係る重点地域や重点分野等を設定しました。

3.留学情報提供体制の整備

 留学生の受入れを促進するため,日本学生支援機構は,海外において日本の大学等の参加を得て「日本留学フェア」を実施し,現地の学生や進学指導担当者等に対して日本への留学に関する情報の提供を行っています。平成30年度は,台湾,ベトナム等10か国・地域の17都市で開催しました。また,関係機関との連携により日本留学希望者向けの日本留学情報サイト(※1)を構築し,情報提供を充実させています。

4.日本留学のプラットフォームの構築

 海外の重点地域において,現地の政府機関や教育機関とのネットワーク構築,留学情報の収集・提供等を実施する日本留学のプラットフォーム(拠点)を構築するため,「留学コーディネーター配置事業」を実施しています。平成26年度からミャンマー,アフリカ(サブサハラ),インドの3拠点に,27年度からはブラジルの1拠点に留学コーディネーターを配置しています。30年度からは事業拡充に伴い名称を「日本留学海外拠点連携推進事業」に変更し,ロシア,中東・北アフリカにも拠点を整備しました。

 図表2-10-3 出身国・地域別外国人留学生数(上位10か国・地域)(2018(平成30)年5月1日現在)

5.日本留学試験の実施

 我が国の大学への留学希望者の入学選抜については,受験のために渡日する必要があるなど,欧米諸国の大学への留学に比べて手続が煩雑で,留学希望者にとって負担が大きいと指摘されてきました。このため,文部科学省は,日本学生支援機構と協力して,海外でも広く実施され,渡日前に入学許可を得ることができる,留学希望者が利用しやすい試験として「日本留学試験」を実施しています。
 本試験は年2回(6月と11月),国内では16都道府県で,海外ではアジア地域を中心に18都市で実施しています。平成30年度の受験者数の合計は,国内4万4,806人,海外1万1,818人の計5万6,624人でした。また,本試験を留学生の入学選抜に利用した大学等は820校,そのうち,本試験を利用した渡日前入学許可制度を導入している大学等は179校となっています。

6.留学生に対する支援処置

(ア)国費外国人留学生等の受入れ
 国費外国人留学生制度は,文部省(当時)により,諸外国の次代を担う優れた若者を我が国の高等教育機関に招へいし,教育・研究を行わせる制度として昭和29年に創設されました。現在,研究留学生(大学院レベル)や学部留学生など7種類のプログラムを実施しています。これまでに約160か国・地域から10万人を超える国費外国人留学生を受け入れており,平成30年度は,9,423人の国費外国人留学生を受け入れています(30年5月1日現在)。なお,台湾については上記に準じる支援を,公益財団法人日本台湾交流協会を通じて実施しています。

(イ)その他の留学生への援助
 日本学生支援機構は,優秀な外国人留学生の戦略的な受入れを促進するため,我が国の大学(大学院を含む),短期大学,高等専門学校,専修学校(専門課程),我が国の大学に入学するための準備教育を実施する教育施設及び法務大臣が告示をもって定める日本語教育機関に在籍する私費外国人留学生で,学業,人物ともに優れ,かつ,経済的理由により修学が困難である者に対して奨学金を給付しています。

(ウ)留学生の就職支援
 「日本再興戦略改訂2016」は,外国人留学生の日本国内での就職率を現状の3割から5割に向上させることを目指すこととしています。文部科学省は,各大学が地域の地方公共団体や産業界と連携し,就職に必要なスキルである「ビジネス日本語能力」「キャリア教育」「中長期インターンシップ」を一体として学ぶ環境を創設する取組を支援する委託事業「留学生就職促進プログラム」を平成29年度から12機関で実施しています。このほか,日本学生支援機構は,日本企業に就職を希望する留学生の就職・採用活動について有益な情報を提供するとともに,学校側・企業側が情報交換を行う「全国キャリア・就職ガイダンス」を実施しています。

7.留学生のための教育プログラムの充実

 我が国への留学形態が多様化する中,各大学は,留学生の需要に応じた魅力ある教育プログラムの充実に取り組んでいます。このような大学の取組を推進するため,文部科学省では,「国費外国人留学生の優先配置を行う特別プログラム」を選定し,国際的に魅力ある留学生受入れプログラムを実施する大学から,当該プログラムにより受け入れる留学生の一部を国費外国人留学生として優先的に採用しています。

8.地域における留学生支援

 留学生と地域住民との交流,留学生に対する奨学金や宿舎の提供等を積極的に推進するため,各都道府県では,大学,地方公共団体,経済団体,民間団体等によって構成される地域留学生交流推進会議が開催されています。

9.帰国留学生に対する援助

 帰国留学生が留学の成果を更に高め,母国において活躍できるように,日本学生支援機構は「短期研究のための帰国留学生招へい事業」の実施や研究支援のための指導教員の派遣等の援助を行っています。また「Japan Alumni eNews」(日本留学ネットワークマガジン)を発行し,帰国外国人留学生等に対し必要な情報を提供しています。


  • ※1 参照:https://www.studyinjapan.go.jp/ja/

(2)日本人学生等の海外留学の現状と施策

1.海外留学の現状

 OECD,ユネスコ,米国国際教育研究所(IIE)等の統計による日本人の海外留学者数(原則として,交換留学等の短期留学は含まない)を集計したところ,平成28年に海外に留学した日本人学生等は5万5,969人でした。一方,日本学生支援機構の調べによると,大学等が把握している日本人学生の海外留学状況については,短期の留学を中心に留学生数が増加しており,29年度は前年比8,448人増の10万5,301人でした(図表2-10-4,図表2-10-5,図表2-10-6)。

 図表2-10-4 日本人の海外留学の状況

 社会や経済のグローバル化が進む中,世界で活躍することができる人材の育成が急務となっています。「日本再興戦略―JAPAN is BACK―」では,海外留学する日本人学生等を2020(令和2)年までに6万人から12万人へ倍増させることとしています。文部科学省は,この目標の達成に向けて,日本人学生等の海外留学を促進しています。

2.海外留学に関する施策

 文部科学省は,日本人学生等の海外留学支援として,国費による海外派遣制度を設けています。平成21年度からは,日本人の学生などを最先端の教育研究活動を行っている海外の大学院に派遣し学位を取得させることにより,我が国のグローバル化や国際競争力の強化を促進する「海外留学支援制度(大学院学位取得型)」を開始しており,また29年度から海外の学部に派遣する「海外留学支援制度(学部学位取得型)」を実施しています。
 また,大学間交流の活性化や大学の国際化等に資する短期留学を推進するために,日本学生支援機構の奨学金制度として,平成21年度から「海外留学支援制度(協定受入型)」及び「海外留学支援制度(協定派遣型)」を設けています。この奨学金により,大学間交流協定等に基づき諸外国の大学から我が国の大学に受け入れる外国人留学生や諸外国の大学へ派遣される日本人学生を支援しています。
 さらに,文部科学省は,外国政府等の奨学金により留学する日本人学生の募集・選考に協力しています。
 海外留学の大半を占める私費留学については,日本学生支援機構を通じて,留学情報の収集・提供を行っています。また,平成30年度は,4都道府県において「海外留学説明会」を開催するとともに東京都において「海外留学フェア」を開催するなどし,留学希望者に対し必要な情報を提供しています。

 図表2-10-5 日本人留学生数(上位10か国・地域)(2016(平成28)年)

 図表2-10-6 大学等が把握している日本人学生の留学状況

3.官民協働海外留学支援制度「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」

 平成26年度から,官民が協力した新たな仕組みとして,民間の協力を得た海外留学支援制度「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」を開始し,海外留学に係る経済的負担の軽減を図るなど,社会全体で若者の海外留学を促進しています。
 「日本代表プログラム」では,平成26年度の第1期派遣留学生から30年度の第10期派遣留学生までに4,572人(うち,地域人材コース461人)を採用しました。採用された学生は順次海外留学を開始しています。
 また,平成27年度からは高校生を対象とした高校生コースと,地域の活性化に貢献し,地域に定着するグローバル人材の育成を目的とした地域人材コースを開始しました。高校生コースでは27年度の第1期派遣留学生303人,28年度の第2期派遣留学生511人,29年度の第3期派遣留学生501人に引き続き,30年度の第4期派遣留学生として535人を採用しました。また,地域人材コースとして3名の高校生を採用しました。採用された高校生は,順次海外留学を開始しています。地域人材コースでは,27年度地域事業として11地域,28年度地域事業として4地域,29年度地域事業として5地域,そして30年度地域事業として3地域を採択しました。

(3)高校生交流の現状と施策(※2)


  • ※2 参照:第2部第4章第4節3

3 教員・青少年などの国際交流

(1)教員等の国際交流

 文部科学省は,毎年中国と韓国に教職員を派遣(約75名)するとともに,これらの国から教職員を我が国に招へい(約150名)しています。また,タイ(平成27年度~)及びインド(28年度)からも教職員を招へい(約15名)しているほか,30年度からはタイへの我が国教職員の派遣を開始(5名,いずれも30年度実績)しております。この事業では,教育制度や教育事情,生活,文化等についての幅広い相互理解と友好親善を深める機会を提供するとともに,教職員同士の交流や家庭訪問も実施しています。
 日本とアメリカとの間では,「日米教育交流計画」(フルブライト計画(※3))によって日米の研究者・大学院生・ジャーナリスト等の交流が行われています。また,文部科学省は,平成21年度から持続可能な開発のための教育(ESD)を共通のテーマとして日米の初等中等教育教員が相互交流,意見交換,共同研究などを行うことにより,日米の教育交流及びESDの促進を図ることを目的とする「ESD日米教員交流プログラム」を実施しています。30年度には日米から計20名の教員がこのプログラムに参加しました。


  • ※3 昭和26年に発足した日米間の交流計画で,日米両国の政府が経費を分担して運営し,日米教育委員会が実施している。

(2)青少年の国際交流

 グローバル化が進展する中,青少年自らが国際社会の一員であることを自覚し,異なる文化や歴史に立脚する人々と共生していくことが必要です。このため,文部科学省は,次代を担う青少年等の海外派遣及び日本受入れを行う「青少年国際交流推進事業」や文化の異なる複数の国から青少年を招へいし,一定期間宿泊を伴う英語による共同生活を体験する「地域における青少年の国際交流推進事業」などを実施しています。
 また,国立青少年教育振興機構は,青少年を対象とした独自の国際交流事業を実施しています(※4)。


  • ※4 参照:第2部第3章第4節2(2)1

4 スポーツ・文化を通じた国際交流・協力の推進

(1)スポーツを通じた国際交流・協力の推進

 スポーツを通じた国際交流は,国際相互理解を促進し,国際平和に大きく貢献するなど,我が国の国際的地位の向上を図る上でも極めて重要です。このため,スポーツ庁は,公益財団法人日本スポーツ協会が行うアジア地区とのスポーツ交流事業や公益財団法人日本オリンピック委員会が行う国際競技力向上のためのスポーツ交流事業等に対して支援を行っています。

(2)文化を通じた国際交流・協力の推進

 文化庁は,伝統文化から現代のメディア芸術まで,我が国の多彩な文化を積極的に海外に発信しています。また,文化芸術や文化財等の各分野における国際文化交流・協力を推進することにより,文化芸術水準の向上を図るとともに,我が国に対するイメージの向上や諸外国との相互理解の促進に努めています。
 例えば,文化庁は,芸術家・文化人などを諸外国に派遣する「文化交流使」事業や芸術家,文化人,専門家の派遣・招へい等の各種の人物交流事業を実施しています。また,日本映画の海外映画祭への出品に対する支援等,文化芸術に係る国際的な催しの開催・参加を支援しているほか,日本における国際文化交流の祭典の実施を推進していきます。さらに,人類共通の遺産である世界の文化遺産を保護するため,文化遺産保護国際貢献事業等の国際協力事業を推進しています(※5)。


  • ※5 参照:第2 部第 9 章第11節

5 国際機関等の国際的枠組みにおける取組

(1)G20・EU

 2018(平成30)年9月5~6日にかけて,メンドーサ(アルゼンチン)において「G20教育大臣会合」及び「G20教育大臣・労働雇用大臣合同会合」が開催されました。両大臣会合は,G20の枠組みにおいて初めて開催されたもので,2018年G20議長国であるアルゼンチンのほか,G20各国の教育大臣及び労働雇用大臣,またUNESCOやOECDをはじめとした多くの国際機関が出席し,日本からは林芳正文部科学大臣(当時)及び牧原秀樹厚生労働副大臣(当時)が出席しました。
 教育大臣会合では,新たな時代に対応したカリキュラムや教員の資質向上,教育分野における国際協働等について議論が行われました。林大臣(当時)からは,現在我が国が取り組む教育改革の取組を紹介するとともに,G20各国が共通して直面する教育課題の解決に向けて,各国の優良事例の共有や国際的な教育対話の重要性を強調しました。
 教育大臣・労働雇用大臣合同会合では,教育と雇用との接続の重要性や,教育と雇用に関わる多様な関係者が一体となって課題解決に取り組むことの重要性が認識されました。
 これらの大臣会合においては,「教育大臣宣言」及び「教育大臣・労働雇用大臣合同宣言」がそれぞれ採択され,この成果をG20首脳会談に提出することで合意しました。
 また,2018(平成30)年7月6日,文部科学省と欧州委員会教育文化総局との間で第1回日EU教育・文化・スポーツ政策対話を開催しました。政策対話は第一部が次官級政策対話,第二部が大臣級政策対話として開催され,教育,文化及びスポーツ分野の政策に関する情報交換が行われるとともに,日本とEUとの間の協力と交流を更に促進するため,日EU共同修士課程プログラム等を2019(令和元)年から開始することに合意しました。

(2)経済協力開発機構(OECD)

 OECDは,36か国が加盟し,様々な分野における政策調整・協力,意見交換などを行っています。教育分野では,各国における教育改革推進や施策の充実に寄与することを目的として,教育統計や指標の開発と分析,「生徒の学習到達度調査」(PISA),成人が社会で必要とする総合的な力を測る「国際成人力調査」(PIAAC),「国際教員指導環境調査」(TALIS)などの事業を実施しています。これらの事業には我が国も参加・協力しています。
 2018(平成30)年度には,PISA2018及びTALIS2018の調査が実施され,2019(令和元)年度にはその結果が公表される予定です。
 2018(平成30)年度には,約10年ぶりにOECDによる日本の教育政策に対するレビューが実施されたことを受け,「OECDからみる日本の教育政策」をテーマに,文部科学省とOECDの共催により,第20回OECD/Japanセミナーを東京で開催しました。
 また,OECDでは,2030(令和12)年の時代に必要となる主要な資質・能力を策定し,新たな教育モデルの開発を目指す「Education2030」事業を推進しています。文部科学省は,本事業の運営主体である非公式作業部会への出席や共同研究等を通じて積極的に参画しています。

 第20回OECD/Japanセミナー
 第20回OECD/Japanセミナー

(3)ASEAN

 東南アジア10か国から成る共同体である東南アジア諸国連合(ASEAN)に対しても,文部科学省は日ASEANおよびASEAN+3(日本・中国・韓国)等の枠組みを通じて協力関係の強化に努めています。平成30年にはミャンマーにおいて第4回ASEAN+3教育大臣会合等が開催され,日本が主導する「ASEAN+3高等教育の流動性・質保証に関するワーキンググループ」(※6)の成果物が採択されたほか,ASEAN+3教育協力の基本指針である「ASEAN+3行動計画2018-2025」の策定を進め,域内協力を一層強化することで合意しました。


  • ※6 参照:第2部第5章第4節2

(4)アジア・太平洋経済協力(APEC)

 アジア・太平洋経済協力(APEC)は,アジア太平洋地域の21か国・地域が参加する経済協力の枠組みです。貿易・投資の自由化などの経済問題とともに,教育を含む人材養成の分野にも積極的に取り組んでいます。こうした取組の一つとして,タイとの共同事業として,デジタル社会における算数・数学教育のカリキュラムに関する研究を行い,APEC域内への普及を図っています。
 また,2016年の第6回APEC教育大臣会合では「APEC教育戦略」が採択され,その翌年の2017年に「APEC教育戦略行動計画」が策定されたことを受け,2018年から本行動計画の進捗状況を報告する事業に協力しています。

(5)国連大学

 国連大学は,我が国に本部を置く唯一の国連機関です。国内には本部とともに「サステイナビリティ高等研究所」が置かれています。国連大学は,気候変動,生物多様性,貧困削減等の国連における重要課題に係る広範な地球規模課題の解決に向けた研究活動を行うほか,大学院プログラムを開設して学生を受け入れています。国連大学大学院プログラムが授与する学位は,我が国の国内法上も学位として認定されています。文部科学省は,国連大学本部施設の提供や事業費を毎年拠出し,国連大学の活動に支援・協力を行っています。

(6)世界知的所有権機関(WIPO)

 世界知的所有権機関(WIPO(※7))は,知的財産権の国際的保護の促進などを目的として1970(昭和45)年に設立された国連の専門機関です。WIPOは,国際条約の作成・管理を行うとともに,各国の法令整備の支援や開発途上国に対する法律・技術上の援助,情報の収集・提供などを行っています。
 日本は,WIPOにおける新条約策定の議論等に積極的に参画しているほか,WIPOに対して毎年信託基金を拠出し,アジア・太平洋地域の各国の著作権法制度の整備や普及・啓発を促進しています。また,WIPOに職員を派遣し,協力・連携して事業を実施しています。平成30年度は,アジア・太平洋地域の途上国の著作権担当職員等を対象とした訪日研修のほかソロモン諸島・ラオス及びミャンマーにおける著作権制度に関するセミナー等を実施しました。


  • ※7 参照:第2 部第 9 章第14節5(2)2

6 国際教育協力・国際協働の推進

(1)日本型教育の海外展開

 戦後の復興から経済成長を遂げ,大震災などの困難も乗り越え,成熟した先進国の地位を維持している日本を支える我が国の人づくりや教育の制度に対し,新興国をはじめ諸外国からの関心が高まっています。
 知・徳・体のバランスのとれた力を育むことを目指す初等中等教育や,中学校卒業後の早い年齢から,5年一貫の専門的・実践的な技術者教育を特徴とする高等専門学校制度など,我が国の教育制度を取り入れたいとのニーズが多く寄せられています。
 こうした状況を踏まえ,文部科学省は,日本型教育の海外展開に関し,外務省や経済産業省,国際協力機構(JICA),日本貿易振興機構(JETRO),民間教育産業等と協力する場(プラットフォーム)の構築や企業や大学等が行う海外展開事業を支援する「日本型教育の海外展開官民協働プラットフォーム事業(EDU-Portニッポン)」を平成28年度から実施しています。
 平成30年度は,重点的に海外展開を行う対象地域を中東・中南米・アフリカに拡大したことに伴い,中東とアフリカを対象に地域別分科会を実施し,地域別のニーズの明確化,機関・企業間の連携の機会の提供等を行いました。また,ICT教育や職業教育等の特定のトピックに関するセミナーを実施し,海外展開をしている事業者やJICAによる事例紹介等を行いました。さらに,アラブ首長国連邦で開催された教育見本市「GESS ドバイ」に文部科学省ブースを出展し,日本型教育をPRする機会を設けました。
 本事業を通じて官民が連携して諸外国との教育協力の案件形成を行い,海外展開モデルケースの形成や,国内の教育環境・基盤の整備,諸外国との教育に係る人材交流を強化することで,日本型教育の海外展開と我が国の教育の国際化の推進を目指しています。

 平成30年度EDU-Port公認プロジェクト「小学生向けデジタル算数教材の海外展開事業」(写真提供:株式会社すららネット)
 平成30年度EDU-Port公認プロジェクト「小学生向けデジタル算数教材の海外展開事業」(写真提供:株式会社すららネット)

(2)海外の高等教育機関新設に関する協力

 近年,開発途上国では,高い技術力を持った人材の育成は,産業の振興をもたらし,ひいては国の発展につながるという意識が高まっています。特に,実験・研究活動を重視し実践的な少人数教育を行う日本型工学教育は高く評価されています。また文部科学省は,国際協力機構(JICA)が我が国の大学等の協力を得て,高等教育機関の能力を強化する事業を実施する場合に,これらの事業を支援してきました。
 こうしたことを背景に,様々な国々から日本の協力を得て自国に工学系の高等教育機関を設置したいという要望が寄せられています。
 平成22年2月には,「エジプト日本科学技術大学」(E-JUST)が,23年9月には「マレーシア日本国際工科院」(MJIIT)が,また,28年9月にはベトナムに「日越大学」が開設されました。

(3)東南アジア教育大臣機構(SEAMEO)との連携強化

 文部科学省は,ASEAN諸国及び東ティモールの11か国等から成る東南アジア教育大臣機構(SEAMEO)に対して,平成30年度は同機構の5センターが実施する教員研修等に講師として6名の専門家を派遣するなど連携強化を図っています。
 また,東南アジア教育大臣機構・高等教育開発センター(SEAMEO-RIHED)のAIMS(ASEAN International Mobility of Students:ASEAN統合に向けて政府主導で実施している学生交流プログラム)にも参加しています。このプログラムを通じて,日本の11大学と東南アジアの延べ66大学が協力する7つのプログラムが,2013(平成25)年度から2017(平成29)年度に実施された文部科学省の「大学の世界展開力強化事業」によって支援され,現在も各大学における取組が継続されています。
 さらに,SEAMEO加盟国内における持続可能な開発のための教育(ESD)を促進するため,ESDに関する顕著な取組を行っている東南アジアの小・中・高等学校を顕彰する「SEAMEO-Japan ESD Award」を実施しています。平成23年度から29年度まで,東南アジアの10か国延べ539校から応募がありました。

(4)現職教員による日本の教育経験を生かした協力の促進

 現職教員の国際協力への参加促進を目的として,平成13年度にJICA海外協力隊「現職教員特別参加制度」が創設され,20年度には,同制度が「日系社会青年ボランティア」にも拡大されました。過去17年間で1,300名を超える国公私立学校の現職教員が世界各地の開発途上国等に派遣され,現地で活躍してきました。
 子供に密着した実践的な能力や経験を身に付けた日本の現職教員は,教育経験を生かした国際教育協力を進めていく上で貴重な人材になります。現職教員には,開発途上国等における厳しい環境の下で国際教育協力に従事することにより,問題への対処能力や指導力などの資質能力の一層の向上や,帰国後,国際理解教育の実践などを通じて,日本の教育現場に現職教員自身の貴重な経験を還元することなども期待されます。

(5)新時代の教育のための国際協働

 平成28年5月開催のG7倉敷教育大臣会合で合意された「倉敷宣言」では,G7各国間での教育に関する理念・課題の共有や国際協働の重要性が確認されました。
 文部科学省は,平成29年度から「新時代の教育のための国際協働プログラム」を実施しています。本プログラムでは教員交流等により,G7各国の豊かな経験を相互に学び合い,教育分野における各国間の関係強化を図り,多様化する教育課題に対する教育実践の改善に取り組んでいます。

第2節 科学技術外交の推進

1 科学技術外交の意義

 近年のグローバル化の進行や,中国やインド・ASEAN等の新興国の台頭による世界の多極化,環境・エネルギー,食料,水,防災,感染症などの地球規模課題の顕在化など,世界を取り巻く諸情勢は大きく変動しています。また,世界的な頭脳循環が加速し,国際的な頭脳獲得競争がますます激しくなっています。こうした状況において,我が国は国際的な協調の下で,より一層科学技術の推進によって諸問題を解決し,新しい知の創出を図るとともに,世界における我が国の国際的存在感を高めることが求められています。
 先進国との国際科学技術協力においては,我が国の科学技術水準の向上に資するとともに,地球規模課題の解決につながる技術の開発等によって,我が国の持続的な成長・発展を促すことが期待されています。また,新興国や開発途上国との協力においては,今後著しい発展が見込まれるインド等アジア諸国との協力の強化を科学技術面で先導するとともに,各国で顕在化している地球規模課題の解決や相手国の人材育成,相手国・我が国の科学技術の発展による緊密な科学技術コミュニティの構築が期待されています。

2 科学技術外交を推進するための重層的な国の取組

(1)分野や相手国に応じた多様で重層的な科学技術協力

 我が国は,現在,世界47か国・機関と科学技術協力協定等を結んでいます。これらの国・機関とは,合同委員会の開催等を通じて互いの協力を深めています。文部科学省では,先進国から開発途上国までの多層的な国際ネットワークを発展させていくため,相手国・機関の特性や分野の特性に応じて多様で重層的な協力を推進しています。

1.二国間・多国間の科学技術・学術協力

 欧米を中心とした先進国や成長著しい新興国との幅広い科学技術協力を進めることによって,科学技術イノベーションの創出に貢献することが求められています。我が国では,二国間及び多国間の科学技術・学術協力を進めています。

(ア)二国間の科学技術・学術協力

 科学技術振興機構(JST)及び日本医療研究開発機構(AMED)では,イコールパートナーシップ(対等な協力関係)の下で,戦略的に重要なものとして国が設定した協力対象国・地域及び研究分野における国際共同研究を支援する「戦略的国際共同研究プログラム(SICORP)」を実施しています。JSTでは平成27年度から,SICORPの「国際共同研究拠点」事業を開始しました。ASEANとの間では,環境・エネルギー,生物資源・生物多様性,防災分野で,インドとの間では,ICT分野で,我が国の「顔の見える」持続的な研究協力を進めています。また,AMEDでは,30年度から,スペインと共通の課題であるナノメディシン分野での研究協力を進めています。日本学術振興会(JSPS)では,研究者の自由な発想に基づく共同研究・セミナー及び研究者交流を支援する「二国間交流事業」を実施し,二国間の学術協力を推進しています。

(イ)多国間の科学技術・学術協力

 日本学術振興会(JSPS)では,各国学術振興機関と連携して二国間・多国間の研究者による共同研究を支援する「国際共同研究事業」を実施しています。また,世界的水準の国際研究交流拠点や,アジア・アフリカ地域における諸課題解決に資する中核的な研究交流拠点を構築するため,我が国と世界各国の研究機関との協力関係に基づく共同研究・セミナー等の活動を支援する「研究拠点形成事業」を実施し,多国間における学術協力を推進しています。さらに,2011(平成23)年1月から2014(平成26)年12月まで,科学技術振興機構(JST)は,日本・EU相互の具体的な科学技術政策について情報交換及びネットワークの構築を目指す,EUのFP7(※8)における国際協力プロジェクトであるCONCERT-Japan(※9)に,JSPSと文部科学省と共に参加し,日本を含む3ヶ国以上の多国間共同研究のための公募を実施しました。27年度からは後継となるEIG CONCERT-Japan(※10)をJSTと欧州の複数の機関が設立し,引き続き共同公募による国際協力を実施しています。

(ウ)先進国との多国間の科学技術協力

(1)経済開発協力機構(OECD)
 OECDでは,閣僚理事会,科学技術政策委員会(CSTP),情報・コンピュータ及び通信政策委員会(ICCP),産業・イノベーション・起業委員会(CIIE),農業委員会(AGR),環境政策委員会(EPOC),原子力機関(NEA),国際エネルギー機関(IEA)等を通じて,加盟国間の意見・経験等及び情報の交換,人材の交流,統計資料等の作成をはじめとした科学技術に関する活動が行われています。

(2)ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム(HFSP)における協力
 HFSPは,1987(昭和62)年6月のベネチア・サミットにおいて我が国が提唱した国際的な研究助成プログラムで,生体の持つ複雑な機能の解明のための基礎的な国際協同研究などを推進することを目的としています。日本・オーストラリア・カナダ・EU・フランス・ドイツ・インド・イタリア・韓国・ニュージーランド・ノルウェー・シンガポール・スイス・イギリス・アメリカの計15か国・極で運営されており,我が国は本プログラム創設以来,積極的な支援を行っています。本プログラムでは,国際協同研究チームへの研究費助成,若手研究者が国外で研究を行うための旅費・滞在費等の助成及び受賞者会合の開催等が実施されています。2018(平成30)年度までに本プログラムの研究費助成を受けた者の中から,本庶佑氏(2018年ノーベル生理学・医学賞受賞)を含む28人のノーベル賞受賞者が輩出されるなど,本プログラムは国内外において高く評価されています。

2.アジア諸国との協力

 近年著しい成長を続けるアジア諸国との協力関係を強化するため,以下に挙げる国際的枠組みを通じて協力を進めています。

(ア)e-ASIA共同研究プログラム

 文部科学省では,科学技術振興機構(JST)及び日本医療研究開発機構(AMED)を通じ,アジア地域の研究開発力を強化するとともに,共通課題の解決を目指して3か国以上の多国間共同研究を行う「e-ASIA共同研究プログラム」を実施しています。同プログラムでは,「材料(ナノテクノロジー)」,「農業(食料)」,「代替エネルギー」,「ヘルスリサーチ(感染症,がん)」,「防災」,「環境(気候変動,海洋科学)」,「イノベーションに向けた先端融合」の7分野を対象にしています。

(イ)東南アジア諸国連合(ASEAN)との協力

 東南アジア諸国連合(ASEAN)との科学技術協力は,科学技術委員会(COST)を通じて行っています。現在,ASEANに日本・中国・韓国の3か国を加えたASEAN COST+3による協力が行われており,我が国では文部科学省を中心に対応しています。2015(平成27)年1月には,第8回ASEAN COST+3会合が東京で開催され,ASEANと日中韓の協力に関する意見交換が行われました。また,我が国とASEAN COSTとの間の協力枠組みとして,2009(平成21)年に日ASEAN科学技術協力委員会(AJCCST)が発足し,2018(平成30)年10月に第9回日ASEAN科学技術協力委員会(AJCCST-9)がセブ(フィリピン)で開催されました。AJCCST-9では,SDGs達成に向けて日ASEAN共同研究の成果の社会実装を強化する協力枠組みである「日 ASEAN STI for SDGsブリッジングイニシアティブ」の開始が合意されました。その後,2018(平成30)年11月に第21回日ASEAN首脳会議がシンガポールで開催され,同イニシアティブの下,第1回マルチステークホルダーフォーラムが2019(令和元)年にタイで開催される旨議長声明で言及されました。

(ウ)アジア・太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF)及び「センチネルアジア」プロジェクト

 我が国は,アジア・太平洋地域での宇宙活動,利用に関する情報交換並びに多国間協力推進の場として,1993(平成5)年から毎年1回程度,同地域で最大規模の宇宙協力の枠組みであるアジア・太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF)を主催しています。2018(平成30)年11月にシンガポールで開催した第25回APRSAFは,29か国・地域,9国際機関,民間企業等から約400人の参画を得て,「進化するニーズに応える革新的な宇宙技術」というテーマの下,意見交換を行いました。
 また,2005(平成17)年,第12回APRSAFにおいて,我が国は,宇宙技術(人工衛星による広域の画像取得)を活用したアジア太平洋地域の自然災害管理への貢献を目的とし「センチネルアジア」プロジェクトの立ち上げを提案し,同地域の自然災害による被害の軽減を目指した災害関連情報の共有などを行っています。現在は,宇宙機関だけでなく,防災関係機関と連携した活動とすることで,防災あるいは行政活動に必要な観測情報を防災関係機関へ直接届ける仕組みになっています。具体的な事例としては,2017(平成29)年5月のスリランカ洪水の際,スリランカからの要請に基づき,本枠組みにおいて緊急観測を行い,取得データ及び解析データを提供しました。これらの情報に基づき,スリランカ政府災害管理センター(DMC)と世界食糧計画(WFP)が被害規模の推定を行い,この報告に基づき,支援機関が物資の支援計画を立案するなど,衛星観測による情報が具体的な行政活動に役立てられました。2019(平成31)年2月現在で,同プロジェクトには28か国・地域の92機関及び16国際組織が参画しています。

(エ)アジア原子力協力フォーラム(FNCA)

 内閣府が主導しているFNCAでは原子力研究開発利用を担当する各国の大臣級代表が集まり,FNCAの協力方策や各国の原子力政策について討議を行っています。それらの討議を踏まえ,文部科学省では,アジア諸国との原子力分野の協力を効果的に推進するため,日本の主導の下,放射線利用・研究炉利用等の分野における研究開発・基盤整備等の協力を実施しています。

3.アジア,アフリカ及び中南米等の開発途上国との科学技術協力

 我が国は,「地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)」を通じて,アジア,アフリカ及び中南米等の開発途上国との科学技術協力を進めています。これらの国々のニーズを踏まえ,環境・エネルギー,生物資源,防災,感染症分野における地球規模課題の解決と将来的な社会実装に向けた国際共同研究を推進しています。具体的には,文部科学省・科学技術振興機構(JST)及び日本医療研究開発機構(AMED),外務省・国際協力機構(JICA)が連携して,我が国の先進的な科学技術とODAを組み合わせる形で本プログラムを実施しています。平成20年度から30年度までに,環境・エネルギー,生物資源,防災,感染症分野において,50か国にて133件(地域別ではアジア69件,アフリカ36件等)を採択しています。
 なお,2015(平成27)年5月に東京で開催されたグローバル・リサーチ・カウンシル(GRC)において,安倍内閣総理大臣がアフリカでの「顧みられない熱帯病(NTDs)」に焦点を当てた国際共同研究を新たに開始することを表明したことを踏まえ,日本医療研究開発機構は「アフリカにおける顧みられない熱帯病(NTDs)対策のための国際共同研究」を創設し,4課題が採択され,2018(平成30)年度も引き続き実施しています。

 デング熱を媒介する蚊の生存と行動制御を検証するため,ブルキナファソ村落で蚊をサンプリングする様子NTDs「西アフリカ・ブルキナファソにおけるデング熱媒介蚊制御のための集学的研究」課題(写真提供:東京慈恵会医科大学)
 デング熱を媒介する蚊の生存と行動制御を検証するため,ブルキナファソ村落で蚊をサンプリングする様子NTDs「西アフリカ・ブルキナファソにおけるデング熱媒介蚊制御のための集学的研究」課題(写真提供:東京慈恵会医科大学)

 スーダンにおいて根寄生雑草ストライガが蔓延したソルガム畑を調査する様子「ストライガ防除による食料安全保障と貧困克服」(写真提供:神戸大学)
 スーダンにおいて根寄生雑草ストライガが蔓延したソルガム畑を調査する様子「ストライガ防除による食料安全保障と貧困克服」(写真提供:神戸大学)

4.大規模な国際協力プロジェクトへの参画

 技術の発展,研究の大規模化に伴い,先端分野での大規模な国際プロジェクトが増えており,我が国としても各国と協力し,積極的に取り組んでいます。

(ア)ITER(国際熱核融合実験炉)計画等

 ITER計画は,核融合エネルギーの実現に向け,世界7極の国際協力により実施されており,2025(令和7)年の運転開始を目指し,フランス・カダラッシュにおいてITERの建設作業が本格化しています。我が国は,ITERの主要な機器である超伝導コイルの製作等を進めています。また,ITER計画を補完・支援する先進的研究開発プロジェクトである幅広いアプローチ(BA)活動(※11)を日欧協力により,我が国で実施しています。

(イ)国際宇宙ステーション(ISS)計画

 ISS計画は,日本・アメリカ・欧州・カナダ・ロシアの5極(15か国)共同の国際協力プロジェクトです。我が国は,2008(平成20)年から運用が開始された「きぼう」日本実験棟及び宇宙ステーション補給機「こうのとり」(※12)を開発・運用することで本計画に参加しています。2018(平成30)年9月には「こうのとり」7号機が打ち上げられ,ISSへの物資輸送ミッションに成功しました。この「こうのとり」7号機には,日本製のリチウム電池を利用したISS用バッテリーを搭載するなど,ISSの運用に不可欠な物資の補給を行ったことでISS参加各国から高い評価を受けました。
 また,2018(平成30)年8月には,国として初めての人工衛星となるブータンをはじめ,フィリピン及びマレーシアの超小型衛星を「きぼう」から放出するなど,様々な形で宇宙を通じた国際貢献を行っています。
 2015(平成27)年12月には,ISSに係る新たな日米協力の枠組みを構築し,我が国の2024(令和6)年までのISS運用延長への参加を決定しています。このように,我が国はISS計画において主要な役割を果たしながら,多くの成果が生まれるよう積極的に取り組んでいます。

 小型回収カプセルの大気圏再突入(イメージ)(提供:宇宙航空研究開発機構(JAXA))
 小型回収カプセルの大気圏再突入(イメージ)(提供:宇宙航空研究開発機構(JAXA))

 地球帰還後に船舶により引き揚げられた小型回収カプセル(提供:宇宙航空研究開発機構(JAXA))
 地球帰還後に船舶により引き揚げられた小型回収カプセル(提供:宇宙航空研究開発機構(JAXA))

(ウ)国際深海科学掘削計画(IODP)

 国際深海科学掘削計画(IODP)は,地球環境変動,地殻内部構造,地殻内生命圏等の解明を目的とした,日米欧主導の多国間国際協力プロジェクトで,2003(平成15)年から2013(平成25)年まで実施された統合国際深海掘削計画(前IODP)を引き継いで,2013(平成25)年10月から実施されています。我が国が提供し,科学掘削船としては世界最高レベルの性能を有する地球深部探査船「ちきゅう」及びアメリカが提供する掘削船を主力掘削船とし,欧州が提供する特定任務掘削船を加えた複数の掘削船を用いて世界各地の深海底の掘削を実施しています。2018(平成30)年度には,「ちきゅう」による東南海地震の想定震源域である紀伊半島沖熊野灘での掘削を実施しました。

(エ)大型ハドロン(※13)衝突型加速器(LHC)計画

 LHC計画は,欧州合同原子核研究機関(CERN)において,周長27kmの円形加速器を用いて,ほぼ光速まで加速させた陽子同士の衝突による世界最高のエネルギー領域において,宇宙創成時(ビッグバン直後)の状態を再現し,未知の粒子の発見等を通じて,宇宙創成の謎や物質の究極の内部構造等を探索するプロジェクトです。我が国は,学術的な意義に加え国内の先進技術分野の発展が期待できることから,加速器建設に資金拠出を行うなどLHC計画の推進に貢献しています。LHCで行われている複数の実験には,我が国から約200人の研究者等が参画しており,これまで「ヒッグス粒子」の発見等の成果が得られました。現在,LHCの高輝度化(HL-LHC計画)の検討が進められています。

 地球深部探査船「ちきゅう」
 地球深部探査船「ちきゅう」

 大型ハドロン衝突型加速器(LHC)の一部
 大型ハドロン衝突型加速器(LHC)の一部

(オ)国際リニアコライダー(ILC)計画

 「ヒッグス粒子」の性質をより詳細に解明すること等を目指して,国際的な研究者のグループが,線形加速器「国際リニアコライダー(ILC)」を構想しており,2013(平成25)年6月に設計報告書が公表されました。
 文部科学省は,平成25年9月に出された日本学術会議の回答を受けて,26年5月から外部有識者による会議を開催し,ILC計画に係る諸課題の検討を進めてきました。
 その後,平成29年11月に公表された計画見直しの内容も踏まえて,科学的意義,コスト及び技術的成立性,人材の確保・育成方策,体制及びマネジメント,国際協力等の観点から,30年7月に議論の取りまとめを行い,日本学術会議に対して再審議を依頼しました。この依頼を受けた日本学術会議の回答が30年12月に出されたことを踏まえ,引き続きILC計画の検討が行われています。

(カ)国際科学技術センター(ISTC)

 ISTCは,旧ソビエト連邦諸国における大量破壊兵器開発に従事していた研究者に対して平和目的の研究プロジェクトに従事する機会を与えること,同諸国の市場経済への移行を支援することを目的として,1994(平成6)年3月に日本・アメリカ・EU・ロシアの4か国(極)によって設立された国際機関です。
 2015(平成27)年7月のロシア脱退に伴い,ISTC本部はカザフスタンに置かれています。同年12月には,「ISTCを継続する協定」に我が国のほか,米国,EU及び欧州原子力共同体,カザフスタン,ジョージア,キルギス,アルメニア,タジキスタン,韓国,ノルウェーが署名し,2017(平成29)年12月に同協定は発効しました。
 1994(平成6)年から2017(平成29)年までの合計で,承認プロジェクトの資金支援決定総額は約8億9,400万ドル(うち日本政府拠出分は約6,600万ドル),従事した旧ソビエト連邦諸国の被支援国の研究者数は延べ7万6,000人以上となりました。


  • ※8 FP7:EUの研究助成プログラムの名称(FP7:Framework Programme 7。2007(平成19)年から2013(平成25)年の7年間で,総額500億ユーロを超える研究・イノベーション投資を実施)
  • ※9 CONCERT-Japan:Connecting and Coordinating European Research and Technology Development with Japan
  • ※10 EIG-CONCERT-Japan:FP7終了後,日本及び日本との協力に関心を持つ欧州諸国の研究支援機関が,共同公募を実施するフレームワーク。EIG:European Interest Groupの略。
  • ※11 参照:第2部第7章第3節1(1)1
  • ※12 参照:第2部第7章第3節4(2)3
  • ※13 ハドロン:物質を構成している最小の単位である粒子の一種,クォークによって構成される複合粒子(陽子や中性子など)の総称。

第3節 国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)事業への参加・協力

 国際連合教育科学文化機関(UNESCO:ユネスコ)は,教育・科学・文化の分野における国際協力の促進を通じて平和に貢献することを目的とする国際連合の専門機関であり,現在193か国が加盟しています。我が国におけるユネスコ活動については,日本ユネスコ国内委員会が助言,企画,連絡及び調査に当たっており,ユネスコの目的を実現していくため,国・地方公共団体・民間がそれぞれ協力して,あるいは独自に活発な活動を行っています。

1 教育における取組

 教育の分野では,我が国の提案により始まった「持続可能な開発のための教育(ESD:Education for Sustainable Development)」の取組に力を入れてきました。
 ESDとは,環境や防災,国際理解等の様々な地球規模の課題を自分のこととしてとらえ,その解決に向けて自分で考え,行動を起こす力を身に付けるための教育で,それによって持続可能な社会を創造していくことを目指す学習や活動です。小学校,中学校,及び高等学校の新しい学習指導要領にも,これからの学校に求められることとして,前文及び総則に「持続可能な社会の創り手」の育成が掲げられています。また,平成30年6月に閣議決定された第3期教育振興基本計画においてもESDを推進することが記載されています。これからの時代は,自立した人間として多様な他者と協働しながら創造的に生きていく力が求められており,他者や社会との「つながり」を重視し,主体的に考え行動する個人を育成するESDは,未来の地球を築く上で必要な教育と言えます。
 ESDは,「持続可能な開発目標(SDGs)」の17の目標のうち,教育に関する目標(SDG4)の中で,持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能の習得に寄与するものとして記載されています。また,ESDは,SDG4の一部であると同時に,その他の全てのSDGsの実現への鍵であることが,平成29年12月の国連決議でも確認されています。このように,ESDは持続可能な社会づくりの担い手の育成を通じて,SDGsの達成に直接,間接的に貢献するものです。
 文部科学省と日本ユネスコ国内委員会は,国内におけるESDの普及・深化に向けた様々な施策を実施しています。
 学校教育の分野では,ユネスコスクール(※14)をESDの推進拠点と位置付け,加盟校増加に取り組むとともに,世界的な学校間ネットワークを活(い)かした交流,好事例の共有,教員の知見共有など,教育の質の向上を推進しています。
 ユネスコスクールでは,世界的な学校間ネットワークを活用した協働学習や,カリキュラム・マネジメントや社会に開かれた教育課程に関する多くの優良事例が生まれています。
 ユネスコスクールの活動振興の一環として,全国のユネスコスクール関係者が一堂に会し,好事例の共有や交流を行うユネスコスクール全国大会(ESD研究大会)を年1回開催しています。平成30年度は横浜市で第10回大会を開催し,学校教員を中心に全国から約800名の参加者が集まりました。
 このほか,ESDに関心を持つユース世代の活動の推進や,多様な関係者(大学,自治体,企業,NPOなど)が連携してESDを推進するESD-SDGsコンソーシアムの形成など,様々な施策に取り組んでいます。
 また,文部科学省と環境省の協力により,持続可能な地域づくりと人づくりの官民協働プラットフォームである「ESD推進ネットワーク」を形成し,その拠点として,全国の「ESD活動支援センター」及び「地域ESD拠点」が多様な活動を展開しています。
 ユネスコを通じた世界的なESDの推進の取組として,日本政府の支援によりユネスコが実施する「ユネスコ/日本ESD賞」があります。この賞は,世界中のESDの実践者にとってより良い取組に挑戦する動機付けと,優れた取組を世界中に広めることを目的として実施されており,2018(平成30)年に新たに3団体が受賞しました。
 ESDの国際的な推進プログラムである「ESDに関するグローバル・アクション・プログラム(GAP)」が2019(令和元)年で区切りを迎えることを受け,2018(平成30)年4月に,ユネスコ執行委員会において,我が国は,SDGsの達成期限である2030(令和12)年に向けて,後継枠組の策定準備に関する決議を提案し,採択されました。新たな枠組ではESDがSDGsの17全てのゴールの達成に寄与するものであり,持続可能な社会の構築に資するものとしてとらえ,ESDを更に10年間推進する方針となっています。また,日本ユネスコ国内委員会教育小委員会では,今後の更なるESD推進の上で,参考となるような考え方やESDの実践方法やその準備の進め方等をまとめたもの(「日本ユネスコ国内委員会教育小委員会からのメッセージ」,「ESD推進の手引(改訂版)」)を日本ユネスコ国内委員会ホームページ等に掲載するなど幅広く情報発信を行っています。


  • ※14  ネスコスクール(UNESCO Associated schools network:ASPnet):ユネスコの理念や目的を学校のあらゆる面に位置付け,児童生徒の「心の中に平和の砦を築く」ことを目指す世界的な学校間ネットワークである。世界182か国で11,000校以上,日本国内ではその約1割にあたる1,116校(平成31年1月時点)がユネスコ本部の認定を受け,ユネスコスクールネットワークに加盟している。

2 科学における取組

 科学分野では,政府間海洋学委員会(IOC:Intergovernmental Oceanographic Commission)や国際水文学計画(IHP:International Hydrological Programme)及び人間と生物圏(MAB:Man and the Biosphere)計画,ユネスコ世界ジオパークをはじめとする持続可能な開発のための国際科学プログラム,生物多様性の保全,学術研究支援などのユネスコの諸活動に積極的に参加・協力しています。
 IOCの分野では,国際協力により地球規模での海洋学に関する知識,理解増進のための科学的調査の推進を図ることを目的とし,海洋観測・調査,海洋データの収集管理及び交換,津波早期警戒システムの構築,教育訓練,地域協力等を行っています。
 IHPの分野では,国際協力により水資源の合理的管理のために科学的基礎を提供することを目的に,世界的観測網によるデータ収集,世界の水収支の解明,人間活動が水資源に与える影響の解明等に関する科学的及び教育的事業を行っています。
 MAB計画の分野では,本事業の枠組みに基づいて国際的に認定された地域である「ユネスコエコパーク」(※15)を推進しています。ユネスコエコパークは,生態系の保全と持続可能な利活用の調和(自然と人間社会の共生)を目的とする取組です。現在,我が国では9か所(図表2-10-7,図表2-10-8)が認定されています。
 ユネスコ世界ジオパークは,国際的な地質学的重要性を有する地層,岩石,地形,火山,断層などの地質学的な遺産を保護し,研究に活用することにより,自然と人間との共生及び持続可能な開発を実現することを目的とした事業です。2018(平成30)年4月に開催された第204回ユネスコ執行委員会で「伊豆半島」の認定が決定し,我が国では9か所(図表2-10-9)が認定されています。いずれも,自然と人間のかかわりの理解を促進する活動の場であり,地域レベルでのSDGs達成を体現する取組としても注目されています。

 図表2-10-7ユネスコエコパークの三つの地域(ゾーニング)」

 図表2-10-8 国内のユネスコエコパーク

 図表2-10-9 国内のユネスコ世界ジオパーク


  • ※15 平成22年1月,生物圏保存地域(BR:Biosphere Reserves)により親しみをもってもらうために,BRを日本国内ではユネスコエコパークと呼ぶことが日本ユネスコ国内委員会で正式に決定した。

3 文化における取組

 文化分野では,ユネスコは,世界遺産や無形文化遺産などの条約に基づいて文化遺産の保護を進めているほか,世界の重要な記録物の保存などを目的とした「世界の記憶」事業を実施しています(※16)。現在,ユネスコにおいて我が国関連とされている物件は,「山本作兵衛炭坑記録画・記録文書」,「御堂関白記」,「慶長遣欧使節関係資料」(スペインとの共同推薦),「東寺百合文書」,「舞鶴への生還1945~1956シベリア抑留等日本人の本国への引き揚げの記録」,「上野三碑」及び「朝鮮通信使に関する記録」(韓国との共同推薦)の7件です。
 ユネスコ創造都市ネットワーク事業は,文学,映画,音楽,クラフト&フォークアート,デザイン,メディアアート,食文化の7分野において,創造性を核とした都市間の国際的な連携によって,地域の創造産業の発展を図り,都市の持続可能な開発を目指す事業です。我が国における加盟都市は計8都市(静岡県浜松市(音楽),石川県金沢市及び兵庫県篠山市(クラフト&フォークアート),愛知県名古屋市及び兵庫県神戸市(デザイン),北海道札幌市(メディアアート),山形県鶴岡市(食文化),山形県山形市(映画))であり,これらの加盟都市においては,都市間のネットワークを活用した国際連携や持続可能なまちづくりが期待されます。
 さらに,これらの他にも我が国は,有形及び無形の文化遺産保護事業への参加・協力をしています。

 「上野三碑」(左から山上碑,多胡碑,金井沢碑)(写真提供:群馬県)
 「上野三碑」(左から山上碑,多胡碑,金井沢碑)(写真提供:群馬県)


  • ※16 世界遺産及び無形文化遺産については参照:第2部第9章第9節5

4 持続可能な開発目標(SDGs)に関する取組

 2015(平成27)年9月に開催された国連サミットにおいて持続可能な開発目標(SDGs)が全会一致で採択されました。ユネスコは,SDGsの17の目標のうち,教育,科学技術,文化等に関する計九つの目標において重要な役割を果たすことを表明し,主に教育に関する国際的議論を主導しています。なお,SDGsにおける教育に関する目標(SDG4)については,2015(平成27)年11月に,その達成のためのガイドラインとなる「教育2030行動枠組み」が,ユネスコ,加盟国政府,NGO等によるハイレベル会合にて採択されました。この行動枠組みに基づき,2016(平成28)年にSDG-教育2030ステアリング・コミッティ(運営委員会)がユネスコを事務局として設置されており,このステアリング・コミッティでは,我が国の代表が共同議長を務めています。2018(平成30)年12月に開催されたグローバル教育2030会合においては,「SDG-教育2030アジェンダ」の目標及びコミットメントの実施に係るこれまでの進展及び課題の取りまとめが行われ,我が国からもSDG-教育2030の実施におけるユネスコを通じた貢献を示すとともに,我が国の取組を世界に発信するなど,SDG-教育2030の実施に向けた国際的な議論にも,我が国は積極的に参加しています。
 さらに,日本ユネスコ国内委員会は,平成28年7月に持続可能な開発目標(SDGs)推進特別分科会を設置し,教育,科学技術,文化等の分野において,ユネスコ活動を通じて国内外でSDGsの実現に向けて貢献するための方策について審議を行っています。

お問合せ先

総合教育政策局政策課

-- 登録:令和元年11月 --