刊行に寄せて

 文部科学大臣

 冒頭,新しい文部科学省の創生に向けた取組について記載しております。一連の不祥事の再発防止策を含めた文部科学省の改革に関する「文部科学省創生実行計画」に盛り込まれた取組を着実に実行し,国民の信頼回復に向けて全力を挙げてまいります。

 平成30年度文部科学白書では,特集として,「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」「激甚化する災害への対応強化」の二つのテーマを取り上げました。

 今後,より一層少子高齢化やグローバル化が進展する社会において,Society 5.0に向けた人材育成やイノベーション創出の基盤となる大学等の改革は急務です。特集1 「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」では,これからの高等教育改革の指針として位置付けられるべきものとして中央教育審議会が取りまとめた答申の内容を中心に紹介しています。併せて,学修成果の可視化など先進的な取組を行う事例を紹介しています。

 平成30年度は,地震,豪雨,猛暑等,多くの災害や異常気象に見舞われ,災害への対応の強化が喫緊の課題であることが再認識されました。特集2「激甚化する災害への対応強化」では,30年度の災害や異常気象を受けた文部科学省の対応や,国土強靱化に係る施策,学校施設の耐震対策や防災機能強化,防災教育,文化財の耐震対策,防災に関する研究開発を紹介しています。

 年次報告では,「人づくり革命」等の中核を担う当省の施策の動向をまとめています。

 主な取組としては,まず,誰もが希望する質の高い教育を受けられるよう,幼児期から高等教育段階までの切れ目のない形での教育の無償化・負担軽減の施策の具体化を進めています。特に,今年10月から幼児教育の無償化を,来年4月からは,真に支援が必要な子供たちを対象として高等教育の修学支援新制度を実施します。

 また,「柴山・学びの革新プラン」を踏まえてまとめた「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策」において,ICTを基盤とした先端技術の効果的な活用により,教師の指導や子供の学習の質を更に高め,「子供の力を最大限引き出す学び」を実現するための具体的方策を示しました。さらに,「新しい時代の初等中等教育の在り方について」中央教育審議会に諮問し,初等中等教育における様々な課題を克服し,新しい時代を見据えて,教育の質を高めるための総合的な検討をお願いしているところです。

 加えて,今年2月に取りまとめた「高等教育・研究改革イニシアティブ(柴山イニシアティブ)」を通じて、高等教育機関・研究機関における「教育」「研究」「ガバナンス」の一体改革を成し遂げ、「世界を牽引するトップ大学群」と「地域や専門分野をリードする大学群」を形成するとともに、「最前線で活躍する研究者」や「次世代を担う学生」の活躍を推進してまいります。

 文部科学行政の推進のためには,国民の皆様の御理解と御協力が不可欠です。本白書が幅広く活用され,皆様の理解を深めていただく一助となれば幸いです。

お問合せ先

総合教育政策局政策課

-- 登録:令和元年11月 --